カーニー首相、中国製EVの輸入緩和へ。カナダでより安価に電気自動車が購入できる可能性

   
  

カナダのマーク・カーニ首相は先日、2017年以来となるカナダ首相による中国公式訪問を行いました。

中国の習近平国家主席とカーニー首相は北京で首脳会談を行い、相互に課していた関税を引き下げることで合意しました。

電気自動車とキャノーラ油などに関する新たな合意を発表し、近年冷え込んでいた中国との関係修復と貿易摩擦における「大きな進展」を誇示。カーニー首相は「私たちは貿易障壁を撤廃し、カナダの農家、漁業者、そして農産食品セクター全体の労働者に数十億ドル規模のビジネスチャンスをもたらします。」と語っています。

合意の主な内容

(中国側)
3月1日までにカナダ産キャノーラ油への関税を84% → 約15%に引き下げられる見通し
(中国はカナダにとって40億ドル規模のキャノーラ市場)

2026年3月1日から少なくとも2026年末まで、カナダ産のロブスター、カニ、エンドウ豆といったカナダ産農水産物の関税も引き下げられる見通し

(カナダ側)
中国製電気自動車(EV)に対し、従来適用していた100%の追加関税を撤廃。(年間4万9,000台まで:カナダで販売される新車市場の3%未満に相当)枠内の関税率を「最恵国待遇税率」6.1%に引き下げ輸入することを承認

カナダは以前、中国が北米市場で電気自動車に不当な補助金とダンピングを行っているとして、100%の関税を課していました。今回の合意により、年間最大約49,000台の中国製EVが低い関税でカナダに輸入される枠が作られました。

中国製のEVは輸入関税や輸送費を除いてみると、価格が低めに設定されているケースが多く、コストパフォーマンスの高さで世界的に存在感を増しています。

特に、中国国内でも最大規模のEVメーカー「BYD」は、2025年の販売台数でTeslaを抜いて世界で最も多くEVを販売したメーカーになったと報道されていて、海外進出にも積極的です。

連邦政府のニュースリリースには、「5年後にはこれらの車両の50%以上が輸入価格3万5,000ドル未満の手頃な価格のEVとなり、カナダの消費者にとって新たな低価格の選択肢が生まれることが期待されます。」と記されています。

台数の上限は、手ごろな価格の中国製電気自動車の流入を懸念するカナダの自動車メーカーに配慮したものといわれていますが、オンタリオ州首相のダグ・フォード氏は今回の合意を批判し、自身のSNSで以下のように語っています。

(意訳) 誤解してはいけません。
中国はすでにカナダ市場への足がかりを得ており、それをカナダの労働者を犠牲にしながら最大限に利用するでしょう。

連邦政府は、カナダ経済や自動車産業、サプライチェーンへの公平かつ即時の投資保証がないまま、中国製の安価な電気自動車を大量に受け入れようとしています。
さらに悪いことに、中国製EVへの関税を引き下げるこの不均衡な合意は、カナダの自動車メーカーにとって最大の輸出先であるアメリカ市場への道を閉ざすリスクがあり、経済に打撃を与え、雇用喪失につながりかねません。

この混乱を正すために、カーニー首相と連邦政府は、オンタリオ州の自動車産業を早急に支援する必要があります。
そのためには、EV義務化政策を撤廃し、主要な貿易相手国と規制を整合させ、車両製造コストを数千ドルも押し上げ、投資を遠ざけるだけの連邦手数料を廃止することで、産業の競争力を高めることが不可欠です。

中国製車両を輸入するのではなく、連邦政府はオンタリオ州と連携し、ブランプトン、オシャワ、インガーソル、そして州全体の工場の現場に投資と雇用を呼び込むことに注力すべきです。これらの地域では、組立ラインが危機にさらされている、あるいはすでに国外へ移転してしまっています。

農家であれ自動車労働者であれ、カナダ国民は成功するためのあらゆる機会を与えてくれる連邦政府を期待し、それに値します。
私はカーニー首相に対し、オンタリオ州と協力してカナダの自動車産業を弱体化させるのではなく、強化するよう強く求めます。

共に、オンタリオを守り、カナダを守りましょう。

トランプ米政権の関税政策が不安定要因となり、カナダは最大の貿易相手国であるアメリカ依存の貿易構造を見直し、多角化を模索しており、今回の中国との関係改善を後押ししたとみられています。

中国との新たな貿易合意により、カナダ国内では手ごろな価格で中国製電気自動車が購入できる可能性が高まりました。一方で、今後の自動車産業への影響や国内メーカーへの対応策については、引き続き議論が求められています。
カナダが多様な貿易パートナーとどのようにバランスを取りながら成長していくのか、今後の動きにも注目したいところです。

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