2022年4月に転換期を迎えたバンクーバーの不動産

   
  

昨年2021年以来、カナダ全土において不動産市場は2桁%で売買軒数、不動産価格共に急激に上昇しました。

これは2020年春のコロナウィルス感染拡大による景気減速、後退をくい止める目的で世界的に低金利政策がとられ、カナダの住宅ローン金利も記録的な低さ(1%~2%以下)が続いた結果です。

不動産価格高に比例して高騰する賃貸料を背景に、多くのマイホーム購入者がこぞって住宅を購入した結果、極端な売り物件不足が発生し、更なる価格高騰に拍車をかける現象がおきました。

こちらは過去45年間に渡る、グレーターバンクーバーの不動産価格の推移グラフになります。

*青字 = 一戸建て不動産 赤 =タウンハウスやデュープレックス住宅 *緑 = コンドミニアム

2022年3月以降の金利上昇

超低金利政策を背景に市場に溢れかえった資金が行き場を失い、企業業績や先行き不安にも関わらず株式投資や不動産市場は大活況となり、2021年は大幅な利益を生み出しました。

但し、これらの金利政策は同時に急激なインフレ―ションを招き、カナダを含めた北米や欧州諸国では物価、人件費などの高騰が深刻な問題になっています。

今年に入り各国が金融引き締めに舵を転換し始め、カナダは3月にアメリカよりも早く利上げを決定しました。4月の見直しでも再度0.5ポイント(0.5%)引き上げ、次回の見直しである6月1日にも追加で0.25%~0.5%の上昇が予測されています。

金利上昇による不動産市場への影響

これら金利の上昇は住宅ローン金利の上昇へ直結し、今まで5年固定金利が2%前後だったものが現在では4%前後まで上昇しています。

借入金利が上昇すると住宅購入希望者の借り入れ限度額が大幅に下がってしまい、最悪購入プラン自体を見送らざるを得ない状態になります。

例えば$50万ドルの融資を予定してた人は、金利上昇後は$5万ドル程度低い$45万ドル程度まで融資限度額が下がるため、その分を頭金を増額して補わなければなりませんので、殆どの世帯にとって$5万ドルの増額はなかなか容易ではありません。

2022年4月以降急激に落ち込んだ売買軒数

カナダ全土で4月以降売買軒数が急激に落ち込んでいます。

トロントでは前年同月比で41%減を記録し、バンクーバーでも34.1%の減少となりました。カナダ中央銀行による住宅高騰の抑止策は高い効果を発揮しました。

これにより今後は過去10年の不動産売買軒数の平均ラインを横ばいするとみられ、売り手側と買い手側の均衡のとれたバランス市場となりそうです。

 

売買成約件数と価格推移は比例しないという現実

一般的に売買軒数の減少は価格の下落に繋がると考えられていますが、グレーターバンクーバーの不動産は主に海外からの資本で売買されている特殊なマーケットです。

特にアジアや中東諸国からの資金流入が多く、自国の不安定な情勢や通貨を背景にG7でも最も経済の安定しているカナダの不動産が財産保全目的で購入されてきました。従って売り急ぎやパニック売り、といった短期的要因は少なく、多くが長期保有型の安定投資となっています。

人口の増加に対してまだまだ住宅不足が続いており、賃貸市場も昨年から上昇しています。不動産オーナーにしてみると、安く叩き売りをする必要はなく、引き続き賃貸運用を選択するケースが殆どです。

 

まとめ

パンデミック後は大不況に見舞われるという説もあるくらい、ここ数カ月は投資市場のクラッシュが続き不安定な状態となっていますが、不動産は長期運用プランが基本です。

借入金利は4%前後に上がりましたが、まだ2018年の水準までは戻っていません。ホームバイヤーは今年1~3月のような異常とも言える熾烈な競合を避け、これからはじっくりと物件を見学してから交渉、購入ができるバランス市場は大きなメリットです。

ここ数年で価格が急上昇したフレーザーバレーの物件は、ローカルマーケットで価格が大きく左右されますので、多少の価格下落が予想されます。マイホーム購入には好機と考えられます。

一方これから不動産を売却される方は、より高い競争力が求められますので、事前からの家のメンテナンス、アップグレードは不可欠で、当然セールを担当するリアルターのマーケティングも重要になります。私の方ではこれらをプランニング段階からご相談させて頂いておりますので、お早目にご相談ください。

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