文/ビザJPカナダ代表 白石有紀
ビザJPカナダ在籍のカナダ政府公認移民コンサルタント。カナダ移民コンサルタント協会(ICCRC) 、およびカナダ移民コンサルタント連盟(CAPIC)の正規メンバー。短期ビザ、永住権の申請取得コンサルティングを専門とする。
こちらの記事は動画でも解説しています
カナダ移民局は、今後のカナダ移民受け入れ計画として、各州ノミネーションプログラム(PNP: Provincial Nominee Program)を通じて発給する永住権を拡大すると発表しています。
これについては先日、こちらのブログ(移民受け入れ枠が拡大する各州ノミネーションプログラム、今後の傾向は?)でも記事にしました。
今回の記事は、今週発表となったBC州ノミネーションプログラム(BC PNP)2022年の統計と総括について、弊社のお客様に得に関係する部分やご興味がありそうな部分を抜粋してご紹介します。
BC PNPは2001年に創設され、限られた数の移民希望者を戦略的に選抜し、カナダの永住権取得のために移民局に推薦するプログラムです。BCPNP は、BC 州に居住し、仕事や事業を営むことによって州に経済的利益を生み出す移民を州政府が直接選考する手段です。
2022年 BC PNP の統計・総括
参照データ:統計に関する情報および各画像は BC PNP Statistical Report and Year in Review 2022 より引用しています。
割り当て推薦枠
カナダ移民局は毎年、各州・準州に推薦する人数枠を割り当てます。2022年、BC州は7,000人の推薦枠があり、その割り当てをすべて使用しました。
下表が示すように、COVID-19の流行期(2020年と2021年)を除いて、BCPNPはは通常、割り当てられた推薦枠をすべて使用しています。カナダ政府は最近、今後3年間の指名枠の増加を暫定的に承認する方向で動いています。
この新しい長期計画システムにより、BC州は2025年には10,000人の推薦枠を達成する見込みです。
登録プールとITA発給(永住権申請への招待)
– 登録プール
BC PNPは、オンライン・ポイント・ベースのシステムを使って、スキルドワーカー、留学生、セミ・ロースキルのカテゴリーの申請受付を管理しています。申請希望者はまずこのシステムに無料登録をします。
そこで、登録者は以下にあるBC PNPが求める人材として合致しているかどうかを、以下の6つの要素に基づいて査定されます。登録が受理されると、自動的にスコア化され、候補者としてランキングされた状態で登録プールに登録されます。
- 教育レベル
- 経験
- 語学力
- 職業
- BC州の雇用主からオファーされている給与
- 勤務地
– ITA発給
永住権申請に進むには、登録者は申請招待状(ITA)を受け取らなければなりません。BC PNPはiTA発給対象者を選定するドローイングを定期的に行い、最も得点の高いアクティブ登録者からITAを発行します。一部のドローイングは、よりニーズの高い職種に限定して実施されています。
ITAを受領すると、30日以内に永住権を申請しなければなりません。ITAを受け取るために必要な最低スコアは変動し、BC PNPの処理能力、登録者の規模やスコアなどの要因によって決定されています。
ノミネーション(推薦)
BC PNPは、カナダ政府からの割り当て人数枠の約99%をSkills Immigrationストリームと呼ばれるスキルドワーカー職種で職歴や学歴のある人を対象とした申請枠に、残りを起業家、経営者を対象にしたEntrepreneur Immigrationストリームの申請枠として使用しています。
2022年、BC州は7,000件の割り当てを受け、そのうち6,966件をSkills Immigrationストリームに使用しました。以下の図と表は、各ストリームのノミネートの全体的なシェアと、より詳細な内訳を示しています。
優先職種
– Tech系職種
近年、BC PNPは、戦略的に重要で需要の高い職種を優先的に扱うようになってきています。
その最初の取り組みが、2017年にBC州のハイテク企業の人材ニーズへの対応を支援するため、IT技術系職種を対象にした試験運用ストリームが導入されました。これは、ハイテクセクターの雇用主に対するコンシェルジュ・サービスと、特定のハイテクに特化した職種の労働者に対するITA優先発給を導入したものです。
この試験運用ストリームは、2021年5月、BC PNP Techという新しい名称のもと、常設のストリームとなりました。
– 医療・ケア職種
BC PNP Techの効果に基づき、BC PNPでは、医療、幼児教育、獣医学分野の労働力を支援するため、より具体的で的を絞ったITAの利用を拡大しました。
以下の表は、Skills Immigrationストリーム推薦者のうち何人が医療関係の仕事に就いているかを示しており、その内訳は、何人がBC州の保健当局のいずれかに雇用され、何人がその他の雇用主で働いているかを示しています。
保健医療従事者の優先順位が高まったことにより、2022年の保健医療職の推薦者数は74%増加しました。
出身国別の統計
BCPNPでノミネートされる人の多くはアジアの国々出身です。
2022年候補者の63%は、南/中央アジア、または東/東南アジア出身です。その他、ヨーロッパ(11.6%)、ラテンアメリカ/カリブ海諸国(9.1%)などが多くなっています。
職種の変動
2022年、主な職業カテゴリーの分布に注目すべき変化が見られました。
自然科学・応用科学とその関連カテゴリーが最大の伸びを示し、引き続き最大のグループとなりました。2番目に増加した職種は、教育、法律、社会/コミュニティ/政府サービスで、2021年のSI候補者の4.9%から2022年の9.5%に増加しました。
この増加の主な理由は、BC PNPが幼児教育分野の労働者を優先的に採用したことです。同様の優先順位付けにより、保健医療従事者も2.4%から3.7%へと顕著に増加しました。
地域分布
BC PNPで推薦を受けた人の主な居住場所は、メインランド/南西部開発地域で、2022年には81%でした。そのほとんど(全体の74%)はメトロバンクーバー地域区です。2021年から2022年にかけてバンクーバー市に定住する候補者が大幅に増加し、21%から34%に増加しました。
メインランド/南西部以外の地域では、ほとんどがバンクーバー島/沿岸部(ビクトリアやナナイモなどの都市を含む)、またはトンプソン/オカナガン地域(以下の都市を含む)です。
給与
平均給与と中央値の両方がありますが、中央値のデータが各カテゴリーの標準的な給与を最も正確に示しています。
ビザJPカナダがサポートするPNPでのカナダ永住権申請
今回BC州が提供したようなノミネーションプログラムの統計結果、分析は、他の州でも行っているはずです。この情報を一般向けに公開しているかどうかは州ごとに違いますが、BC州に関しては、大変興味深い結果を見ることができたと思います。
BC PNPは、2022年11月に、大幅なプログラムの変更がありました。これを受けて、2023年はさらに大きく変わっていると予想します。特に、地域の分布が変わるものと思いますが、地域性の変化に伴い、職種の分布も変わるのではないでしょうか。
ビザJPカナダでは、こういったことを読み解き、これから永住権を目指す皆様に、より良いアドバイスをしていきたいと考えています。
ビザについて相談したいことがあるときは、ビザJPカナダの移民コンサルタントまで気軽に連絡してみてください。