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処方薬代を負担してくれるカナダBC州の健康保険プラン「フェアファーマケア」まとめ

   
  

カナダBC州の公的健康保険といえばMSP(Medical Service Plan)ですよね。MSPに加入していると診療費や手術費用などを負担してくれますが、処方薬代の補償はありません。

そこで今回は、処方薬の代金を一部負担してくれるBC州の健康保険「ファーマケア」の中でも最大のプラン「フェアファーマケア」について紹介します。

登録無料なので、BC州在住者の方であれば一度検討してみてください。

 

カナダBC州の健康保険「ファーマケア(Pharmacare)」の最大のプラン「フェアファーマケア(Fair Pharmacare)」とは?

カナダBC州に暮らしている方の処方薬や医薬品および一部の薬局サービスの支払いなど、BC州が負担する健康保険「ファーマケア(PharmaCare)」。

ファーマケアには様々なプランがあり、その多くはMSPに加入することが前提条件となっています。そして、ファーマケアのプランの中で最も多くの人が利用しているのが「フェアファーマケア(Fair PharmaCare)」です。

 

フェアファーマケアの補償内容は?

フェアファーマケアが補償する項目は以下となります。

・処方薬
・一部の医療用機器
・調剤料金、または一部の薬剤サービス

(例:5つ以上の処方薬を受け取っている人の調剤の見直しなど)

※より詳しい補償項目に関する情報はこちらのリンクから確認してみてください。

今回は最も多くの人が利用するであろう処方薬の負担について解説します。

フェアファーマケア登録者は、毎年の収入額に基づいて、まず自分で支払う額「Deductible≒年間自己負担額」が規定されます。そして、その金額を負担し終えた後はファーマケアが処方薬代の70%を負担してくれることになります(残りの30%は自己負担)。
(※1940年以前に生まれた家族がいる世帯においては、ファーマケアが該当する費用の75%を補償)

Deductibleは毎年の世帯収入をもとに算出され、世帯収入が少ないほどDeductibleの額も少なくなるシステムです。

さらにフェアファーマケアには、世帯が負担する年間の上限額「Family Maximum(世帯最大限度額)」が設けられています。

「Deductible額に達するまで自己負担した費用」と、「その後にフェアファーマケアで補償された額(費用の70%)以外の負担費用(30%の自己負担額)」の合計が規定されたFamily Maximumに達した場合、それ以降の費用は100%ファーマケアが負担してくれます。

Family Maximumの具体的な額や年間のDeductibleの額はFair PharmaCare Calculatorで算出できるので、一度調べてみてください。

ちなみに2019年1月1日からはより収入の少ない世帯を助けるために、収入が30,000ドル未満の世帯はDeductibleを廃止、収入が45,000ドル未満の世帯はDeductible額を減らす施策がとられています。

昨今では新型コロナウイルスの影響で収入が減少したという方も多いと思うので、Deductibleの調整ができる可能性もあります。その場合は Health Insurance BC に相談してみてください。

 

具体的なフェアファーマケア申請対象者は?

フェアファーマケアはBC州住民の多くの人が対象となるプランで、24時間オンラインで登録が可能です。

以下の条件を満たしたBC州居住者はフェアファーマケアを申請できます。民間の健康保険に加入している家族も条件によってはフェアファーマケアに登録可能となります。(詳細はこちら

・メディカルサービスプラン(MSP)に加入していること
・カナダ国税庁が申請人、または家族の収入確認をすることに同意すること(※収入の確認は2年前まで遡ります)

フェアファーマケアによる補償は世帯向きで、以下のように定義されています。(※BC州政府のウェブサイトでフェアファーマケアは個人向けではないと定義されていますが、独身一人暮らしの方などでも登録できます)

•個人(Single person)
•既婚、またはコモンローのカップル(Married or common-law couple)
•子どもを持つ個人(Single person with dependent children)
•子どもを持つカップル(Couple with dependent children)

※フェアファーマケアの補償が受けられる子どもは以下が条件
•19歳未満、または19歳〜24歳でフルタイムの学生として就学している
•上記のようにフルタイムで就学している学生は、BC州健康保険Health Insurance BCに連絡して家族の保険プランに加入し続けることが可能
•両親のMSPプランに含まれていること(共同親権の場合は片方の親のMSPにしか含まれません)
•未婚であり、かつ婚姻関係に類似する関係を保有していない

申請時にカナダのタックスリターン(確定申告)を過去2年以内に申告していない方などは、フェアファーマケアの申請において追加の証明資料が必要となる場合があるので注意してください。

追加の証明資料が必要となる方の例
・カナダに新しく居住した人
・BC州民ではあるが、カナダ国外に居住及び就労している人
・19歳未満の人
・カナダのタックスリターン免除措置を受けている人

また、いつから補償が開始されるのかというと、オンラインまたは電話にてフェアファーマケアの申請が完了した時点ですぐに登録扱いとなり、その年の12月31日までが補償の対象期間となります。

