日本人5人による即興演劇とESL向けインプロワークショップがバンクーバーで9月開催

   
  

皆さん、突然ですが「インプロ」ってご存知でしょうか?

これは「即興演劇」のことを指していて、台本・打合せ・リハーサルも無いままお芝居をその場で創り上げるというユニークなパフォーマンスです。そのため、先が見えないままストーリーを展開していくという面白さがあります。

また、インプロ(即興演劇)は、他人とのコミュニケーション能力や想像力・表現力の向上などを目的とした習い事としても人気です。

カナダBC州バンクーバーに暮らす方の中には、「そもそもインプロ(即興演劇)ショーを観たことが無いから一度観てみたい!」「留学中で英語のいい練習にもなりそうだし、何より楽しそう!」という方もいれば、「やってみたいけど、ただでさえ日本語でも難しそうなのに、自分が英語でできるんだろうか・・・?」と考える人もいるかと思います。

今回はそんな皆さんに、バンクーバーの劇場 Tightrope Theatre で開催される「Japanese Impro Show」(キャスト&ディレクターが全員日本人!)と、英語を第二言語で学んでる方向けのインプロ(即興演劇)ワークショップ「Impro for ESL learners」を紹介します!

記事後半では、Japanese Impro Showのキャストとディレクターによる座談会の内容もお届けするので、ぜひ最後まで読んでみてください。

「Japanese Impro Show」と「Impro for ESL learners」について。キャスト4名・ディレクターを紹介

まずは2つのイベント情報とキャスト・ディレクターを紹介します!カナダ・バンクーバーに暮らす日本人によるインプロショーは必見です。

 

1.ジャパニーズ・インプロ・ショー(Japanese Impro Show): 2022年9月7日(水)

日本人インプロバイザーたちが即興演劇でバンクーバーの人たちを笑わせてくれます!

ほとんどのシーンはシンプルイングリッシュ(簡単な英語)や日本語、フィジカルで行われるので、英語を勉強中の方でも気軽に楽しめますよ。大喜利等の日本文化特有のフォーマットも上演とのことなので、気になりますよね!

ショーのキャストとディレクターのプロフィールは以下になります。

キャスト
ジュピター石田(岐阜県出身)
脱サラし2021年11月にカナダに俳優留学。Netflixに出る夢を叶えるため日々邁進中。

Twitter:@konna_travel
YouTube:ジュピター石田

キャスト
鈴木康平(東京都出身)
2012年まで東京で役者をし、その後ワーホリで数ヶ国行ったのち、2016年に妻とバンクーバーに移住。現在はMagic Lamp ltdのディレクターをしている。

Twitter:@bibi1700
Magic Lamp ltd公式サイト

キャスト
新山ハルノ(大阪府出身)
2021年5月にバンクーバーにて俳優留学を始める。
日本とカナダを拠点とし、Actor として国際的に活動中。

Twitter: @chianchis2
Instagram: @harunon_s2

キャスト
祁答院雄貴(神奈川県出身)
2021年に文化庁新進芸術家海外研修でバンクーバーへ。ハリウッド制作ドラマ『SHOGUN』武丸 役で抜擢され全エピソードに出演。現在は国際的に活動中。

Twitter: @kedowin505
Instagram: @yuki_kedoin

ディレクター
下村理愛(富山県出身)
2021年9月よりバンクーバーTightrope Theatreのパフォーマー・講師として活動を開始する。子ども向けのコミュニケーションの習い事IMPRO KIDS TOKYO代表として教育活動を行う。

Twitter:@rinashimomura

Japanese Impro Show
開催日時:9月7日(水) 7:30 pm – 9:30 pm
場所:Tightrope Theatre(2343 Main Street Vancouver, BC V5T 3C9)
ディレクター: Rina Shimomura
キャスト: Jupitar Ishida, Kohei Suzuki, Haruno Niiyama and Yuki Kedoin
チケット料:$20+GST

申し込み:https://www.eventbrite.ca/e/japanese-impro-show-tickets-406560141327

 

2.インプロ・フォー・ESL(Impro for ESL): 2022年9月23日(金)

記事冒頭でも触れましたが、インプロ(即興演劇)はコミュニケーション能力や表現力を磨いたり、自分の殻を破ることができるような機会にもなり得ます。そのため、習い事としてはもちろん、企業の社員研修の場などでも多く取り入れられています。

そんなインプロ(即興演劇)のワークショップがバンクーバーの Tightrope Theatre で9月下旬に開催されます。

こちらは、英語を第二言語で学んでる方向け!

