日本人に愛されている食材の一つに、ひじきが挙げられます。カナダ在住の日本人の方であれば、「ひじきが欲しい」と一度は考えたことがあるのではないでしょうか？
ひじきを使ったおにぎりや炊き込みご飯、大豆とひじきの煮物、かき揚げ、サラダなど、用途も広いアイテムです。
ただ、「ひじきはカナダで手に入らないもの」と考えている方も多いかもしれません。その理由は、カナダ食品検査庁(CFIA)が「ひじきの摂取は避けた方がいい」と勧告しているためです。
そんな中、先日一般的なお店で乾燥ひじきを発見したので、今回はバンクーバーのどこでひじきが手に入るのか、そしてひじきに対するCFIAカナダ食品検査庁と日本の農林水産省の見解を併せて紹介したいと思います。
目次
バンクーバーのDAISOで乾燥ひじき(Dried Hijiki)を発見した話
早速ですが、先日8月中旬にバンクーバーのダウンタウンにあるDAISO（2021年4月にオープン）へたまたま行ってきたLifeVancouverスタッフ。
店内に入って驚きました。
ひ・・・ひ・・・
ひじき？！？！？しかも50％増量ぉー－－－ほっほっほ！
そう、DAISOで乾燥ひじきが普通に売っていたんですね。灯台下暗しというか、バンクーバーでひじきが購入できることを個人的に想像していなかったので、これはもう相当驚きました。
ただ後々調べてみると、DAISOのInstagramで2022年7月2日にすでにひじきを入荷していたことが発表されていました。
ということで、LifeVancouverスタッフはもちろんひじきを購入。ひじきを食べたいと思っていた方は、ぜひDAISOへ行ってみてください。
輸入禁止っていう話は？ひじきについてカナダ食品検査庁と日本の農林水産省による見解
ここで、「あれ？ひじきってカナダは輸入禁止じゃないの？輸入して大丈夫なの？」と思った方もいるかと思います。
カナダ政府のウェブサイトには、「Inorganic arsenic and hijiki seaweed consumption」というタイトルで、CFIAカナダ食品検査庁によるひじき摂取に関しての勧告が出されています。（※2019年12月9日付で内容が更新されています）
また、日本の農林水産省の「食品中のヒ素に関するQ&A」ページにもひじきの情報がまとめられているので、併せて紹介します。
ひじきはカナダで輸入されている海藻の一種
Based on health risk information received from Health Canada, the Canadian Food Inspection Agency (CFIA) is advising consumers to avoid consumption of hijiki seaweed.
Tests results have indicated that levels of inorganic arsenic were significantly higher than in other types of seaweed. Hijiki is one of several types of seaweed that are imported to Canada for human consumption.
Most hijiki seaweed is sold at the wholesale and restaurant levels.
カナダ保健省から受け取った健康リスク情報に基づいて、カナダ食品検査庁 (CFIA) は消費者にひじきの消費を避けるよう呼びかけています。
試験結果は、無機ヒ素の含有量が他の種類の海藻よりもかなり高いことを示しています。
ひじきは、人が食べるためにカナダに輸入される数種類の海藻の1つです。ほとんどのひじきは卸やレストランで販売されています。
上記を見ると、無機ヒ素のレベルが他の種類の海藻よりもかなり高いものの、カナダにもひじきが輸入されていることが明記されていました。ただ、そのほとんどは卸やレストランでの販売ということでした。
今回DAISO側にもお問い合わせしてみたのですが、カナダでひじきの輸入・販売は可能との返事をいただきました。
以下参考までに、DAISOの商品パッケージに貼ってあったシールです。
無機ヒ素の含有量が高いひじきを摂取すると病気になるかもしれないって本当？
続けて、「無機ヒ素の含有量が高いひじきを摂取すると病気になるかもしれないって本当？」という話ですが、カナダ政府のページには以下のように記されていました。
Consumption of only a small amount of hijiki seaweed could result in an intake of inorganic arsenic that exceeds the tolerable daily intake for this substance. Therefore, consumption of this type of seaweed is to be avoided. Although no known illnesses have been associated with consuming hijiki seaweed to date, inorganic arsenic is suspected of causing cancer in humans and exposure to high levels of inorganic arsenic has been linked with gastrointestinal effects, anemia and liver damage.
