「坂本由美の暮らしに役立つホリスティック栄養学」第3回
文・一部写真/坂本由美
正月三が日が過ぎて暫くすると、大勢の人が思う事は
「あー、食べ過ぎたー。」
「体重が増えちゃた..。」
「そろそろデトックスしないと!」
ではないでしょうか?
中には胃腸の調子が悪くなったり、風邪を引いたりする人も少なくありません。
12月に入るとパーティーや忘年会が続き、普段よりも外食、会食の回数が増えがちです。 そしてそのままお正月に入るので、どうしても一度に食べる食事の量、種類も多くなる生活が続きます。
胃腸が元気な人でさえも、食べ過ぎや飲み過ぎが続くと内臓が疲れてしまいます。
その結果、身体を修復したり、外的から守ってくれる免疫に不可欠である酵素(代謝酵素)までも消化の手伝いに駆り出されます。 その隙に風邪の菌やウィルスなどが体内に侵入し、体調を崩しやすくなってしまうのです。
ここバンクーバーでもクリスマスが終わり年が明けると、ダイエットモードに切り替わる人も多く、最近ではそれに合わせて各種デトックスサプリメントなどがヘルスストアの店頭に並び始める時期でもあります。
そもそもデトックス(=排毒)やクレンズ(=浄化)って何でしょうか? よく聞く言葉だし、何となく分かるけど、どんな風に体内の排毒や浄化が起こるのでしょうか?
人間の身体がもつ排毒の機能
まず知っておきたい事は、人間の身体(臓器)には排毒の機能が備わっています。
肌
発汗、古い角質と共に毒素や老廃物が排出されます。逆に毒素は肌からも入りやすいので、口に出来 ない物は肌にも付けないのがベスト。 からだを自然素材のブラシでマッサージするもの排毒になります。
肺
呼吸と共に体内の毒素も出入りしています。 森林浴、運動、ヨガなどのストレッチは胸を開いてくれますので、排毒の大きなサポートになります。
腸
大腸に残ったカスや毒素が便として排出されます。さらに腸では体内に入ってきた有害物質を阻止、分解してくれる働きがあります。 でも腸が汚れていると、毒素や有害物質が腸内に溜まってしまい、色々な不調を引き起こす原因となります。
肝臓
送られてきた栄養分に含まれている有害物質(食品添加物、薬物や細菌なども含む)を解毒、分解、浄化して、不必要な物質は腎臓に送られる。肝臓は体内で最も大きな臓器であり、何百もの大切な機能が備わっています。
腎臓
肝臓から送られてきた有害物質、血液中の老廃物、余分な塩分や水などを膀胱に送り尿として排出します。 適量の水分を一日を通して摂る事が大切になります。
各臓器が健康で滞りのない状態であれば、多少の無理をしても身体は自ら修復、調整、治癒する強さを持っています。
いろんなデトックス/クレンズ方法
ただ、暴飲暴食が続いた後、体調不良や病気の時、ストレスが多い生活、白い砂糖や添加物を摂り過ぎた時などは、外からのサポート(デトックス/クレンズ)によって、内臓の負担を減らす助けが可能になってきます。排毒時の春や、不要物を体内に溜めやすい冬前にも効果的です。
デトックス/クレンズには沢山の方法があります。 いくつか例を上げてみましょう。
*ジュース(生)、スープクレンジング
*断食(半日~10日以上)
*ハーブ、サプリメント、クレンジングキット
*食事療法
*砂糖を含む精製食品、食品添加物、嗜好品を摂らない
*浣腸、腸内洗浄(ハイドロセラピー)、下剤
*サウナ(遠赤外線、よもぎ蒸しなど)、デトックスフットバス
どの方法もそれぞれに効果的ですが、共通して言える事は食事制限を行って内臓を休める、または排出する事です。
どれを選ぶかは、自分の体調や生活スタイル、予算などによって決めるのがポイントです。
長期の断食などはプロのアドバイスに従い、血糖値に問題がある場合は避けた方が安全なものあります。
初心者の方は、ハーブやサプリメントなども、からだの様子を見ながら試される事をお勧めします。時に強い好転反応が出る事もあります。
予算がある方は、専門のサロンやクリニックなどに問い合わせてみるのも方法です。
初心者におすすめ「8:16時間ダイエット」
殆どの人は休暇が終わり、仕事や学校に戻る時期です。なので出来るだけ仕事や勉強に支障をかけずに、そしてお財布にも優しい方法で試してみたい方も多いと思われます。
そんな方にも続けやすく、比較的安全なお勧めのデトックス/クレンズ方法があります。それが「8:16時間ダイエット」です。
既にご存知の方も多いかも知れませんが、一日24時間のうち、8時間内で食事を済ませ、残りの16時間は何も食べずに過ごします。 この方法は、デトックスが初めての方や本格的な断食を始める前にも、事前に身体を整えるので効果的です。
大腸では食べ物が約8時間~10時間も留まっています(食種によって異なる)。わたし達は眠っている時間以外は数時間の間隔はあっても、いつも何か口にしている事が多いのではないでしょうか?
