尽くしすぎて疲れていませんか?完璧主義者は気をつけたい「燃え尽き症候群」とは

   
  

「サニー・チャンの読むとスッキリ!心のツボ押し」第10回
文/サニー・チャン

やる気があって、好きなことにパッションに感じて毎日頑張っていたのに、突然、以下のような思いを感じるようになる事があります。

・ある日を境に、パタッとやる気が無くなる。
・心がカラッポになったように感じる。
・人に会いたくなくなる。
・職場でも、エンジンがなかなかかからない。
・以前よりネガティブになる。
・他人の話に耳を傾けられなくなる。
・まるで敗者のように感じる。
・罪悪感を強く感じるようになる。
・「こんなに尽くしているのに」という報われない気持ちで不信感や怒りを感じる。
・「もうどうでもいい。」という気持ちになる。

こうした心理状態の時は「燃え尽き症候群(Burnout Syndromーバーンアウト症候群)」になっているかもしれません。

燃え尽き症候群とは

燃え尽き症候群とは、夢中でやってきたことに対してなかなか結果が出ず、ゴールが見えずに疲れたままの状態が長く続いた結果、上記のような症状が急に起こり、社会的に機能しなくなってしまう心理状態のこと。

特に性格的に責任感が高く熱心な人、完璧主義な人は、プライベートな時間がなかなか持てず、ストレスを抱えきれない状態が続くと、燃え尽き症候群へと移行しやすくなります

生活が仕事ばかりになっていたり、家事や育児に追われていたりする場合などは、注意が必要です。

同情疲労(Compassion Fatigue syndrome)に要注意

また、人のために尽くす職業に就いている人、例えば、先生、セラピスト、看護士、福祉関係、介護士なども燃え尽き症候群になりやすい傾向あります。

こうした人に尽くす仕事に就いている人は、同情疲労(Compassion Fatigue syndrome)を起こしやすいので、ストレスが燃え尽き症候群へと移行する前に、ケアを他人から自分へと変え、セルフケアを優先させることが大切です。

同情疲労を起こしてしまうのは、人に気をつかいすぎる、または関わりすぎる事が要因にもなります。
自分ではどうしようもできない部分まで個人的に感情的移入し続け、仕事を優先しすぎて自分のケアを怠り、仕事とプライベートのバランスを崩すと起こりやすいので注意しましょう。

置かれている環境によっても発症しやすい

また以下のようなタイプや状況の人も、環境条件によりストレスが高くなり燃え尽き症候群になる傾向が強くなります。

*年齢 40歳以下
*独身
*完璧主義者

組織的には、

*従業員をサポートするシステムが整っていない
*上司やスタッフとの関係性が良くない
*いくら頑張っても、今以上のポジションがないし、お給料も据え置き状態

こうした生活を続けてると燃え尽き症候群へ移行し、やる気がなくなり、仕事に行けなくなるなど、うつ病のような症状が出てきます。

ストレス VS 燃え尽き症候群

ストレスにさらされている段階と、燃え尽き症候群の症状を発症している段階では、感情や思考、行動面の状態に違いがあります。
燃え尽き症候群になっているかどうか、チェックしてみてください。

ストレス 燃え尽き症候群
感情面(仕事) 与えられていない仕事以上の部分まで感情移入してしまったり、世話をやりすぎてしまう。 感情の起伏がなくなり、与えられた仕事がこなせなくなる。
感情面(メンタル) 心配する事が増える (放置しておくと、全般心配障害へと発症するリスクが高くなる) 落ち込む事が増える(放置しておくと、うつ病へと発症するリスクが高くなる)
思考面 仕事のことばかり考えている 何も考えられなくなり、思考が停止したようになる
行動面 動きが早くなる 動きが遅くなる
エネルギー面 動きすぎる事でエネルギーが消費され、体力が無くなる 感情によるエネルギーが消費され、モティベーション・パッションが無くなる

燃え尽き症候群にならないための工夫

燃え尽き症候群にならないためにも、日常生活を見直したり工夫したりしてみましょう。

・ランチブレイクはしっかり取る
できるだけ自分のデスクやオフィスを離れて昼食をとり、気分転換をしましょう。

・仕事量を見直す
減らせない場合は、上司と相談したり、他のオプションがないかを探してみたり、または転職を考えてみたりするのも方法です。

・目標は現実的に立てる
完璧主義の人は特に、理想を求めすぎて現実離れした目標を立てていないか注意しましょう。

・バケーションを取る
バケーションが後回しになっている人は、思い切って「〇月にハワイに行く」など決めチケットを取るなど、具体的計画してみましょう。

・時間の使い方を見直す
ワークライフバランスが崩れていないか確認し、仕事などに偏りすぎている場合は時間管理の方法を見直しましょう。

・仕事の内容を見直す
自分が仕事でどんなことを求められているのかをもう一度しっかり把握しましょう。
雇用契約書のジョブ・ディスクリプション(職務項目)をもう一度見直してみたり、上司と確認してみたりしましょう。

・スキルアップを図る
目標をなかなか達成できない場合は、足りない部分のスキルアップを図るなど方向をかえてみましょう。

・趣味を持つ
趣味など気分転換できることをするようにしましょう。

・リラックスできる時間を持つ
1日の終わりに15分でもリラックスすることを習慣化しましょう。

いかがでしょうか。燃え尽き症候群になりやすい傾向や、ストレスと燃え尽き症候群の症状の出方の違いが理解できたでしょうか。

ストレスを感じている人は、気分転換が重要になります。日頃から十分な休息を取るようにしてみてください。
燃え尽き症候群がもう発症している人は、カウンセリングを受けて、うつ病などの深刻な症状へと移行する前にライフスタイルを見直してみてくださいね。

サニー・チャンカナダ公認サイコセラピスト/カナダ・ブリティッシュコロンビア州公認臨床心理カウンセラー

サニー・チャン

大阪府出身。カナダ公認サイコセラピスト、BC州公認臨床心理カウンセラー。 米国ワシントン州シアトル大学で心理学の学士号を取得。シアトルシティー大学院で経営学修士(MBA)取‬得。バンクーバーのアドラー大学院で心理カウンセリング修士課程(MCP)修了。過去10年間アメリカの企業や UBC で人事兼トレーニングマネージャーとして各部署のコミュニケーションを含め、色々‬な人間関係や仕事上での問題解決方法をコーチング。 現在は、心理カウンセリングを通し、人生をリセットするためにどんな「気づき」が今必要なのかを分かりやすく伝えている。 カウンセリングの予約はWebサイトから受付中。

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