カナダ、低所得者向け自動納税申告制度を導入へ&学校給食プログラム恒久化も発表

   
  

カナダ連邦政府が先日、低所得者向けに自動納税申告制度を導入すること、そして全国規模の学校給食プログラムを恒久化する方針を発表したことを、皆さんご存知でしょうか?

これらは、国民生活の負担軽減と格差是正を目的としています。その内容をお伝えします。

自動納税申告制度が2026年度からスタート


(写真はイメージ)

カナダ政府が新たに導入する「自動納税申告制度(Automatic Tax Filing)」は、カナダ歳入庁(CRA)が保有する情報をもとに仮の申告書を自動作成し、納税者本人の同意を得て正式に申告を行う仕組みです。

2027年の初年度(2026年課税年度)は税務上の状況が比較的単純な約100万人の低所得者を対象にスタートし、2028年は250万人、2029年までに最大550万人規模へ拡大する見込みです。政府は「より公平でアクセスしやすい税制度」を掲げ、申告のデジタル化・自動化を進めていく方針です。

そもそも、所得税申告は多くのカナダに住む人にとって、GST/HST控除、カナダ児童手当、障がい者給付金など、日々の生活費の管理に役立つ重要な財政給付を受けるための入り口となっています。

カナダ政府によると、所得申告を怠り、受給資格のある給付金を受け取れないケースが多数発生していたということで、新制度はこうした人々を支援し、給付金の取りこぼしを防ぐ狙いがあります。マーク・カーニー首相は、幼い子ども2人を育てるシングルマザーがパートタイムの仕事で年収1万5,000ドルを稼いでいる場合、連邦および州の給付金を合わせて最大2万5,000ドルを受け取る資格があると述べました。

学校給食プログラムが恒久制度化へ


(写真はイメージ)

同日発表されたもう一つの重要施策が、全国学校給食プログラム(National School Food Program)の恒久化です。

これまで政府は5年間で約10億カナダドルの投資を行って、既存の学校給食プログラムの対象者に加えて、毎年40万人の子どもに食事を提供することを目指していましたが、今回の決定により、2029〜2030年度からは恒久的な予算として年間約2億1,600万カナダドルを拠出する方針を明示しました。

このプログラムは、全国で最大40万人の児童を対象に給食を提供するもので、家庭の経済的負担を軽減するとともに、学業に集中できる環境づくりを目指しています。政府の試算では、2人の子どもがいる家庭で年間約800ドルの食費削減効果が期待できるとのことです。

カーニー首相は、「ここはカナダです。空腹のまま学校に通ったり、次の食事がどこで手に入るのかと一日中教室で不安に苛まれたりするような子どもは、誰もあってはならないのです。」「すべての子どもたちは学習に集中すべきです。」と首相は述べました。

この恒久化により、州、準州、インディジネスパートナーと協力し、カナダ全土のより多くの学校にこのプログラムを拡大していくことを目指していて、資金提供と法整備を今後進めていく方針です。


カーニー首相は発表の中で、「私たちは、社会で最も弱い立場にある人々を支援するプログラムや取り組みを守るために、現実的な決断を下します。皆さんが前進できるよう支援するプログラムを構築します。」とコメントしています。

まだ少し先の話にはなりますが、どちらも今後に期待したいですね。

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