英語を話すことに対して正しい文法を使えているか考えすぎて固まってしまったり、上手く話せているか不安を感じた経験がある方は、ぜひ一度参加してみてください。インプロ(即興演劇)を体験して、もっと英語を使うことに自信を身に付けましょう!

Impro for ESL learnersで体験できること

  • 失敗を楽しみ、自分らしく話せる英語を身に付ける
  • 表情・感情・身体などの言語以外のツールも最大限に使って相手とつながるコミュニケーション
  • ESLで学んでいる人たちとの心のつながりをつくる
  • インプロ(即興演劇)の手法を用いたワークを行いながら楽しめる
Impro for ESL learners
開催日時:9月23日(金)4:00pm-5:30pm
場所:Tightrope Theatre(2343 Main Street Vancouver, BC V5T 3C9)
講師: Rina Shimomura
参加費:$35 +GST
※ワークショップの後にショーも見られるお得なチケットは $50 +GST!

申し込み:https://tightropetheatre.com/impro-for-esl

【インプロ(即興演劇)の魅力は?】キャストとディレクターによる座談会「第二言語話者が英語で即興演劇をする意義について」

Q. インプロ(即興演劇)のワークショップに参加しようと思ったきっかけは?


(左から:鈴木康平さん / ジュピター石田さん / 下村理愛さん / 新山ハルノさん / 祁答院雄貴さん)

ハルノ:2021年の夏に、とある方のアクティングのワークショップへいった時に行われていたのがインプロだったんです。英語力については、当時はもっと喋れなくて、台本を理解するスキルも、芝居をするスキルも全くなかったので、即興なんて難しいと思っていました。だから、「見学をさせてください」とお願いしていたんです。

主催者の人がいい方で、ジブリッシュ(意味のない言葉を口に出すこと)やフィジカルなゲーム等英語を喋れなくてもいいワークを行ってくれて、英語を使わなくても参加することができました。アクティングだけでなく英語の勉強をしたい人、趣味でされている方など、様々な方がいました。月2回のワークに毎回行っていましたね。

ジュピター:2021年の11月頃、コメディを勉強したくてインターネットでコメディを調べていました。それこそスタンダップコメディとか。探しているうちに、「コメディ・インプロショー」を見つけて、それを見に行った時に日本人プレイヤーとしてリナさんがいた。

リナさんをみて、「え、この英語レベルなのにすごくない?」と思いました。まったく物怖じしないで、ネイティブスピーカーの人たちにコミュニケーションを必死にとろうとしている姿に感銘を受けたんです。リナさんに「インプロをやってみたい!」と伝えたところ、Tightrope Theatre の DuoDuel というショーに一緒に出よう!と誘ってくれて、一緒に出させてもらいました。

コウヘイ:そのショーを僕は観に行きました!僕に関しては、まずはTwitterでジュピタ―を見つけて、30歳で脱サラして俳優になる為にバンクーバーでがんばってるジュピタ―に感銘を受けて、DMしてお茶に誘ったことがきっかけです。また、ジュピターが発信しているTwitterでTightrope Theatreが紹介されていたので観劇に行ったら、パフォーマーとしてリナさんもいて…その当時のショーは、リナさんやジュピタ―は英語が全然流暢ではなかったけど、

ジュピタ―・リナ:ちょっとちょっとー!(笑)

ユウキ:「親しみが持てる英語」ってことですかね。(笑)

コウヘイ:むしろその「親しみが持てる英語」だからこそ素晴らしくて、英語が流暢じゃない2人のシーンが、そのショー中で1番お客さんにウケていたんです。それを観てとても感動しました。

「インプロ」という世界のスタイルは語学のレベルじゃなくて人間味だったり空気感だったり、オーディエンスと一体になって盛り上げていくものなんだなと思いました。それにお客さんととても距離が近くて温かいものだと感銘を受けました。そこで約10年前に東京で役者をしていた時の気持ちや熱が蘇って来て、インプロを学んでみたいと思ったんです。そして、ジュピタ―が参加しているインプロワークショップを教えてもらって、自分も参加したんです。

