脂肪を上手に取ろう!アボカドオイル・えごま油などの利点と注意したいトランス脂肪酸

   
  

「坂本由美の暮らしに役立つホリスティック栄養学」第6回
文・一部写真/坂本由美

前回のコラムでは花粉症対策について書かせていただきました。花粉は4月に入ってもまだまだ猛威を振るっていますが、バランスの取れた食事と規則正しい生活、抱えているストレスの対処法などを見直す事も大切になってきます。 

バランスの取れた食事の中には脂肪も入ります。最近はオイルについての情報も豊富になり、エゴマやココナッツ油などは身体に良いと人気商品になっています。 
また、脂質を利用してカロリーを燃焼する、ケトン体ダイエットも流行っています。

一方で脂肪(Fat)と聞くとまだまだ太る原因、ダイエットの敵だと思う人も多いのですが、良質の脂肪を摂る事は健康な身体づくり、美容には欠かせない事なのです。

脂肪の役割


↑バンクーバーでも色々なオイルが売られています。

では、そもそも脂肪はなぜ必要なのか、どんな風に身体に良いのでしょうか?
脂肪は三大栄養素のひとつであり、たんぱく質、炭水化物と同様に人間にとって必要な物質です。体内脂肪はエネルギー源であり、体温を保ち、大切な臓器を守るクッションになっています。 

食事などを通して摂取された脂質は、体内でそれぞれの役目に分かれて使われます。 
体内ホルモン、細胞膜、脳神経の伝達(コレステロール)、目の角膜、皮膚や髪の艶やハリ、ビタミンDの原料にもなります。 これらをサポートしてくれる脂肪分は満腹感も感じやすいので、食べ過ぎを防ぐ事も可能になります。

注意したいトランス脂肪酸

まだまだ脂質には大切な役割がありますが、脂肪ならなんでも身体のサポートになるという訳ではありません。

ファーストフード、ジャンクフードや市販の菓子に多く使われている、人工加工して作ったトランス脂肪酸の食用油脂(ショートニングなど)は、逆に身体に害をもたらす可能性があります。
トランス脂肪酸は体内で炎症を起こしやすく、悪玉コレストロールを増やし、善玉コレストロールを減らします。その結果、心臓病の危険性もあると言われています。 血液でも溶けないため、血管を傷つける可能性があり、血栓や脳卒中のリスクも高くなります。 
ここカナダでは2018年の秋から使用禁止になり、今後数年で店頭から消える方針ですが、日本では少なくなったとは言え、まだまだ使用されている食品が多いので注意が必要です。

身体に良い脂肪は?

では、身体に良い脂肪は何でしょうか?  
脂質を作る脂肪酸には大きく分けると二つのタイプ、飽和脂肪酸(二重結合がない)と不飽和脂肪酸(二重結合がひとつ以上ある)があります。

飽和脂肪酸

飽和脂肪酸は常温でも固まっているバターやチーズなどの乳製品、ラードなどの動物性脂肪、そしてココナッツオイルなどの植物性の物があります。 
飽和脂肪酸は血栓症などの原因になりやすいと敬遠されがちですが、適度な量を摂ることは身体に良いと最近のリサーチや研究でも報告されているようです。

 

不飽和脂肪酸

一方、不飽和脂肪酸は積極的に摂りたい脂質で、オメガ9が豊富なオリーブ油などの植物性油脂、魚、ナッツ、種子類に豊富に含まれています。
その中でも体内では作れない栄養素の事を必須脂肪酸(二重結合を2個以上持つ多価不飽和脂肪酸)と呼び、それらは食事から摂る必要があります。 

必須脂肪酸はオメガ6とオメガ3の脂肪酸があり、日常の食事から充分に摂取できるオメガ6(摂りすぎると体内の炎症などを引き起こしやすい)と比べると、オメガ3は現代人にとって特に不足しがちな脂肪酸なのです。
オメガ3は植物から摂取できる脂質(ALA)、魚介類、海藻から摂れる脂質(DHA、EPA)がありますので、バランス良く食事をする、もしくはサプリメントなどを利用するのも良い方法ですオメガ3が体内で欠乏すると、アレルギーの発症、筋肉、関節の炎症、精神不安定、脳の働きが衰えるなどの症状が起こりやすくなります。 

クッキングオイルのスモークポイント

毎日の料理に使うクッキングオイルも多くの種類が売られていますが、良いとされるオイルも研究が進むにつれて色々な意見があるようです。

クッキングオイルはスモークポイント(発煙点)が大切で、身体に良いオイルもスモークポイントを超えて使う事によって、逆に害をもたらす物質に変化してしまいます。 
昔から日本人に馴染みのあるキャノーラ油(菜種油)はマクロビなどでも使われてきたオイルですが、最近のスーパーなどで陳列されている殆どの物は、危険なオイルのひとつだと言われています。 
その理由の一つに原材料が昔と違う事があります。 

日本で収穫された菜種とは違い、殆どが遺伝子組み換えで作られたカナダ産のキャノーラが原料になっています。収穫後は薬品等が投与されて人工加工されたスモークポイントの高いクッキングオイルが出来上がります。
日本産の無添加、一番搾りの菜種油はキャノーラ油とは全く別物になりますので、菜種本来の栄養価が生きており、色々な料理に幅広く役立つオイルです。

