文/ビザJPカナダ代表 白石有紀
ビザJPカナダ在籍のカナダ政府公認移民コンサルタント。カナダ移民コンサルタント協会(ICCRC) 、およびカナダ移民コンサルタント連盟(CAPIC)の正規メンバー。短期ビザ、永住権の申請取得コンサルティングを専門とする。
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カナダ永住権を取得する方法の一つ、アトランティック地方プログラムは、カナダの北大西洋沿岸に位置するアトランティック地方に含まれる4つの州・準州に永住意思のある方向けの永住権申請カテゴリーです。
アトランティック地方 -Atlantic provinces
- New Brunswick州
- Newfoundland and Labrador準州
- Nova Scotia州
- Prince Edward Island州
アトランティック地方プログラムの特徴
2017年からの試験運用期間を経て、昨年の2022年3月から正式な永住権カテゴリーになりました。
アトランティック地方プログラムは、都市部から離れた比較的過疎地域での居住や就労が申請の前提条件とはなりますが、学歴やスキルレベルなど、それ以外の条件は他のカテゴリーに比べて申請条件をクリアしやすいのが特徴です。
この申請に必要となる条件は、試用運用期間を終えて正式カテゴリーになった時点でさらに緩和されていることに注目です。
また申請条件に含まれる「移民局に認定されているアトランティック地方の雇用主からジョブオファーを得ていること」についても、認定されている雇用主リストも増えています。
でも、アトランティック地方に住むってどんな感じ?あまり情報がないのでイメージがわかない!という方が多いのでは?今回は、アトランティック地方で永住権取得を目指すご家族に、その生活についてインタビューしてみました。
アトランティック地方の生活、どんな感じ?
Q: 家族構成を教えてください
A: 夫婦と小学生の子供が2人です
Q: ご夫婦は、日本ではどんなお仕事をしていらっしゃいましたか?
ふたりとも免許取得が必要な専門職に就いていました。カナダでは免許を取るのが大変なので、他の仕事で永住権を目指す、つまりキャリアチェンジとなります。
Q: なぜノバスコシア州に住もうと思われたのですか?
日本で通っていた英語学校の先生がノバスコシア州出身で勧められたことがきっかけです。ノバスコシア州は、親が語学学校の学生でも子供の公立小学校の学費が無料になるということも魅力と感じました。日本でも田舎暮らしでしたので、大都市でないところに住むことは抵抗は全くありませんでした。
Q: ノバスコシア州に住んで良かったことは何でしょう?
落ち着いた環境であることですね。どこへ行っても混雑していないことものんびりしていて気に入っています。アトランティック地方で最大の都市であるハリファックスには都市機能が整っていますので、不便はありません。
(ハリファックスのウォーターフロントエリア)
Q: 逆に苦労したことはありますか?
日本語のLanding Supportが無かったことです。空港送迎、住い探しや生活を始めるにあたってのサポートが一切なかったので、全部自分たちで調べながらやりました。
Q: まず最初はご夫婦ともが語学学校に通われたのですね。留学生の国籍の比率はどうでしたか?
約80%が韓国からの留学生です。中国人も結構いました。日本人は少ないですね。
Q: お子様の学校はどうでしょう?日本語を話す子供はいないですか?
我が家はハリファックスの街の中心部から少し離れた場所に住んでいたので、日本人は全くいない小学校でした。留学生の子供は、街の中心部にある学校に多くいて、日本人留学生の子供はほぼみんな同じ小学校に行っているようです。そこの生徒は、韓国、中国、インド、南米、アフリカなど非常に多国籍で、白人は50%以下です。
Q: 留学生ではなく、ノバスコシア周辺に永住している日本人はどのぐらいいるんでしょう?
日本人会というのがありまして、10家族ぐらいいますよ。
Q: それでは、日本人はみんながみんなを知っているという感じですね。
そうですね、良くも悪くも。小さいコミュニティなので、仲良くなれると色々と誘ってもらえますが、適応できないと苦労するかもしれません。お子さんが環境に慣れず、学校に行けなくなって帰国したご家族もいました。
Q: ハリファックスの生活について伺います。やはり車が無いと生活できないんでしょうね?
いえ、ハリファックスの街に住んでいる留学生は、車無しで生活していらっしゃる方もいらっしゃいますよ。ですが我が家のように、車を持って少し郊外に住むのがおすすめです。家賃も2割ぐらい安くなりますし、子供の学校の環境も良いと思います。
(ハリファックスの街並み)
Q: ハリファックスの街の中心部ですと、家賃はだいたいどのぐらいなのですか?
我が家はベッドルームが4つある大き目の家を借りたので、1カ月4500ドルでした。これだとバンクーバーとあまり変わらないですよね。ちなみに、語学学校が終わりカレッジに行く段階で、カレッジの関係でハリファックスから2時間以上離れた場所に引っ越しまして、そこは広めの2ベッドルームの家で1200ドルです。探せば2ベッドルームで600~700ドルぐらいからあるようですよ。
Q: 今の家はどのように探しましたか?
知り合いの紹介でした。意外とコネ社会ですので、住まいに事に限らず仕事や、何でも、地元の人たちといかに仲良くなれるかが、生活しやすくなるコツだと思います。親切な人が多いので、仲良くなると、誰々さんが貸してる家が空くらしいからここに連絡してごらん、というふうに、いろんなことを教えてくれます。
Q: アトランティック地方の冬は、寒い時期が長いんですよね?
いいえ、実はノバスコシアの冬はあまり過酷ではないですよ。昨年は、マイナス30℃になったのは1回だけ、だいたいマイナス10℃ぐらいです。アルバータやオンタリオよの冬より過ごしやすいんじゃないでしょうか。
Q: 永住権を目指してワーキングホリデービザで来ている日本人はいますか?
はい。でもほとんどの方が、そのあとアトランティック地方で公立カレッジに行きますね。ワーホリがある人も無い人も、外国人はカレッジからポスグラを取って永住権という道が一般的なように思います。
Q: 片方の親御さんとお子さんだけでいらっしゃっている方はどうでしょう?
母親と子供だけ来ている方で短期留学ならいますが、デイケアなど子供を預けられるところがほとんどないので、永住権を目指すような長期滞在はなかなか難しいかもしれません。
Q: 今はご夫婦のおひとりがカレッジ、おひとりが働けるビザをお持ちですね。仕事は簡単に探せますか?
仕事はありますが、日本人相手の仕事は全くないので、カナダ人と同じ土俵に立つという覚悟は必要だと思います。飲食業はもちろんありますが、漁業が盛んなので、漁業関連の仕事も多いです。
Q: アトランティック地方には4つの州がありますが、他州も行ってみましたか?
はい、一通り旅行してみました。アトランティック地方では、ノバスコシア州が一番栄えている州で、他の州はもっとさびれています。住むならノバスコシア州が一番良いと思います。仕事もノバスコシアが一番多いんじゃないでしょうか。
アトランティック地方プログラムに興味がありますか?
ビザJPカナダはアトランティック地方プログラムでの永住権申請をお手伝いできます
1時間におよぶインタビューで、色々なお話を聞かせていただくことができました。受け身ではなく、積極的に地元コミュニティーに入って行くことで、暮らしやすくなるという印象を受けました。人と関わることが好きで色々なことにチャレンジできる方におススメです。ご興味をお持ちの方、まずはご相談ください。