ユウキ:僕は、ハルノに誘われたことがきっかけです。日本でインプロはワークショップなどでエクササイズの一つとしてやったことがありました。ただ、インプロをすることが目的ではなく、お芝居のトレーニングとしてやっていたので、インプロに焦点を当ててやることがとても興味深くて参加してみようと思いました。

また、英語で即興演劇をすることにも興味がありました。英語で、為す術がなくなったときに人とコミュニケーションをどうとれるか?という所にも関心がありました。

 

Q. インプロ(即興演劇)のワークショップに参加する前はどんな印象を持っていましたか?

ジュピタ―:自分がやるとなったらこわい。やってる人はかっこいい。

ハルノ:とにかく緊張。インプロ?何?って感じ。インプロ、即興、何するの?って、よく分かりませんでした。

リナ:分かんないよねえ。

ユウキ:僕が日本で固定観念としてあったのが、否定しちゃいけない、全部受け入れないといけない、おもしろいネタをしないといけない、ネタ勝負みたいな印象はありました。

コウヘイ:日本でやったことのあるインプロは「おもしろいことをしないといけない」という技術重視な印象がありました。カナダの場合はもっとナチュラルな気がする。素が出ちゃった方がおもしろい。

リナ:ジュピタ―は怖いって言っていたけど、特にどんなことが怖いと感じていたの?

ジュピタ―:自分がやるっていう目線で見たときに、相手が英語でなんて言っているか分からないのに出るのが怖いと思った。ショーでも、リナさんの話していることしか実際分からなかったですし。

リナ:私もそういうときがほとんどだった(笑)

ジュピタ―:何が行われているか分からないんだけど、自分があそこに出たとしたら怖い。

リナ:聞き取れないのに返さないと…ってなると確かに怖いよね。

ハルノ:私も怖かったです。「できそうだったらやるけど、まずは見学でいいです」って言いました。怖いっていうのと、相手に迷惑をかけちゃう…って思っちゃって。

全員:わかる~!

ハルノ:私も困るんだけど、相手も自分の英語力のなさのせいで困らせちゃいそうというか、周りに迷惑をかけることが怖かったです。

コウヘイ:「相手に迷惑をかけてしまう」という考え過ぎる所は、日本人に染み付いているモノのような気がしますね。

 

Q. ワークショップに参加してみてどのように印象は変わりましたか?

コウヘイ:大切なことは言語のレベルじゃないっていうのが分かりました。技術とか語彙力じゃなくて、素直に「やりたい!」って気持ちや相手とつながっている感覚、信頼、それがナチュラルに見えるのがインプロの面白さだなって思いますね。

語学力も必要な部分もあるけれど、そこに囚われ過ぎるとはよくないなと気付きました。日本人だって、日本語ができるから日本人と全員と仲がいいかというとそうじゃないじゃないですか。この人なんかいいな、優しそうだな、おもしろいな、信頼できるな、顔が好きだなとか、立ち姿いいな、話しかけてみたいな、とか、こうナチュラルなモノがもろに出るなと。

演技術でカバーしちゃう所もあるけれど、予想外だ!どうしよう!っていう様子がチャーミングだったり。

リナ:自分がよくみせようとしちゃうのもよく出ちゃうよね。

ジュピタ―:全部出ちゃうよね。

コウヘイ:本当の意味でコミュニケーションしながらできるのがいいですよね!脚本のようにセリフがあると役を作りこんで、間違えないようにしっかりしなきゃ…っていうのがあるけど、インプロは「こんなこといっちゃった!」「これ拾っておこう」など目の前の一瞬の言葉なり出来事とつながってできることが面白いと思いました。

ハルノ:英語力が必要!って思っていたけど、言葉がなくてもできるものだと思いました。フィジカルやジブリッシュなどのワークを通じてコミュニケーションは言語だけではないと思いましたし、自分が自分自身に「私は英語をうまくしゃべれない」という壁を作っていたことにも気付きました。

当時は学校で学んだレベルの英語はできたこともあって、ジブリッシュやフィジカルで打ち解けちゃえば、そのままグループの人と雑談も楽しくできるようになっていました。

ジュピタ―:言語レベルの問題じゃないなって思いました。逆にネイティブの人たちはみんな英語を喋れるから、身体表現を使っていなかったんです。英語を喋れないことが自分の武器・個性だと思えるようになりましたし、そこを褒めてもらうことが増えました。インプロではシーンを作るのが目的だから、コミュニケーションとして英語を喋らなくても、ボディーランゲージ・感情などのほかのツールも使えることに気が付きました。

