カナダの産婦人科医と助産師(Midwife)、どちらを選ぶ?メリットとデメリットは?

   
  

カナダのブリティッシュ・コロンビア州(BC州)で妊娠をした場合、
産婦人科医助産師(Midwife)のどちらに検診や出産を担当してもらうかを自分で決めることになります。

私もカナダで妊娠をした際に、周りから「初めての出産なら産婦人科がいいよ!」「いや、助産師の方がケアが手厚くてお勧め!」と両方の意見を聞いていたので、どちらを利用するか悩みました。

今日は、産婦人科医と助産師の違い、それぞれのメリットとデメリットなどをまとめてみました。

1.カナダの助産師(Midwife)とは?

ミッドワイフと呼ばれるカナダの助産師は、各州が個々に認めている公的資格です。ここBC州では約300名の助産師が活動しています。

助産師は医者ではないため、帝王切開などの医療行為は行わないものの、女性の妊娠・出産、そしてBC州では産後6週間までの産褥(さんじょく)期のケアをする専門職です。

産婦人科と大きく違う点は、助産師は自宅での出産にも対応してくれていること。そして、助産師は通常2,3人のチームで活動しているため、出産までにはチーム内の助産師全員としっかりとした繋がりができます。出産もその中の一人に担当してもらえるという安心感があるのもメリットの一つです。(産婦人科のドクターはシフト制になっているため、出産時には一度も会ったことのないドクターが担当になるということもあります。)

また、Midwives Association of British Columbiaによると、助産師を利用した場合、帝王切開になる可能性が42%低くなるというデータもあります。

photo from Midwives Association of British Columbia

そして助産師を利用した人の満足度が高い理由に、助産師を利用した場合は産後のケアが充実していることが挙げられます。

ただし、ハイリスクがある出産は、助産師は担当できません。また、人気の助産師には空きがない場合もあります。

2.産婦人科医と助産師のメリット・デメリット

産婦人科医と助産師それぞれのメリットとデメリットをまとめてみました。

▶産婦人科医

〇病院での診察&出産のため、万が一のトラブルにすぐ対応可能
〇無痛分娩、帝王切開に対応
△複数のドクターがシフト制で勤務しているため、出産時の担当ドクターは当日まで分からない
△病院での出産のみ
△産後の診療は通常数回のみ、病院に行く必要あり

▶助産師

〇病院だけでなく、自宅での出産も可能
〇産前~産後まで同じ助産師(もしくはチームのメンバー)が担当
〇産後直後の診療は、自宅へ訪問してくれる
〇帝王切開ではなく自然分娩を推奨
△予約がとれない場合あり
△リスクの低い妊娠&出産のみ
※出産が難航したり帝王切開に切り替える必要が出てきた場合、急遽産婦人科に引き継ぎが行われることもあります。その場合でも、産後に助産師のサービスが受けられます。

妊婦検診の場所は?
産婦人科を利用した場合は病院にて、助産師の場合は助産師のオフィスで行われます。

妊婦検診の内容は違うの?
どちらを利用した場合も、血液検査やエコー検査等、最低限の検診内容は同じです。

かかる費用は違うの?
産婦人科医も助産師もBC州の医療保険MSP(Medical Service Plan)でカバーされてるので、MSP加入者は無料です。
※ただし、妊婦への百日咳ワクチン接種や任意での検査は一部有料、入院中の条件によって多少の入院費が発生する場合があります

3.産婦人科医か助産師、いつまでに決めるべき?

妊娠検査薬で陽性が出たら、産婦人科もしくは助産師に連絡をしましょう。
ファミリードクターがいる場合は、最初にファミリードクターの診察を受けることもできます。

BC州の助産師協会の担当者に問い合わせたところ、「助産師の手配は早ければ早い方が良い。できれば、妊娠が発覚したらすぐに連絡をしてください。」とのことでした。申し込みの期限はないものの、連絡が早ければ早いほど、希望する助産師を予約できる確率が高くなります。

すぐにどちらかを決められない場合は、まずは産婦人科で初回検診を受けると良いでしょう。

4.BC州で助産師をどう探す?

photo from Midwives Association of British Columbia

私の周りでは、友人からの口コミで助産師を選ぶ人が多いようです。もしくは、以下のウェブサイトから近くの助産師を検索することができますよ。

Midwives Association of British Columbia
https://www.bcmidwives.com/

5.バンクーバーに、日本語を話せる助産師はいる?通訳の手配は?

残念ながら、現時点でBC州内で日本語を話せる助産師は登録されていません。

しかし、BC州の助産師会によると、通訳が必要な場合は産婦人科もしくは助産師が無料の通訳サービス(PHSA|Provincial Language Service)を手配してくれるそうです。

必要な人は、初回の検診時に頼んでみてください。


以上、カナダの産婦人科医と助産師についてご紹介しました。

それぞれのメリット・デメリットをしっかり理解して、産婦人科医か助産師かを決めたいものです。
ぜひパートナーと話し合って、納得のいく出産方法を選んでくださいね!

※病院や助産師によって、上記情報が該当しない場合もあります。詳細は、利用する病院/助産師に確認をしてください。

参照
Canadian Women’s Health Network
http://www.cwhn.ca/en/FAQmidwife
BC Association of British Columbia
https://www.bcmidwives.com/

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