カナダの移民大臣による2022年エクスプレスエントリー戦略の注目ポイント(後編)

   
  

文/ビザJPカナダ代表 白石有紀
ビザJPカナダ在籍のカナダ政府公認移民コンサルタント。カナダ移民コンサルタント協会(ICCRC) 、およびカナダ移民コンサルタント連盟(CAPIC)の正規メンバー。短期ビザ、永住権の申請取得コンサルティングを専門とする。

前回のコラムに引き続き、フレイザー移民大臣(写真上)による2022年エクスプレスエントリー戦略的計画について、その注目ポイントについてお話します。

エクスプレスエントリー運用はカナダの移民政策の要、ですが2年以上に渡る新型コロナパンデミックを経て、昨年末にカナダ移民局は180万件という膨大なバックログ(未処理申請)を抱え、その影響をエクスプレスエントリーも多大に受け、一部カテゴリーを対象とするITA発給が長らく滞っている状況です。

そのため、間もなく(2月14日まで)に予定されている Immigration Levels Plan(移民レベル3ヵ年計画)発表を前にして、エクスプレスエントリー運用の行方に注目が集まっています。

 

2022年エクスプレスエントリー戦略の注目ポイント

① 噂は本当?バックログ処理を優先するため、すでに受け取った申請がキャンセル(返却)される!?

こちらの前回のコラム記事にて詳しく解説しました。

 

② 職種限定のエクスプレスエントリードローの可能性

永住権申請FSW, CEC, FST カテゴリーにおいては、2015年にエクスプレスエントリーシステムが開始して以来、 ITA発給対象者はそのCRSスコアの高さを基準にして選定(ドロー)されてきました。

特にパンデミック前は、どのカテゴリーに該当するか関係なく、とにかくCRSスコアの高さが優先され、CRSスコアが高ければ高い人材ほど、カナダの労働市場にいち早く貢献すると考えられていたためです。

ですが、昨年カナダ移民省大臣に就任したフレイザー大臣は「カナダの労働市場のニーズに合わせた職種限定のエクスプレスエントリードロー」を行う可能性がある、とカナダ弁護士協会(CBA = Canadian Bar Association)に説明をしています。

カナダ政府の2021年予算案でもカナダ政府の意向として「カナダの労働市場のニーズに沿って永住権申請候補者を選定する」ことを見据えエクスプレスエントリーを改革していくことが示唆されています。

対象職種(申請に利用できるNOC)を限定する例として、過去にはFSWカテゴリーでも需要の高い職業として指定された特定の職種コード(NOC)のみに申請候補者が限られていた時期もありました。現在でも、該当職種でないと申請できない連邦政府や州政府のパスウェイプログラムが運用されています。

このように、申請者の職歴に基づいた選定でのITA(永住権申請招待)発給は、カナダ移民局や州政府にとっては長年用いられてきた手法ですが、エクスプレスエントリーにはなかった試みといえます。

このような職種限定での永住権申請候補者動きが、エクスプレスエントリードローにまで適用されていくかが今後注目されています。

 

③FSWとCECカテゴリーのITA発給再開

「バックログの解消」と「人口増加への貢献」のバランスが鍵

パンデミック中のカナダ移民局は、エクスプレスエントリーでの全カテゴリー対象のドローを2020年12月を最後に以降行わず、2021年1月~9月の期間には、CECとPNPカテゴリーのみにITAが発給されていました。

これは、CECカテゴリーに該当する大多数がカナダ国内に在住し、渡航制限や保健省による規制の影響を受けずに永住権取得に進めるであろう、と見なされての判断です。また、PNPカテゴリーを対象にしたITA発給に関しては、カナダ各州の労働市場のニーズに応えるためのものでした。

2021年の後半の数字を見ると、FSWカテゴリーは月間600件しか審査されなかったのに対し、審査が優先されていたCECのカテゴリーでは、月間14,000件審査されました。

ここで問題視されているのは、多くがカナダ在住者であるCECカテゴリーにITA発給しても、それはカナダの人口増加につながらないということです。

そして、CECのみならず、FSWのバックログが増え続けてしまっている現在の状況は、人口増加にも貢献せず労働人口や経済発展にも悪影響を及ぼし、結果カナダにコストがさらにかかることになるとされています。

このことから、バックログ問題を解消しつつ、CECカテゴリーだけでなく、国外から新移民を受け入れるFSWカテゴリーへのITA発給再開することは、移民局が今後解決しなくてはならない重要な課題なのです。

 

Immingration Levels Plan(移民レベル3ヵ年計画) の数値達成も課題

カナダ移民局の最近の資料によると、バックログ急増の大きな要因の一つは、昨年度発表のImmigration Levels Planでの2021年の移民受け入れ目標数401,000人の達成のため、パンデミック中でも渡航制限の影響が少ないCECカテゴリーをメインに大量ITA発給を行ったことと言われています。

2021年の2月にあったCECカテゴリーへのITA大量発給、4月に発表されたTR to PR新永住権パスウェイなどがこの移民目標数達成のためにカナダ国内在住の永住権希望者をターゲットにした施策と言えます。

結果として大量のバックログが発生しただけでなく、カナダ国外からエクスプレスエントリー経由で永住権申請をした人の審査期間が大幅に長くなってしまいました。

そして、現在のFSWとCECカテゴリーへのITA発給一時停止には、この期間中に大量バックログを解消し、結果的に6ヶ月以内にPR審査を完了できるようになることが期待されているのです。

 

2020年エクスプレスエントリー戦略が移民レベル3ヵ年計画にどのように反映されるか

Immigration Level Plan (移民レベル3ヵ年計画)は、毎年秋に、翌年以降の移民受け入れ3ヵ年計画を具体的な数値で示すものです。

昨年秋にはカナダ総選挙が実施されたため、この発表が遅れており、間もなく2月14日までに2022-2024 Immigration Level Plan が公示される予定です。

今回発表される移民レベル計画では、「政府や各省庁の率先事項も考慮した方針をとる」ため、エクスプレスエントリー経由の移民受け入れ数を大幅に減らす可能性もあると言われています。

カナダ移民局の資料が明るみになった時点では、現行の受け入れ計画(2021-2023年版) で目標としている110,500人から50%減らすことも示唆していました。これは、新永住権パスウェイ(TR to PR)からの永住権申請者や、4万人のアフガン難民の受け入れプロセスをまず優先するために必要だという見解があるためです。

これらの見解が、今後のエクスプレスエントリー戦略にどのように影響し、それがCECやFSWカテゴリーのITA発給再開時期を決定付けるかまだわかっていません。これから発表予定の Immigration Level Plan 2022-2024には、今後の方針が反映されているはずです。

申請者の味方であるビザJPカナダは、カナダ移民局の最善の対応を期待しています。まずは新しい Immigration Level Plan 2022-2024 の発表に注目ですね。

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