ユウキ:人の話をよく聞く、相手をよく見るようになりました。自分が分かる相手の言葉(英語)を必死でにキャッチするようになりました。日本語と比べると、言葉から得られる情報が劣る中でどう生き抜くかということに慣れていきました。

もう一つの発見は、僕は自分の英語の文法や発音を気にしてしまっていたんですけど、少しずつ相手のこともちゃんと見られるようになると、ネイティブの参加者の中には相手のことを見られていない、話を聞いていない事があることに気付き、その瞬間繋がれていないということにも気付けるようになりました。

インプロのシーンで僕とペアになった時に、相手が「ユウキは英語が完璧ではない、どうしよう…」となっていると、意識が僕じゃなくてその人自身に意識が向いちゃってるんですよね。そういう時に「この人僕の話聞いていない」っていうのが分かる。それは英語が話せるか話せないかの関係ではなく、みんな同じ。みんなどうなるか分からないインプロの中で必死だからこそ、お互いに手をつないで協力してくしかないかなって思えるようになりました。

リナ:ネイティブの人も一人の人間として、伝えることに必死な時あるんだね。

ユウキ:インプロの経験が豊富でうまい人と一緒になると、こっちをうまく料理してくれるのを感じます。相手に意識を向けてくれている良いパートナーと一緒になると、ゆっくりはっきり英語を話してくれたり、それを見てお客さんもいいリアクションをしてくれる。

リナ:自分だけじゃなくて、相手のコミュニケーションや相手の在り方も大事。自分も引け目を感じる必要はないよね。

ユウキ:僕もあなたもどうなるか分からない。不安だけど、一緒にがんばろうねーっていうことになるんですよね。あとは、ウケを取りたいがために面白いことだけを言おうとしている人とあたると大変。

自分も英語がどんどん上達していく中で、こういうことを忘れないようにしたいです。インプロでは言語が一番に来る必要はなくて、「相手と一緒にいい時間を過ごす」ということが大事なんだなって思います。

リナ:今のあなたと、今の私でどう楽しい時間を過ごせるかだもんね。

コウヘイ:英語を使ってコミュニケーションを取ることと、言語能力が高いことは別の問題だと思うんです。まず、英語を喋ることに対して慣れるまでに時間は掛かるし、まずは恐れないことが大事かなと。できなかったらどうしよう、じゃなくて、どうすればいいか「分かんない」っていうことも表現して一つのシーンになるというのがインプロの凄い所ですよね。

特に日本人は恐怖心が最初に来るし、分からないことが悪となってしまう傾向があると思うんです。僕はバンクーバーに6年間住んでいて、喋ることへの抵抗が無くなったのは、英語が第二言語同士の友達ができたこと。いかに友達と仲良くなりたいか、コミュニケーションをとりたいかというモチベーションから始まりました。

「今日何してた?」「一緒にご飯食べに行こうとか」っていうのも、友達同士だから多少英語が間違っててもいいとお互い思えているんです。その友人関係の中で正しい英語が重要か?いや、まずは気持ちが大事。それをコンパクトにしたのがインプロだと思っています。

この1つのシーンの中に、いかに間違えないようにするかではなくて、何が言いたい!これを言えないんだけど、どうしたらいい?っていうシーンにしちゃえばいい。なんでもありっていうのが一番いいと思います。

リナ:わざと知ったかぶりをオープンにして「あはん?」って言いまくるシーンでもいいしね。

全員:(笑)

コウヘイ:人と密な関係をすぐに作れるのがいいよね。以前、ワークショップでファミリードクターの人とシーンをすることがあったんです。庭仕事をやるシーンで、「次のデートどうしたらいいかな?」と相談を受けるシーンだったんですけど。こんなことファミリードクターと恋愛トークするなんて今までの実人生でないだろう!というシーンを演じられるのもインプロの魅力でもありますね。

 

Q. ワークショップから自分が影響を受けたことはなんですか?

ジュピター:僕、超大事な気付きがあったんです。英語ってその場でがんばってもうまくならないってことをインプロを通して気付きました。インプロをやってるこの瞬間にどうがんばっても、相手の言ってることって英語力ないと聞けないんですよ。でも、そこを頑張って間違えないように聞くっていうのは違うんです。それだったらコミュニケーションをとることに注力したいなって。

話すときも、上手い英語を話そうとしていたけど、その瞬間努力したところで無理なことに気付いたんです。でもその代わり、今の英語力でその人にしっかり伝わってるかどうかを気にするように決めることができたんです。

リナ:なんでそれに気づいたの?

