硬水?軟水?日本とは違う?!知っておきたいバンクーバーの水道水事情

   
  

2019年、BC州アボッツフォードのClearbrook地区の水道水がBerkeley Springs International Water Tasting Competition
の水道水部門においてBest in the world(Gold Medal)に輝きました!

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photo from Berkeley Springs International Water Tasting Competition
水道水テイスティングの様子

実はこのClearbrook地区、私が過去に住んでいたブロックなんですが、ここの水道水は2016年、2018年にもBest in the worldに選ばれています!(嬉しいけど私は水の味の違いが分からない女)

私はバンクーバー市内に住んでいた頃も水道水をガバガバ飲んで(超絶お腹強い)いましたが「実際のところ、バンクーバーの水はどうなんだろう??」と思い、今回はバンクーバーエリアの水道水事情について調べてみました。

バンクーバーの水道水は飲んでも安全?

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photo from Vancouver Costal Health

Vancouver Coastal Healthによるとメトロバンクーバーエリアは水道インフラが整っており、水道水をそのまま飲んでも安全だそうです。

具体的にはろ過し、UVライトをあてバクテリアなどを調整し最終的な処理を経て水道に届くようにされているんだとか。
こちらの動画で紹介されています。

キャピラノとシーモア水源の水は地下のトンネルを通り、両方ともシーモア-キャピラノフィルタープラントで処理されています。


photo from metrovancouver

基本的に安全に飲めると言われている水道水でも、そのまま飲むには注意が必要な場所もあります。
あまり設備の整っていない公園や郊外のキャンプ場、老朽化した水道システムを使っている地域や建物などには「水道水を煮沸してから使うように」というboil water advisoriesが出されます。

また、「Not drinkable」「Not drinking water」などと書いてある水道の水は飲んではいけません。

バンクーバーと日本の水の硬度

一般的に日本の水道水は軟水と言われています。(沖縄や関東の一部地域は硬水が供給)
一方カナダはというと、こちらも一概には言えませんが硬水の地域が多いようです。

水には主にカルシウムイオンとマグネシウムイオンが含まれていて、水1000ml中に溶けているカルシウムとマグネシウムの量を表わした数値を「硬度」といいます。WHO(世界保健機関)の基準では、硬度が120mg/l以下を「軟水」120mg/l以上を「硬水」といいます。簡単にいうと、カルシウムとマグネシウムが比較的多く含まれる水が硬水になります。東京の水道水の硬度は60mg/l前後で軟水

ミネラルウォーターのEvian公式HPより

では実際のバンクーバーの水の硬度を計算してみましょう。

バンクーバーの水硬度

メトロバンクーバーではキャピラノ、シーモア、コキットラムの3つの山がメインの水源となっています。

2020年のCity of Vancouver作成 Vancouver Water Quality Annual Reportによれば

水源地 カルシウム マグネシウム 硬度
Capilano水源 1.16mg 167μg 3.6mg/l
Seymour水源 1.67mg 182μg 4.9mg/l
Coquitlam水源 0.83mg 98μg 2.5mg/l

となっています。*数値は水道水として処理された後のもの

「やっ、軟らかい・・・」

トロントの水道水は程良く硬水だそうですが、付近のグエルフ、キッチナー、ウォータールーエリアは非常に硬い水だそうです。
カルガリーやエドモントンも硬水です。

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メトロバンクーバーの水がこんなに軟らかいのは、大元となる源水が雨だから。
レインクーバーとも呼ばれるバンクーバーは雨季が長く、冬の間も比較的暖かいので雨の水は長い間岩山に溜まらずに流れてきます。
トロントやエドモントンなどの硬水の地域の水源は川の水です。冬の間の雪や氷が解け、地層から染み出した川の水はミネラルを多く含んだ硬水になります。

軟水と硬水に適した使用法

メトロバンクーバーのお水は軟水!ということが分かりました。
どうやら硬水と軟水では適した使用方法が異なるそう。
以下にまとめてみましたので参考にしてください。

軟水 硬水 
和食全般 スープストック
出汁をとる 灰汁の多い料理
魚を煮る 硬めの肉を煮る料理
日本米 パスタ
日本茶 紅茶/コーヒー

軟水は基本的に出汁をとるのに適しているので和食文化・茶道の発達に深く関係しているようです。
硬水は日本の粘りのあるお米を炊いたり、馴染み深い和食にはあまり適していないようですが、パスタを茹でたり、灰汁とりをしたり、コーヒーを飲んだりする事に適しているようです。

バンクーバーでも案外美味しく日本食が作れちゃうということですね!

またMetroVancouverでは洗剤や石けんの使いすぎに気をつけるよう呼びかけています。

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なぜなら、こちらのほとんどの石けんや洗剤・シャンプーなどは中〜硬度の水に合わせて作られており、バンクーバーのようなとても軟らかい水では使用量が規定の半分でも十分に水に溶け威力を発揮するとのこと。

また、これらの商品に含まれる界面活性剤が使用済みの水から完璧に処理されるのは難しく、そのまま水に残ってしまい魚などの水中の生態系に悪影響を与えることが懸念されています。

洗濯用洗剤が家庭から排出される界面活性剤の一つの大きな原因とされているので、使っている洗剤の規定量より少し少なめに使ってみてくださいとのこと。

さらに、ブリーチをベイキングソーダ(重曹)に変えるか、塩素を使ってないもの(chlorine-free)または酸素系酸化漂白剤( hydrogen peroxide bleaches. )を使うことを推奨しています。

まとめ

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photo from Vancouver Coastal Health

最初にも書いた通り、メトロバンクーバーの水道水はそのまま飲んでも安全です。
安全ですが美味しいということではありませんので、個人差で臭いや違和感を感じる事もあるでしょう。
臭いが気になる方はBritaやZero Waterなどのフィルターでろ過したり、煮沸してから飲むことをお勧めします。
また一晩冷蔵庫に入れておくことで塩素はほとんど消えるそうなのでそちらも試してみてはいかがでしょうか?

最後に、日本と違いカナダは水道代を使った分だけ支払うというシステムではなく、固定資産税の中に含まれているため個々で支払うことがありません。(お住まいの地域によって異なります)
このことが人々に綺麗な水がいつでも使える事の有難さと、その裏で水をクリーンで安全に保っている人たちの努力を忘れさせてしまているのでは?という声もあるようです。
自然豊かで美しいバンクーバー。住んでいる私たちも大きな恩恵を受けています。個人でできることは気をつけて水源を綺麗に保っていきましょう!



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