絶対確認しておきたい学生ビザ関連の4つの重大ニュース。カナダ移民局から発表

   
  

文/ビザJPカナダ代表 白石有紀
ビザJPカナダ在籍のカナダ政府公認移民コンサルタント。カナダ移民コンサルタント協会(ICCRC) 、およびカナダ移民コンサルタント連盟(CAPIC)の正規メンバー。短期ビザ、永住権の申請取得コンサルティングを専門とする。

2023年12月7日、カナダ移民局から学生ビザ関連の4つの重大ニュースが発表されました。

1. 学生ビザ申請に必要な残高証明の金額、大幅引き上げ

2024年1月1日以降の学生ビザ申請では、申請者1人につき、初年度の授業料と渡航費に加えて、20,635ドル、または、それ以上の残高証明が必要になります。

Cost-of-living financial requirementと呼ばれるこの年間生活費の基準額は、過去20年にも渡り変更がなく、現時点では独身の場合で年間10,000ドルに設定されています。ですがこの金額は、実際のカナダの生活費の現状に追いついておらず、この残高を持って渡航しても、カナダに到着してから資金が底をついてしまうという学生が後を絶ちません。

今後この基準額は、毎年カナダ統計局がLow Income Cut Off (LICO=低所得基準)を更新するタイミングで同時に調整されるようになります。2024年からは、LICOの75%に相当する金額の残高証明書の提出を義務付けることになりました。

2. オフキャンパスワーク、就労時間制限の撤廃期間の延長

現在施行されている、オフキャンパス就労を週20時間に制限する規制の一時解除期間が、2024年4月30日まで延長されます。この一時解除期間中、オフキャンパス就労が認められている学生ビザを保持している留学生は、時間制限なく就労することができます。

ただし対象は、すでにカナダに滞在している留学生、および2023年12月7日時点で就学許可証の申請書を提出している申請者に限ります。

移民局は、将来的には、授業の提供期間中に留学生がオフキャンパスで就労できる時間数を現行の週20時間から週30時間に拡大するなどの選択肢を引き続き検討しています。

3. オンライン就学期間も引き続きポスグラ対象に

2024年9月1日よりも前に就学を開始する留学生は、オンラインでの就学期間も、ポストグラデュエーションビザ(PGWP=ポスグラ)の期間算出の際に含めることができます。

これは、2024年9月1日以降に就学する学生には適用されません。

4. ポスグラ延長施策の終了


(2021年1月掲載:COVID-19期間限定措置:ポストグラデュエートビザ有効期限を18か月延長できるようになります)

パンデミックおよびパンデミック後に3度にわたって行われたポストグラデュエートビザ(PGWP=ポスグラ)18ヶ月の追加就労ビザの政策は、これ以上延長されることはありません。

移民局は、来年、留学生を支援することを目的とした新しいアイデアをテストする、的を絞った試験的な取り組みを実施する予定です。また、移民局から各教育機関には、留学生が滞在先確保できることを含め十分なサポートを提供できる学生数のみを受け入れるようにとも伝えています。

Quick Facts

留学生受け入れは年間220億ドル以上の経済活動に寄与しており、これはカナダの自動車部品、木材、航空機の輸出額を上回り、カナダ国内で20万人以上の雇用を支えています。

ケベック州は、ケベック州の教育機関に留学する留学生の生活費基準額を独自に定めており、この基準額は定期的に引き上げられ続けています。

新しい財政ガイドラインは、14カ国の居住者が利用できる特別な就学許可申請プロセスであるスチューデント・ダイレクト・ストリームにも適用されます。

LICO(Low Income Cut Off :低所得基準)について

LICOは、家族の食料、住居、衣服などの生活に必要不可欠なものに所得の大部分を費やす可能性があるとされる所得の「しきい値」を示しています。LICOは貧困や社会政策に関連する議論でよく使用されます。

また、LICOは家族のサイズ、コミュニティの規模、税引き前の所得に基づいて計算されます。そのため、家族の単位のサイズや都市部と農村地域の違いによって異なるLICOの基準が存在します。これらのしきい値は、生活費の変動を考慮して毎年更新されます。

LICOはカナダにおける所得と貧困を評価するためのいくつかの指標のうちの一つであり、他にもLow Income Measure(LIM)やMarket Basket Measure(MBM)などがあります。それぞれの指標は異なる基準を持ち、所得の適正さや貧困に対する異なる視点を提供しています。

 

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