ひじきを少量摂取すると、一日の許容摂取量を超える無機ヒ素を摂取する可能性があります。 したがって、この種の海藻の摂取は避けるべきです。これまでにひじきの消費に関連する病気は知られていませんが、無機ヒ素は人に癌を引き起こす疑いがあり、高レベルの無機ヒ素への曝露は胃腸への影響、貧血、肝臓障害と関係があります。
また、日本の農林水産省のウェブサイトにもひじきが体に害を与える可能性があることが書いてあります↓
無機ヒ素が一度に、または短い期間に大量に体の中に入った場合は、発熱、下痢、嘔吐、興奮、脱毛などの症状があらわれると報告されています。また、無機ヒ素が長期間にわたって、継続的かつ大量に体の中に入った場合には、皮膚組織の変化やがんの発生などの悪影響があると報告されています。
通常の食生活における摂取で健康に悪影響が生じた明確なデータは無く、無機ヒ素の摂取量も最大9割程度減らせる
ここまで読むと、「じゃあなんでこんな危ないものを日本でもカナダでも売っているんだ」という気持ちになりますが、ここで知っておきたいことがあります。
それは、農林水産省によると「通常の食生活における摂取で、ひじきが健康に悪影響が生じた明確なデータは無い」ということです。
さらに「ひじきの摂取を含めてバランスの良い食生活であれば問題無い」農林水産省のウェブサイトにはまとめられていました。
我が国では、伝統的に海藻類や魚介類を摂取する食習慣があるため、諸外国と比較して多くのヒ素を食事から摂取しています。しかし、食品安全委員会によれば、通常の食生活における摂取で健康に悪影響が生じたことを明確に示すデータは現在のところありません。ただし、「一部の日本人で無機ヒ素の摂取量が多い可能性があるため、特定の食品に偏らず、さまざまな食品をバランスよく食べることが重要」としています。
ヒジキは食物繊維を豊富に含み、必須ミネラルも含んでおり、我が国の伝統的食材として古くから食べられています。ヒジキの摂取も含めて、バランスの良い食生活を送っていただければ問題ありません。
引用：農林水産省
また、ひじきの無機ヒ素を減らすための有効な方法として以下が紹介されていました。
- 乾燥ひじきを水で戻す
⇒無機ヒソを5割程度減らすことができる - 乾燥ひじきを直接茹でる
⇒無機ヒソを8割程度減らすことができる - 水戻し後にさらに茹でる「ゆでこぼし」
⇒無機ヒソを9割程度減らすことができる(戻し水は調理に使わないことを推奨)
言い換えれば、カナダではひじきは無機ヒ素をかなり多く含むため食べない方がいいと言っているものの、実際に食べる際は乾燥ひじきを水で戻したりするので、無機ヒ素の量は大幅に減っている状態。そして、普通の食べ方・バランスのよい食生活であれば、ひじきに含まれる無機ヒ素の摂取量は気にしなくても良さそうということですよね。
ちなみに、ひじきの摂取を避けるように伝えているのは、カナダだけでなく、英国や米国も含まれます。
最後に：カナダ在住者の方、オンラインでもひじきが購入できます
ということで、いかがでしたか？
日本人としてカナダでもひじきが気軽に食べられるのは本当に嬉しいことですよね。以前は日本からひじきをキャリーケースに入れてカナダに持ってきていたという方も多いかもしれませんが、バンクーバーのDAISOで購入できるので、ぜひ足を運んでみてください。
（LifeVancouverスタッフが知らないだけで、他のアジア系食料品店でも購入できるかもしれません！）
最後になりますが、Amazon.caでもひじき（韓国産）が購入できるようだったので、DAISOが近くに無いという方はこちらも利用してみてはいかがでしょうか？定番のひじきの煮物や、卵焼きに加えたり、白和え、酢の物など、カナダでひじきを楽しんでください。