ジュピター:シーンをどうあがいても、今の英語力だと何言ってるか聞けないと思ったんです。だったらその人が何を伝えたいかを感じるようにすればいいと思いました。「こういう事だろうな…」って感じられると、そこに向かっていけると思ったんです。インプロと出会う前は、その瞬間も英語を頑張ろうとしていたけど、それは無駄なことだと思った。

リナ:分かるなー。決して、英語の勉強を日々やらなくてもいいということではないんだよね。英語の勉強は日々頑張ってやるんだけど、その人とその瞬間に向き合うことは別のことだよね。

ジュピタ―:はい。伝わっているか、何を伝えたいのか、に純粋にフォーカスできるようになりました。

ハルノ:本当に一語も分からないときもあるよね。

リナ:うん、でも感情が分かるときはある!あ、でも、感情も分からないときもある(笑)。その時は、「いえあー」って言い続けて相手に困っていることをアピールしたり、何か自分もとりあえず何か動き続けてみるとシーンが意外と動くことがあるんだよね。

ハルノ:あと、私に関しては、インプロの中でめちゃくちゃたくさん失敗するから、もう失敗が怖くなくなりました!失敗しても死ぬわけじゃないし。笑

インプロワークショップの参加者で日本人が私1人の時、最初はとても怖かったんですけど、終わった後は意外とできた感覚があって!2回目行くことはもっとハードルが下がりました。最初は確かに怖いです。日本語でも怖いかもしれないけど。今は一歩踏み出して凄くよかったと思っています。

ユウキ:インプロってどうなるか分からなくて怖いけど、Tightrope Theatreのワークやショーで感じたのは「ディレクター」という存在がいて、シーンの責任を取ってくれる存在が安心をつくってくれるんです。

シーンの途中で僕らが困っていたらシーンの外から砕いた言葉で指示してくれたり、展開に困っていたら動きを指示してくれたり。そういう「セーフティ」がある、失敗してもちゃんと守ってくれる人がいる。それが分かっていても怖いけど、安心します。

あと、英語第二言語だし、分かんないもんは分かんないし!という開き直りもいい意味で持てたかも。例えば、日本語で「コーヒーくれよ!」とは言えないけど、ちゃんとした英語が出てこない時は無理せず「 I wanna drink coffee!」って言ってもいっかって。無理に思い出そうとしないで、伝わる事が大事と思いつつ怠けるずるさも覚えてくる。

コウヘイ:カジュアルに言いすぎるのはよくないかもしれないけど、例えば「旅行の本にこう言えって書いてあってー」っていう設定を使ったりとかしたら、おもしろそうだよね。失敗がコメディになるのもインプロの面白いところだよね。

ユウキ:そういう設定についても、ディレクターがお客さんの空気をみつつ提案してくれるのは安心して参加できる要素の一つ。シーンをやっていて、もうだめだーってなった時に光がみえた!ってなる。

ジュピタ―:もうだめだ~っていう時ありますよね。(笑)

リナ:もうだめだ~ってなるとき、プレイヤーが無理して続けてもいいことない。だから、セーフティネットがあるんだよね。ディレクターだけでなく、照明もその一つ。どうしようもないときに照明が消えてくれて笑って終われるのも安全装置のひとつ。プレイヤーが安心して即興できるようにそういうセーフティネットをキース・ジョンストン(※インプロの世界的指導者として知られている)はいっぱい作っているんだよね。

ユウキ:すごいな~、キース・ジョンストン。

リナ:絶対にみんなが安心しながら続けられるような理論や仕組みがキースのインプロにはあって、キースのもとで学びを積んできた講師のワークショップやショーをTightrope Theatreでは体験できるよ。

 

Q.これからの目標は?

