みんな気になる、2019年のバンクーバー不動産の行方は?

   
  

「フレッド吉村の寝ても覚めてもバンクーバー不動産」第4回
文/フレッド吉村

謹賀新年、本年もよろしくお願い申し上げます。

昨年2018年のバンクーバー及びフレーザーバレーの不動産は、2008年のリーマンショック以来の転換期を迎え、売買軒数は19年前の2000年頃の水準まで落ち込みました。昨年12月のグレーター・バンクーバーの不動産は売買軒数が昨年比31.6%減少し、不動産価格もここ6ヶ月で序所に下降し始めています。

特に中国という莫大な資金力を持った購買層を失った、バンクーバー・ウェスト、リッチモンド、ウェスト・バンクーバーなどの高額物件は-10%近く下がり、実際の統計以上に売買が低迷しています。一般の価格帯においても価格がもっと下がるのでは?という懸念から、市場動向注視の買い控え現象が顕著に現れています。

【2018年12月】グレター・バンクーバーの市場統計

下記のリンクで、エリアごとに12月の統計データを見ることができます。
統計は Detached Properties (一戸建て)、Condos(コンドミニアム)、Townhomes(タウンハウス)別になっており、前年、前月比が表示されています。

Sales to Active Ratioとは、売り出し物件数に対して何軒が実際に売れたかを%で示し、12%以下の場合には完全に買い手有利のバイヤーズ・マーケットと判断されます。

 

不動産市場が急激に減速している5つの理由

⓵ 2015年以降不動産価格が更に上昇し、平均世帯年収と不動産価格の差が北米の都市で最も大きくなっている

⓶ 住宅ローンの金利が上昇に転じ、今年も更に上昇基調にある

⓷ 住宅ローンの審査も厳格化し、借入全般が困難になった

⓸ 国際送金規制や監視強化による外貨流入の停滞

⓹ 空室税、不動産投機税、外国人購入税などの市場抑制の新政策導入により不動産投資が冷え込んでいる。

これらのマイナス要素が多くの買い手にとって今後の不動産市場に対する不信、不安を増長し、急激な需要の落ち込みに繋がっていると考えられます。

今後の見通し

アメリカ、中国の2大大国の情勢不安に始まり、UKのEC離脱、株価の下落など、昨年後半から世界の経済が停滞、後退しています。不動産に関してもバンクーバーに限らず、オーストラリアや香港など、今まで高騰が続いていた地域でも同様に減速してきています。

そのような背景でもカナダの経済は比較的安定基調で、今後もアマゾンなどの大型企業の進出に伴い雇用増大+人口の増加が続くと予想されています。近年の建設ラッシュには目を見張るものがありますが、それでも一般層向けの住宅不足はグレーター・バンクーバーの大きな問題です。
従って引き続き強い需要によって下支えされている一般市場(コンドやタウンハウス)の下落はある程度の段階で下げ止まると考えられます。価格についても、新築コストは今後も下がる事はありませんので、市場の大半を占める中古市場も、長期的に見れば比例して緩やかに上昇していくと予想されています。

但し、中間価格で$1.5ミリオンを超えている一戸建て市場は平均世帯年収の20倍を軽く超えていますので、一般世帯の新規購入は大変に難しく、中国に変わる新たな購買層も存在しない今、実際に売却を成立させる為には大幅な価格交渉が必要となります。統計上では10%前後の下降に留まっていますが、これは急いで売る必要のない富裕層による売り控え現象によりますので、実際の我々現場の景況感とは大きく異なります。

まとめ

今年中や、数年以内に不動産の購入、売却を予定している方には目の離せない市場動向ですが、これらの統計や情報はそれぞれ個人のプランやご予算、不動産の種類、売買目的によって見る角度やポイントが違いますので、自身に必要な情報を選んで正しく理解する事が重要です。
市場が不安定な時期には、根拠の無い噂話しが先行したり、素人の無責任なアドバイスに惑わされたりして判断を誤ってしまう事も多いですので、ご自身で納得した上での決断、現状を受け入れる英断が、最終的に良い結果に繋がると思います。

買い手は誰しも底値で買いたいと考えていますが、市場の底値は上昇に転じた後で初めて分かるのであって、事前に予測する事は正直不可能です。
マイホームはそれぞれ個人や世帯によって必要なタイミングがありますので、現在購入可能な状況にある方は、買い手市場をうまく利用して優位に交渉を進め、早期のマイホームの実現、長期的なプランで自己資産を増やすのが得策と言えます。

一方でこれからダウンサイズなどで売却をご検討の方々は、今までのように簡単には売れませんので、日頃からメンテナンス、修繕や改装を序所に行い、買い手側に良い印象をアピールして良い契約を勝ち取る必要があります。
売却直前に全て準備するのは難しいですので、まだまだ数年先と言わずに先ずはお早めにご相談ください。

フレッド吉村不動産売買のプロ・リアルター(REALTOR)

フレッド吉村

日本で一通りの学校教育、専門商社での営業実務経験を積んだ後、1994年4月に24歳でカナダ・バンクーバーへ渡航。現地日系旅行会社で働いたのち、2002年にBC州公認不動産仲介ライセンスを取得し、最大手のリマックス不動産グループに所属。以来20年、不動産売買のプロ、リアルター(REALTOR)として数多くのセールスアワードを受賞し活躍中。日本の専門商社で培った建築資材の知識や、営業・交渉ノウハウ、日本人ならではのきめ細かなサービス精神をフルに活かす不動産売買のプロ。 不動産売買のご相談は以下より、お気軽にご相談ください。 【Facebook】バンクーバーの不動産 フレッド吉村 - リマックス不動産 【Web】2015 RE/MAX Group. F.Yoshimura

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