夏は冷めたい飲み物や食べ物に注意!内臓の冷えによるデメリット

   
  

「坂本由美の暮らしに役立つホリスティック栄養学」第9回
文/一部写真坂本由美

7月になり、いよいよ本格的な夏が到来です。
ここバンクーバーは湿気が少なく過ごしやすい気候ですが、太陽光線はジリジリと焼けるような強さです。 
夜は気温が下がるので時折肌寒いほどですが、こちらでも今の季節はアイスクリーム屋さんに行列が出来ています。スーパーでも色々な種類のアイスクリームが売られていますが、ここ数年でヘルシー志向のアイスクリームも増えてきました。 

上の写真は牛乳を使わないアイスクリームのセクションです。豆乳はもう珍しくありませんが、ココナッツミルク、カシューナッツミルク、ライスミルクなどを使ったアイスクリームも売られています。
この写真を撮った日も暑かったので、既に陳列された商品が隙間だらけでした。アイスクリームの専門店も、Earnest Ice CreamRain or Shine Ice Cream の様に品質や環境にこだわったお店もあります。アレルギーやカロリーを配慮して、少しでもギルトフリーで食べたいと願う人が多いバンクーバーならではの光景かも知れません。

でも冷たいアイスクリームやかき氷、シャーベットは、暑さで火照った身体を冷やしてくれても内臓にはどんな影響をもたらしているのでしょうか?フローズンスムージーや氷入りの飲料水、キンキンに冷えたビールも同じです。 

「冷えは万病のもと」、「冷たい物の摂り過ぎは身体に良くない」と昔から耳にしますが、中国漢方やインドのアーユルベーダでも、基本的に冷たい物の摂取は勧めていません。暑いと感じて火照っているのは外側の皮膚です。熱を測れば分かる様に、暑くても体内温度が一緒に上昇する事はありません。冷たい物を摂取する事によって、内臓も冷えてしまいます。
では、内臓が冷えるとどうなるのでしょうか?

内臓の冷えによるデメリット

消化器官の機能が弱まる
(むくみ、体調不良、食欲不振、免疫低下)

わたし達の内臓は食べ物や飲み物の温度にとても敏感です。特に空腹時や朝一番に冷たい物を摂取すると胃腸は驚いてショック状態になります。機能も低下してしまい、中には腹部の膨張感、顔や首が一日中むくんだり、食欲がなくなるなどの不調を感じる場合もあります。
朝のスムージーがどんなに身体に良い素材であっても、それが冷たく凍っている場合は、せっかくの栄養もちゃんと吸収されていない可能性があります。腸内細菌のバランスも崩れやすくなるので、下痢などの便通不調にも繋がります。
夏は食欲がなく、冷たい物ばかり欲しくなるのは暑さのせいだと思いがちですが、原因は冷たい物の摂り過ぎである事が少なくありません。免疫も低下するので、すぐに疲れたり、風邪を引きやすくなります。

血行が悪くなる
(手足の冷え、老廃物の滞り、太る原因!?)


体内が冷えると、血行(血流)も悪くなります。流れが滞るので血液の循環が手足の毛細血管まで届かなくなります。
人間の身体は体内が冷えると、まずは要である内臓を温めようとするので、血液が身体の中心に集中して手足が冷えます。体内温度が常に低い場合は、内臓は更に脂肪をつけて守ろうとしますので、その結果太る原因にもなりかねません。
体液の循環が悪くなって老廃物が下半身に溜まると、女性の敵であるセルライトの原因にもなります。

ホルモンバランスが低下する
(美容や精神的にも影響する)

血行が悪くなり内臓の機能が低下すると、代謝も悪くなりホルモンのバランスが崩れます。
その結果、胃液の分泌が過多(又は過少)になったり、肌や髪のトラブル、湿疹、むくみ、精神状態も不安定になりイライラの原因になる可能性があります。髪が薄くなったり、秋になって髪が抜け始める人は、夏に冷たい物を摂取し過ぎたからかも知れません。

妊活の敵
(妊娠しやすい身体づくりが大切)


妊活中は冷たい物は要注意です。体内を温める事により月経の正常周期、排卵を促すサポートになります。出来る限り胃腸を整えて、食べ物の栄養を吸収できる身体づくりも大切です。
ヘルシーな温かい食べ物や飲物、どうしても冷たい物が欲しい時も、出来るだけ常温で抑える事で体温を下げない助けになります。

内臓を冷やさないようにするには

冷たい水は火照りをクールダウン、疲れた身体をすっきりとリフレッシュさせてくれる役割もあります。 
大切なのは大量を一度に摂らない事、冷えてしまった身体は温かいスープやゆっくりお風呂に入って温めるのも大切です。体調が優れない時は、欲しくなっても出来るだけ避けた方が良いかもしれません。  

冷たいものに頼らず、暑さを取り除くには、旬の野菜やスパイスを上手く利用するのもよい方法です。
夏に摂れる野菜は身体の熱を冷やしてくれる作用があります。スイカ、きゅうり、トマト、なすなどは代表的な夏野菜です。
インドなどの暑い国では辛いスパイスを使って汗をかき、身体を冷まします。南国はココナッツ、マンゴー、バナナなどがその地域に住む人達にとっての身体を冷やす食材の代表の例になります。

今回は冷たい飲食物にフォーカスしましたが、それ以外にも冷える原因は色々あります。環境やストレス、日々の運動不足なども大きな原因のひとつになります。

暑くて体力が消耗しやすい季節だからこそ、規則正しい生活で胃腸を整えて免疫力をアップさせ夏バテ防止をしましょう。

坂本由美ホリスティック栄養士

SakamotoYumi

京都市出身。 カナダ、バンクーバー在住のホリスティック栄養士。 食生活だけではなく、ライフスタイル全体を捉えたアプローチをモットーにした講座やワークショップ、健康コンソリテーション、地元コミュニティのヘルシーランチメニューづくり、コラム執筆などで活動中。  腸の健康にフォーカスした「発酵食と腸の健康シリーズ」講座では、調理デモストレーションを交えて、昔ながらの知恵である発酵食の利点や第二の脳と言われる臓器の腸について、栄養学をもとにした知識を伝えている。その他にもホリスティック栄養学講座、西洋と東洋の料理のスキルを生かした無添加調味料や保存食の作り方講座も実施。 講座スケジュールやその他詳細はアメブロ「sustainablefeast」とFacebookグループページ「Fermentation & Sustainable Cooking Club」にて。 【カナディアン・スクール・オブ・ナチュラルニュートリション卒業/ホリスティック栄養士資格(R.H.N. )/植物由来食材専門シェフ資格/ローフードシェフ資格/マクロビオティックライフアドバイザー】

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