文/ビザJPカナダ代表 白石有紀
ビザJPカナダ在籍のカナダ政府公認移民コンサルタント。カナダ移民コンサルタント協会(ICCRC) 、およびカナダ移民コンサルタント連盟(CAPIC)の正規メンバー。短期ビザ、永住権の申請取得コンサルティングを専門とする。
【今週のビザニュース】5月18日配信分をYouTubeへアップしました
〇カナダ移住後にかかる医療・福祉費は?
〇カナダ国籍取得を規制する「2世カットオフルール」とは?詳しくは動画で解説しています 🔽https://t.co/S2UeiRE9Wt
— ビザJPカナダ (@canada_visa) May 26, 2023
国外生まれのカナダ人の子どもに対する国籍付与
カナダ市民権法(カナダの国籍に関する法律)では、子どもが生まれた際、その親(実の親、法的な親)のどちらか片方でもカナダ市民権を持っていれば、その子どもがカナダ国外で生まれた場合であっても、カナダの国籍(=市民権)を取得することができるとしています。
カナダ市民権法は、1947年に施行されて以来、何度も改正されてきました。ですが、カナダ国外で生まれた人について、親の片方でもカナダ人であり、一定の年齢までに政府に登録すればカナダ国籍を付与するということについては、長年に渡りこれを認めていました。
2009年、2世カットオフルールの制定
しかし2009年、政府はカナダ国外出生でカナダ人の国籍を取得できるのは初世代目までとするという、「2世カットオフルール」を決定しました。
当時の移民大臣であったダイアン・フィンリーは、この変更は「便宜的なカナダ人」を増やすことを制限しカナダとの真のつながりがある者のみが国籍を保有することを目的としてを制定された、と述べています。
「2世カットオフ・ルール」に関する訴訟
2009年に導入されたこの「2世カットオフ・ルール」は、出生地による差別、移動と自由の権利を侵害し、カナダ国外で出産しなければならないやむを得ない事情のある女性が、不合理に不利益を被るとして、現在、7家族23人が関わる訴訟が行われています。
海外で生まれた子孫へのカナダ市民権の継承を、カナダ政府が最初の世代のみに制限することは憲章に違反しているかどうか、オンタリオ州高等裁判所が今後、これを判断することになります。
2009年の新規制導入当時、フィンリー大臣は「2世カットオフ・ルール」は、カナダの地に足を踏み入れることもなく、カナダとの実際のつながりもなく、単にカナダに住むという選択肢を残すためにカナダ国籍を求める「便宜上カナダ人」についての懸念を呼び起こしました。
しかし、この訴訟の弁護人であるSujit Choudry氏は「この訴訟を起こしている人たちは、便宜的なカナダ人ではない。彼らは小さい頃にカナダに戻り、形成期をカナダで過ごしたのです」と述べています。
カナダ生まれのカナダ人、またはカナダに帰化したカナダ人は、自分の子どもが海外で生まれたとしてもカナダ国籍を取得させることができるのに、海外で生まれたカナダ人の親にはそれが許されない。
これは作為的な区別であり、差別の典型であると弁護団は主張しています。
カナダ人であることの証明「カナダ市民権証明書」
カナダ政府による、カナダ国籍保持者(カナダ市民)であるかどうかの正式な認定プロセスは、カナダ市民権証明書の取得申請をすることです。
このカナダ市民権証明書は、カナダ移民局から発行され、カナダの出生証明書と同様に、カナダの市民権保持者であることの証明となります。カナダ市民権証明書はいつでも申請することができます。カナダ人の親の存命に関わらず、申請書を提出することができます。
カナダ市民権証明書の申請方法
カナダ市民権証明書を申請するには、移民局のウェブサイトから申請パッケージをダウンロードする必要があります。
申請の際は、申請者の親(実の親、法的な親)の少なくとも一人が、申請者の出生の時点でカナダ市民権を保持していたことの証明が求められます。申請書類はオンラインで提出することができます。移民局が申請書を受理すると、「受理通知」が届き、審査・処理されます。
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