※この記事は2015年7月21日時点での情報を元に書いています。
photo from http://www.vancouverobserver.com/blogs/
2005年7月20日(水)の18時9分にカナダ全土で同性婚が合法化されてから、2015年で10周年となりました。
今回はカナダを含め、世界の同性愛事情を調べてみました。
1.カナダ、同性愛の歴史
photo from http://equallywed.com
まずはカナダの同性愛の歴史について簡単に振り返ってみます。
1859年
イギリスのソドミー(反自然的性行為)禁止法をカナダ法規として採用、罰則に死罪を設けて1869年まで厳罰化。1892年には大幅に改定され、男性の同性愛行為はすべて「品位に欠ける淫らな行為」とされました。
1965年
カナダ最高裁判所が、同性愛者だったEverett Klippertさん(1926–1996)に「危険な性犯罪者」として無期刑の予防拘禁刑(≒終身刑)を言い渡します。
photo from http://lgbtqrightscanada.tumblr.com/ (参考:http://natgeo.nikkeibp.co.jp/)
1969年
この年、同性愛行為が合法化。
1977年
ケベック州で性的嗜好による差別が世界で初めて法的に禁止されました。これにより、公私に関わらず全ての人に同じ人権、権利が認められるようになりました。
1988年
カナダの政治家Svend Robinsonさんが全国区のテレビ番組を通して自身がゲイであることを発表。カナダで初めてオープンゲイのメンバーが議会に誕生。数ヶ月後、トロントでのプライド・パレードを先導。
photo from https://en.wikipedia.org/wiki/Svend_Robinson
(参考:https://en.wikipedia.org/wiki/Svend_Robinson)
1999年
最高裁がLGBTQカップルでも、年金や通院、税金の面で異性カップルと同じ権利を受けるべきだと述べました。
※LGBTQ・・・レズビアン、ゲイ、バイセクシャル、トランスジェンダー、ジェンダークィアの略
2003年
オンタリオ州(6月10日)とBC州(7月8日)で同性婚が認められました。ブリティッシュ・コロンビア州はカナダで2番目に同性婚が認められた州となり、この年には735組の同性カップルがBC州で挙式を行いました。(参考:Wikipedia)
photo from http://gayvancouver.net/same-sex-marriage/how-to-get-married/
2004年
ケベック州(3月19日)、ユーコン準州(7月14日)、マニトバ州(9月16日)、ノバスコシア州(9月24日)、サスカチュワン州(11月5日)、ニューファンドランド·ラブラドール州(12月21日)で同性婚が認められました。
写真は、Michael HendricksとRené Leboeufさん。ケベック州で同性婚が認められ、初めて結婚式を行ったカップルとして話題となりました。
photo from https://en.wikipedia.org/wiki/
2005年
ニューブランズウィック州(6月23日)で同性婚が認められました。
そしてカナダで6月に同性婚を合法化する法案を可決したのに続き、最高裁判事の承認を経て、カナダ全土で同性婚が合法に。(7月20日)
これにより、アルバータ州、プリンスエドワード島、ヌナブト準州、ならびにノースウェスト準州でも同性婚が法的に可能となりました。
photo from http://www.nbcnews.com/id/8391828/ns/world_news/t/
法案では、新しい結婚の定義は公的機関によるもので、宗教機関は信仰に基づいて結婚を定義できるとし、これまで法案に強く反対したキリスト教徒ら宗教者に配慮を示したカタチになりました。(参考:Christian Today)
また7月20日以前で、「カナダでは3,000組以上の同性カップルが結婚していた」とこちらに書かれています。
2.カナダの同性婚について
photo from http://www.catholicanada.com/wp-content/uploads/2015/05/li-same-sex-620.jpg
オンタリオ州で同性婚が認められた2003年6月から2006年10月までで、カナダでは12,438組の同性婚が行われました。その半数をオンタリオ州が占め(6,524組)、その後にBC州が続いています。(3,927組)
また、同性婚が当時認められていなかったアメリカなど、世界中の同性カップルがカナダを訪れ、結婚式を挙げました。カナダ在住者以外でも、男女問わず「正式」に結婚できるためです。
2014年にはトロントにある「カサ・ロマ城」で世界中から集まった110組もの同性カップルの合同結婚式も行われました。
日本で暮らす日本人同性カップルが夢見る結婚が、ここカナダでは可能なのです。
3.同性婚をすることができる国
photo from https://ja.wikipedia.org/wiki/ ※2015年7月21日現在
ところで皆さん、世界には何ヶ国あるかご存知ですか?そしてそのうち何ヶ国で同性婚が認められていると思いますか?