食事から良質の脂肪を摂り、クッキングオイルは色々な種類を使い分けるのが、身体にも経済的にも優しい選択のひとつかも知れませんね。 
わたしはアボカドオイル、グレープシードオイルを調理油として良く使いますが、グレープシードオイルは摂りすぎは避けたいので(オメガ6が多い為)、調理用として少量ずつ使い、ドレッシングなどには使いません。

良質の脂肪を含む食べ物

最後に良質の脂肪が豊富に含まれている食べ物、オイルをいくつか挙げてみたいと思います。

アボカド

たくさんの栄養価を含むアボカドはフルーツの王様だと言われています。 脂質だけではなく、ビタミンE、他の果物と比べるとタンパク質も豊富に入っています。美肌効果もあると言われているアボカドは、 クッキングオイルでも王様格と言えるでしょう。 スモークポイント(270℃)も高いので幅広く料理に使える他、サラダドレッシングとしても活躍します。

エクストラバージン オリーブオイル

今や世界中で愛されているオリーブオイルはコレステロール、血圧を下げ、心臓の健康に良いとされています。 強い抗酸化作用があり、細胞のダメージからも守ってくれます。 購入する際には良質の一番搾りを選びましょう。 値が安い物は混じり物が多いのでラベルを読んで確認する事をお勧めします。 スモークポイントは低いので、弱火でソテー、ベストはドレッシングや調理済みの食べ物にかけて食べる事です。外の光から遮られた黒いガラス瓶に入った物が酸化を防ぎ長持ちします。

エクストラバージン ココナッツオイル

食べる以外にも、肌や髪の潤いトリートメント、口内の殺菌として使われています。 ココナッツオイル(中鎖脂肪酸)は腸で吸収されると速やかに体内で抗酸化力を増しながら脳や筋肉のエネルギーになり、体脂肪になりにくい事も分かっています。 スモークポイントは高いので幅広く使えますが、味に癖があるので焼き菓子や、コーヒーやスープなどの温かい飲み物に小さじ1杯入れて毎日飲むと、脳の健康に良いと言われています。 匂いのないタイプは人工加工されていますので、その過程で栄養価は損なわれています。

ナッツ、シード(&オイル)

ビーガンやベジタリアンにとっては大切な栄養源です。 アーモンド、くるみなどは毎日少量を食べるのがお勧めの食べ方で、生を食べる時には水に浸して下処理(ナッツやシードの下処理法)、もしくはローストして食べましょう。 ナッツバターもお勧めですが、食べる際は無糖の物を選ぶと身体に良いでしょう。 たね類はかぼちゃ、ひまわりの種も栄養価が高く、チアシード、フラックスシード(亜麻仁)はオメガ3が豊富な上に下処理も必要ないので、スムージーに入れたり、サラダに振りかけたり、色々な料理に使う事ができます。水分に触れると粘りが出るのが特徴で、粘りを利用してジャム作りも出来ます。
フラックスオイル、ヘンプシードオイルはスモークポイントが低く酸化しやすいですが、ヨーグルトや野菜サラダにかけたり手軽に摂取出来ます。

グラスフェッド 牛、バター&ギー(Ghee)

放牧牛には脂溶性ビタミン、数々のミネラルが含まれています。オメガ3も含まれているので、値段は張りますが、量より質を重視すると身体に良い選択と言えるでしょう。
バターはスモークポイント(177℃)が高くないので、ソテーやパンなどに塗るのがベストです。ギーはバターから不純物を取り除いた純粋な油分で、インドでは昔から癒しの油として利用されています。 善玉菌を増やし、デトックス効果もあるギーは腸の健康もサポートしてくれます。スモークポイントが高いので、色々な使い方が出来ます。


↑日本初のクラフト発酵ギー

えごま油

テレビなどでも話題を呼んだえごま油。 体内でEPA、DHAを作る原料にもなるα−リノレン酸を豊富に含んでいます。 調理には向きませんので、フラックスオイルやヘンプオイルと同様に使いましょう。

その他にもまだまだ良質の脂肪を含む食べ物があります。

・鮭、鯖、イワシなどの脂肪の多い魚(注:養殖は除く)
・良質の卵
・カカオ(スーパーフードカカオ)
・発酵乳(全脂乳)

繰り返しになりますが、環境の変化、汚染によって食べ物の品質も常に変わりつつある今、それに対応する為にも身体に良いからと言って同じものを食べ続けるよりも、バランスよく色々な物をいただくのが良いのではないかと思うこの頃です。
 

坂本由美ホリスティック栄養士

SakamotoYumi

京都市出身。 カナダ、バンクーバー在住のホリスティック栄養士。 食生活だけではなく、ライフスタイル全体を捉えたアプローチをモットーにした講座やワークショップ、健康コンソリテーション、地元コミュニティのヘルシーランチメニューづくり、コラム執筆などで活動中。  腸の健康にフォーカスした「発酵食と腸の健康シリーズ」講座では、調理デモストレーションを交えて、昔ながらの知恵である発酵食の利点や第二の脳と言われる臓器の腸について、栄養学をもとにした知識を伝えている。その他にもホリスティック栄養学講座、西洋と東洋の料理のスキルを生かした無添加調味料や保存食の作り方講座も実施。 講座スケジュールやその他詳細はアメブロ「sustainablefeast」とFacebookグループページ「Fermentation & Sustainable Cooking Club」にて。 【カナディアン・スクール・オブ・ナチュラルニュートリション卒業/ホリスティック栄養士資格(R.H.N. )/植物由来食材専門シェフ資格/ローフードシェフ資格/マクロビオティックライフアドバイザー】

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