さりげなく粋な《 スプレッツァトゥーラ 》

   
  

「石川まりこのとっておきバンクーバー」
文・写真/石川まりこ

※本記事の内容は、一部コロナ禍前の情報を含んでいるので、予めご了承ください。お店の最新情報は公式サイトやSNSでご確認ください。

マウントプレザント地区で人通りの多いメインストリートからちょっと東にそれたキングスウェイ通り沿いにあるイタリア料理店。パティオには黄色のパラソルが並び、一歩入ると天井が高く開放的な空間が広がっています。

Sprezzatura(スプレッツァトゥーラ)はイタリア語で「難しいことでも平然と優雅にこなす」という意味。つまり、水の中で必死に足を動かしていても悠然と泳ぐように見える白鳥のような態度のこと。イタリア人は、粋と洗練を「計算されたさりげなさ」に求めます。

オーナーのマイケル・パーカー Michael Parker は、飲食業界に関わって26年。バンクーバーの名店イル・ジャルディーノで修行し、ロンドンの有名なガストロパブでも活躍。ヨーロッパから戻る前にイタリアを旅して回り、スプレッツァトゥーラの真意を理解したと言います。

その言葉通り、ランチやディナーだけでなく、ブランチからハッピーアワーまで提供して、デリバリーも代行会社に頼らず自力で頑張っていますが、その努力を声高に語らないようなエレガンスが感じられます。

2019年7月にオープンした当初は、ファンファーレもなくひとり静かにドアを開けた印象でしたが、あっという間にファンが増えて、バンクーバーのレストランシーンにしっかり存在感を示すようになりました。

アンティパスティ Antipasti(前菜)はハムやサラミ、チーズのセレクションから好みのものを4種類組み合わせます。おしゃべりしながら地元のワインやクラフトビールで食事を始めたい人にはぴったり。

シェアする人数がいれば、ローストチキン Roasted Free Range Chicken は絶対おすすめ。皮はパリッと香ばしく焼き上げられ、身はジューシーで旨みがたっぷり。焼くのに時間がかかるので、チキン好きの私は毎回最初にオーダーします。

真のナポリピッツァ協会 Associazione Verace Pizza Napoletana(AVPN)公認のイタリア人シェフが焼くピザは絶品。なんといっても生地が美味しい! 薄くてやわらかいので、ナポリ人がするように半分に折ったり、ナイフとフォークでお召し上がりください。

手前のベジタリアンピザのトッピングは、新鮮でミルクっぽいモッツァレッラ Fior di Latte にトマト、ナス、赤タマネギ、パプリカ。奥のマッシュルームピザはモッツァレッラ、ポルチーニクリームにクレミニやポートベロのキノコが重なり、パルミジャーノとトリュフオイルでとても味わい豊かなピザです。

薄い生地を900℃の窯で90秒だけ焼くので、トッピングそれぞれの風味が生きているのがナポリ風ピザの特徴。ブランチメニューのホワイトソースと卵のピザにその絶妙な焼き加減がぴったりです。

ブランチには、ピザ生地に卵とハムを重ねたエッグベネディクトも美味。揚げナスを甘酢で煮たカポナータプロシュートをのせたイタリアン風エッグベネディクトもあります。

一皿のボリュームが大きいので、デザートまでたどり着けないこともありますが、ここのティラミス Tiramisu とパンナコッタ Panna Cotta は、一度は食べたい美味しさ。シェアも可能なので、ぜひお召し上がりください。

スプレッツァトゥーラ・レストラン
Sprezzatura Restaurant
住所:265 Kingsway, Vancouver, BC V5T 3J5
電話:604-876-6333

石川まりこトラベルライター・ツアープランナー・ツアーガイド

石川 まりこ

11歳でひとり旅を始めて、中学・高校時代は日本全国を鉄道でめぐる。19歳で初めてアメリカに行き世界の広さを実感。23歳で中国を3ヶ月旅して、多様な文化を体感。その後、海外旅行添乗員として約50か国をご案内。現在はツアープランナー、ツアーガイド、トラベルライターとして、カナダ専門旅行会社 ARA Professional Travel & Support Inc. に勤務。ツイッターフリッカーでカナダの現地情報を発信中。

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