以下の表は、同性婚をすることができる国の一覧です。(参考:wikipedia)
国 | 施行年 |
---|---|
オランダ | 2000 |
ベルギー | 2003 |
スペイン、カナダ | 2005 |
南アフリカ共和国 | 2006 |
ノルウェー | 2008 |
スウェーデン | 2009 |
ポルトガル、アイスランド、アルゼンチン、メキシコ | 2010 |
デンマーク | 2012 |
ウルグアイ、ブラジル、ニュージーランド、フランス、イギリス | 2013 |
ルクセンブルク | 2014 |
スロベニア、アイルランド、アメリカ | 2015 |
外務省のウェブサイトを見ると世界には196の国がありますが、同性婚をすることができる国はたった21ヶ国です。(※2015年7月21日現在、同性婚法が施行されている国に限って掲載しています。)
カナダは世界で4番目に同性婚が認められた国となっています。
4.カナダと日本の同性愛 / 法の違い
photo from http://torodeow.exblog.jp/i18/
次にカナダの同性愛に関する法的な面を日本と比べてみました。(参考:Wikipedia)
項目 | カナダ | 日本 |
---|---|---|
同性間の性交渉 | ◎1969年より合法 + 国連の同性愛非犯罪化宣言に署名 | ◎1872年-1881年一杯までを除き合法 + 国連の同性愛非犯罪化宣言に署名 |
同性間の関係性の承認 | ◎OK | △全国的には未承認。渋谷区で一部承認 |
同性結婚 | ◎合法 2003年に一部の州、2005年までに全州 | ×NO |
同性カップルによる養子縁組の引受 | ◎OK | ×NO |
同性愛者を公表しての軍隊勤務 | ◎1992年よりOK | ◎OK |
反差別(性的指向) | ◎ヘイトスピーチも含む全ての反同性愛差別が禁止 | △国による規制は無し。一部の自治体は条例により同性愛差別を禁止 |
性自認およびその表現の関連法 | ◎性転換が合法。ノースウエスト準州のみ反差別保護が明記されている。 | ◯性別適合手術の後にトランスジェンダーは性別の変更が可能だが、現に婚姻をしていないこと、未成年の子がいないことが条件 |
日本はカナダと比べれば認められていることが少ないのは事実です。しかし世界的に見れば、同性間の性交渉が発見された場合、終身刑や死刑になる国も未だに多いのが現状です。(例:イランでは死刑、パキスタンでは終身刑の可能性も)
5.カナダは同性愛者に優しい・理解のある国「第6位」
photo from http://www.gaytraveladvice.com/israel-lgbt-gay-tours-israel-gay-travel-advice/
ドイツのゲイ専門旅行ガイド「Spartacus International Gay Guide」が世界138の国と地域を対象に、ゲイ・フレンドリーな国をランキング化した「ゲイ・トラベル指数」を2013年に発表しました。
photo from http://www.spartacusworld.com/gaytravelindex.pdf
これは同性愛者にとって、その国が旅行先として適しているかを総合的に調査したもので、カナダは第6位に選ばれています。
アジア圏で同性婚を認められている国はないので、アジアの国々はこぞって下位となっています。ちなみに日本は第60位でした。
6.最後に
photo from https://shimamyuko.wordpress.com/2015/06/26/
2015年6月26日にアメリカの最高裁が同性婚を認め、事実上、全米で同性婚が合法化されました。カナダ全土で同性婚が認められてから約10年という歳月が流れていました。
Today is a big step in our march toward equality. Gay and lesbian couples now have the right to marry, just like anyone else. #LoveWins
— President Obama (@POTUS) 2015, 6月 26
これにはオバマ大統領もツイッターでお祝いの言葉をつぶやいています。
photo from http://www.huffingtonpost.jp/
そして日本では2015年3月31日に、東京都の渋谷区で同性カップルに対して「結婚に相当する関係」と認める「パートナーシップ証明書」を発行するという条例が成立しました。
世界から見れば小さな一歩ですが、これは日本で大きな一歩と言っても過言ではないと思います。
(同性愛者の苦悩と幸せを描いたミュージックビデオ。涙が出ます。)
カナダでは同性愛が日本より受け入れられているのは確か。でも、もちろん未だに差別意識はあります。全ての人に好かれるのが無理なように、全ての人が同性愛者を認めることは、もしかしたら永遠に叶わないことなのかもしれません。
でも、いつか世界中で、好きな人が好きな人と何の隔たりもなく愛し合える日が来ればいいな、とぼくは思います。
photo from http://o.canada.com/news/universal-marriage-equality-for-everyone-is-the-only-answer
別に同性愛者に生まれたくて生まれた人なんていないのだから、後は一人ひとりが個々を本当に尊重できるようになれば、そんな夢みたいな日だってきっと来るはずだと思いませんか?
この記事が皆さんの同性愛の理解にちょっとでもなれば嬉しいです。
それではまた。