ジュピタ―:この話題になってから(バックで)めっちゃドラマチックな曲かかってるね(笑)。僕は残りの滞在期間がこの5人の中で一番短くて、あと100日くらい。その期間の中でもちろんインプロはできる限りやりたい。いろんな場所でインプロやりたいな。そして、色んな人に会いたいな。俳優活動をしているのでいっぱい作品に出て、日本に帰っても俳優活動を続けたいと思っています。

ユウキ:がんばれー!負けるなー!ジュピターはすごいから!

リナ:もしかしたら100日の間予期せぬことがあるかも。

コウヘイ:もしかしたら全然違う国で大スターになってるかもね。

ジュピタ―:カナダに来て本当にいい経験をたくさんできた。インプロという知らなかったことを知れたし、本当によかった!

ハルノ:これからもどんどんオーディションを受けて俳優の活動していきます。1つの大きな目標としては、All ethnicityの役をゲットしたいです。日本人の役はアクセントがついていても大丈夫なんですが、その他の役はアクセントが強いと役にはまらない時があるんですよね。なので、All ethnicityの枠も勝ち取れるようにアクセントも勉強中です!

あと、オーロラを観たい!日本語を勉強している外国人の方向けにワークショップなどもできればいいなって思っていますし、刀、カナダでも殺陣のパフォーマンスをやりたいな!あと、英語で漫才もしてみたいです!やりたいこといっぱい!笑

ユウキ:僕も刀、殺陣パフォーマンス、あと英語で漫才もやりたい!笑

リナ:やろうやろう!今度のショーでやってみる?お題をもらって即興で漫才をすることもできるよね!

ユウキ:楽しいことを続けていくために、英語の勉強をもっと続けて世界中の作品に関わりたいと思っています。また、文化庁新進芸術家海外研修制度でバンクーバーに来て演劇研修を受けることが出来たので、その経験もシェアしていきたいです。海外の演劇に触れたい、勉強をしたい!という人に自分がどうやって研修制度に向けて準備をしたかなど、持っている情報や経験をシェアをしていきたいです。インプロも是非続けていきたいです。

リナ:日本から来た俳優はユウキにアクセスしたらいいかもね!

コウヘイ:人生をいかに楽しく生きるしかないですね笑 今年バンクーバー生活6年目にして、久しぶりに役者や演劇、人の前に立つっていう経験ができた。後数年で40歳になるのですが。カナダにいると年齢を聞くことも聞かれる事もほぼないないので年齢関係なく挑戦できるのも好きな所でもあります。

特にインプロ・演劇・音楽・などの世界にいると、年齢や立場関係なくそのことをしたい人いて、優しい人ばかりなんです。インプロも英語分かんなくてもやってみなーとか、ギター弾けなくてもやってみなーって優しく言ってもらえる。僕の印象だとカナダは芸術というか文化との距離がすごく近いんですよね。

遊び方が上手なカナダの人たちともっと繋がりたいですね。僕はあまり日本からの留学生や渡航された方が行かないような人とちょっと違うところをいくと面白いよーっていうことをバンクーバー来てからずっとやってるから、引き続きどんどん見つけていきたいですね。現実的な目標は、切実にPR取りたいです!PR取るには地道な事をしなければいけないのですが。

今回のこの繋がりもジュピタ―にDMしてみたり、リナさんのショーを観て、っていう一歩踏み出すだけで、こんな素敵な事になったので、これから一歩踏み出していきたい人に少し背中を押せるお手伝いができたら嬉しいですね。今までやってみたかったけど、やれなかったとか、実はこれをやりたいなって思っていたことを一歩踏み出すにはバンクーバーは最適だと思うので。その一歩がインプロでもいいし。そういう一歩が皆さんに増えていくのがいいなと思っています。

ユウキ:カナダに行くって決めたことがまずは一歩だよね。

リナ:でも、せっかくカナダに来たけど語学学校やカレッジがシンドイっていうツイートよく見るよね。カナダに来たわけであって、語学学校に来たわけじゃない。学校以外でも一歩踏み出せるよね。

コウヘイ:でも、その一歩も危ない部分もあるよね。危ない通りもあるので。

ハルノ:信用していいかもわからなくて怖いよね。

コウヘイ:カナダ来てどう遊んだらいいか分からなかったりしますよね。遊び方も日本みたいにカラオケや安い居酒屋があるわけでもないから。特にバンクーバーの冬は雨が多いので。そこでバンクーバーでは秋から演劇祭や映画祭があったりコミュニティーセンターでウクレレや合唱のクラスがあったり。そういう意味では日本は芸術や文化との距離が遠いうえに視野が狭いような気がします。