このメソッドは16時間なにも口にしない事で、消化器官を休ませ、身体の修復や排毒を促すのが目的です。
病気になった動物が何も口にしないのは、本能的にそれが分かっているからなんですね。
「8:16時間ダイエット」の期待できる効果とルール
8:16時間ダイエットを2週間以上続ける事で、期待出来る効果をいくつか挙げてみましょう。
*エネルギーを作る為に、蓄積された脂肪を燃焼する。(減量効果)
*血糖値を下げる。
*体内の炎症を抑える。
*心臓病の予防(善玉HDLコレステロールを増やす)。
*頭がスッキリ、記憶力が向上。
*便通が改善、肌がきれいになった。
などですが、上記はあくまでも内臓が休まって、機能が向上した結果だと言えます。
このダイエットの基本的なルールは主に以下の通り。
*食事をする8時間は、出来るだけ同じ時刻に設定する。
(例:午前8時-4時、午前10-午後6時、正午-午後8時など)
*食事は毎回、腹八分目(1回の量を食べ過ぎない。食事を回数を増やす事は可能。)
*寝る前の3時間前には夕食を済ませる。
*ダイエット中は出来るだけ嗜好品、添加物、砂糖類を避けて、バランスが取れた食事をする
この「8:16時間ダイエット」を行うにあたり気を付けたいポイントがいくつかあります。
朝食を抜く場合、お昼にはお腹が空きすぎてドカ食いになる可能性がある人は、朝食を摂る事をお勧めします。
体重を減らしたくない人は、良質のタンパク質を毎回の食事に取り入れ、必要であれば食事の回数を増やして下さい。
夜などに空腹で我慢できない時などは、具ナシのみそ汁や野菜スープ、生ジュースや砂糖なしの酵素ジュースは少し飲んでも大丈夫です。
糖尿病、現在治療中の方は、医師やスペシャリストに相談される事をお勧めします。
いずれにせよ、皆さんの生活スタイルに合わせて、まずはハードルが低いところから始められると良いでしょう。基本ルールも出来るところを取り入れて、まずは1日だけ挑戦するだけでも内臓は16時間休めるのです。
新しい一年を健康で過ごせます様に。
坂本由美ホリスティック栄養士
京都市出身。 カナダ、バンクーバー在住のホリスティック栄養士。 食生活だけではなく、ライフスタイル全体を捉えたアプローチをモットーにした講座やワークショップ、健康コンソリテーション、地元コミュニティのヘルシーランチメニューづくり、コラム執筆などで活動中。 腸の健康にフォーカスした「発酵食と腸の健康シリーズ」講座では、調理デモストレーションを交えて、昔ながらの知恵である発酵食の利点や第二の脳と言われる臓器の腸について、栄養学をもとにした知識を伝えている。その他にもホリスティック栄養学講座、西洋と東洋の料理のスキルを生かした無添加調味料や保存食の作り方講座も実施。 講座スケジュールやその他詳細はアメブロ「sustainablefeast」とFacebookグループページ「Fermentation & Sustainable Cooking Club」にて。 【カナディアン・スクール・オブ・ナチュラルニュートリション卒業/ホリスティック栄養士資格(R.H.N. )/植物由来食材専門シェフ資格/ローフードシェフ資格/マクロビオティックライフアドバイザー】