ただ、カナダ国税庁(CRA)が申請世帯の過去の収入状況を確認するまでは、フェアファーマケアによる補償はあくまでも一時的なものとみなされます。収入状況の確認がとれた後は、毎年カナダ国税庁により世帯の収入が確認できる限りフェアファーマケアによる補償は継続されます。(つまり収入の変動があれば、毎年補償範囲が調整されます)

ひとつ注意として、フェアファーマケアでは登録した前の年の費用の補償は行われません。また、MSPが有効となっていない期間に発生した費用への補償も無いので、気を付けましょう。

 

フェアファーマケア登録者のDeductibleとFamily Maximumに関する参考例

ここで、カナダBC州バンクーバーで暮らす山本家(仮)を題材に、ファーマケアが定める Deductible と Family Maximum に関する参考例を見てみましょう。

【2022年1月】フェアファーマケアに登録

バンクーバーに暮らす山本さん一家は今年1月にフェアファーマケアに登録しました。

山本さん一家の年収は合計34,589ドル。山本さん一家の収入に基づき、ファーマケアによって算出されたDeductibleは800ドル、Family Maximumは1,150ドルとなりました。
つまり、山本さん一家は処方箋による薬の購入の際などに、まず800ドルまでは100%自己負担で支払うことになります。そして800ドルに達した後はファーマケアが年内の処方薬代の70%分を負担してくれることになります。残りの30%は依然として自己負担が必要です。
 

【2022年1~5月】自費で800ドルを負担し、Deductible額に達する

山本さん一家は登録した1月から5月までの間に、処方薬の支払いなどをすべて自費で合計800ドル負担しました。この時点で、自費による負担額が規定のDeductible額に達しました。

 

【2022年6月~9月】処方薬費用の70%をファーマケアがカバーしてくれる期間に突入+ Family Maximum に達する

6月から9月にかけて、山本さん一家が処方薬や調剤料金などで新たに1,200ドルが必要であることが判明しました。

ファーマケアは新たに必要とされるこの1,200ドルの70%となる840ドルを負担し、残りの30%となる360ドルが山本さん一家の自己負担額となりました。

さらにこの時点で、Deductibleを満たすまで山本さん一家が支払った800ドルと、新たに自己負担した360ドル合わせて合計1,160ドルとなり、ファーマケアが定める Family Maximum に達しました。

 

【2020年10月~12月】年末までファーマケアが該当の費用を100%カバー

Family Maximum に達した山本さん一家。今後該当する処方薬などの費用は、残された10月~12月までファーマケアが100%負担します。

そして翌年2023年1月に状況がリセットされると、再度Deductibleを満たす必要があり、800ドルに達するまでは全額自己負担となります。このサイクルが続くことになります。

ちなみに、年間自己負担費用がDeductibleの額を大きく超えている場合は、Monthly Deductible Payment Optionに申請することで、直ちに補償を受けることが可能となる場合もあります。

 

最後に:フェアファーマケアの申請方法を紹介

最後にフェアファーマケアの申請方法を解説します。申請方法は以下の3つです。

◆フェアファーマケアの申請方法
①オンライン
申請ページ

②電話
Lower Mainland居住者:604-683-7151
それ以外の地域のBC州居住者: 1(800)663-7100

③書面
Forms for B.C. Residents

◆申請に必要な情報

全てのファミリーメンバーの
・パーソナルヘルスナンバー(PHN)
(ドライバーライセンスあるいはBCサービスカードの後ろに記載されています)
・生年月日

申請人、または申請人とその配偶者の
・SIN(社会保険番号)
・以下の情報が含まれている2年前からのタックスリターン(確定申告)の詳細
– 収入額(ライン236)
– 障がい者の積立基金(Registered Disability Savings Plan)による収入額(ライン125)

◆注意点

※電話またはオンラインで申請を完了した時点で臨時のフェアファーマケアによる補償が始まります。

※申請を終えたあと、カナダ国税庁に申請者の収入に関して確認する許可を与えることに関する同意書が送付されます。その同意書を理解した上でサインし、30日以内に送り返してください。

※もし同意書を期間以内に送り返さなかった場合は、臨時の補償が終了され、収入の確認ができなかったことにより、Deductibleが10,000カナダドルに設定されます。

※カナダ国税庁による収入に関する確認は最大90日間かかる場合があります。

※カナダ国税庁による収入の確認ができ次第、30日以内にファーマケアより申請者に事実確認のレターが送付されます。

ということで、いかがでしたか?ぜひ一度フェアファーマケアの登録を検討してみてください。

また、高所得者の方はDeductibleの額が低所得者の方より大きくなるため、なかなか思うように恩恵が受けられないかもしれませんが、もしものときのために登録しておくのはいいですよね。

同じカナダBC州の公的健康保険 MSP に比べて知名度が(なぜか)低いので、皆さんの周りに知らない人がいたらぜひ教えてあげてください。

BC州政府
PharmaCareについて

Fair PharmaCareの登録について

Fair PharmaCare Planについて

Fair PharmaCare Calculator

※フェアファーマケアについて質問がある方は、Health Insurance BC に直接お問い合わせをお願いします。

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