コウヘイ:こっちの人たちってインプロクラスが高校や中学の授業があってなじみがあるんだよね。だから劇場でもお客さんたちが楽しみ方を分かってる。娯楽や芸術の人との距離感が日本と違いすぎる。

リナ:特に日本の方は俳優になる人のトレーニングという認識を持つ人が多いかもしれない、でもカナダでは学校でやっていたり、色んな人がワークショップに来ているんだよ。

ジュピタ―:ここではちょっと踏み出しただけでもコスパがいい。スタンダップコメディーにこの前挑戦したんですけど、すごくいい経験でした。

ハルノ:語学学校に通う人たちも、留学エージェントにホームステイ・フライトも手配してもらっている人も多いみたいで、踏み出さないとそのままで終わっちゃう。踏み出して違うコミュニティにいったら全然違うと思う。

コウヘイ:それこそリナさんがTightrope Theatreにいて日本人の女性としているのがアイコンになったら、一歩踏み出してみたい人も安心して来られるよね。

リナ:いいね、それ!私はインプロのプロを増やしたいわけじゃない。自分らしくもっと生きたい!と思っているけど難しさを感じている人が、人との関わりや英語に対してもっと気楽になれたり、ワークショップで色んな人と出会って仲良くなって、自分の道を模索のきっかけになれる安心できるコミュニティをつくりたいと思ってる。
まずは、関わりやすい第一歩として、Tightrope Theatreのインプロワークショップに気軽に来てほしいな。

 

まとめ:英語を勉強している人たちの力になるようなイベントに

ということで、いかがでしたか?

ディレクターの理愛さんにお話しを聞くと、「英語を勉強されている方や、自分らしく英語で表現ができずにバンクーバーでの生活に悩まれている方をたくさんお見掛けします。そういった方たちの力になるイベントにしたいと私たちは考えています!」とおっしゃっていました。

また、Tightrope Theatre は、国籍・性別・障がい関係なく 多様性をすごく大事にしている劇場で 、初心者の方もウェルカムとのことなので、英語を学んでいる日本人の方にとっても、最初の一歩にすごくいい環境といえそうです。

Japanese Impro Show や Impro for ESL learners が気になる方は、以下のイベント情報を再度確認!ディレクターとキャストの皆さんにぜひ会いに行ってみてください!

Japanese Impro Show
開催日時:9月7日(水) 7:30 pm – 9:30 pm
場所:Tightrope Theatre(2343 Main Street Vancouver, BC V5T 3C9)
ディレクター: Rina Shimomura
キャスト: Jupitar Ishida, Kohei Suzuki, Haruno Niiyama and Yuki Kedoin
チケット料:$20+GST

申し込み:https://www.eventbrite.ca/e/japanese-impro-show-tickets-406560141327

Impro for ESL learners
開催日時:9月23日(金)4:00pm-5:30pm
場所:Tightrope Theatre(2343 Main Street Vancouver, BC V5T 3C9)
講師: Rina Shimomura
参加費:$35 +GST
※ワークショップの後にショーも見られるお得なチケットは $50 +GST!

申し込み:https://tightropetheatre.com/impro-for-esl

Tightrope Theatre
タイトロープシアターはインプロ(即興演劇)を専門にする劇場です。プロフェッショナルなインプロ公演やインプロの様々なトレーニングを行っています。

大切にしている考え方

  • 自分をインスパイアして、相手もインスパイアする(Inspire Yourself And Inspire Others)
  • 失敗を恐れずにリスクをとる(Risk Failure)
  • この瞬間の真実をたたえる(Honour The Truth Of The Moment)
  • いつでも学び、いつでも遊び心をわすれない(Always Learn, Always Play)
  • 多様性を讃えて喜び合う(Embrace and Celebrate Diversity)
  • あなた自身の物語を大切にする(Your Story Matters)

住所:2343 Main Street, Vancouver, British Columbia V5T 3C9, Canada
【公式サイト】【Facebook】【Instagram】

※Tightrope Theatre にお問い合わせしたい場合は、理愛さんが日本語で対応してくれます。その際は、こちらのお問い合わせページの下方にあるフォームよりお問い合わせください。(Message入力部分の冒頭に「To Rina」とお書きください。日本語でも構いません。)

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