カナダは広大な国土と多様な文化が魅力ですが、その分、緊急時や日常生活のトラブルに備えて知っておきたい情報も多くあります。特に言語や制度の違いから、日本にいるときには必要性を感じにくい「電話一本でつながる安心」が、異国の地では大きな支えになります。
本記事では、警察・救急の共通番号「911」をはじめ、医療相談、メンタルヘルス支援、詐欺防止、交通トラブル対応など、カナダ生活で役立つ主要な電話番号をピックアップして紹介します。
実際の利用シーンをイメージしやすい「かけ方のコツ」や対応言語、関連ウェブサイトへのリンクも調べてみたので、あわせてご紹介します。カナダ到着前という方も事前にスマホに登録しておけば、安心して新生活をスタートできるはずです。
目次
- 1. 緊急通報「9-1-1」
- 2. 医療・健康相談「8-1-1」
- 3. 中毒・毒物事故「1-844-POISON-X」
- 4. メンタルヘルス・自殺予防「9-8-8」
- 5. 子ども・若者向けメンタルヘルス「Kids Help Phone」1-800-668-6868
- 6. 生活サポート「2-1-1」
- 7. 詐欺・不正通報「Canadian Anti-Fraud Centre」1-888-495-8501
- 8. 道路・レッカー「CAA Roadside Assistance」1-800-222-4357
- 9. 暴力・虐待関連
- 10. 通信関連「4-1-1」と「7-1-1」
- 備えあれば患いなし。重要な電話番号は控えておきましょう
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1. 緊急通報「9-1-1」
かけ方のコツ:どの電話からも「911」をダイヤル。通話がつながったら、まず「I need police/ambulance/fire services」と要件を簡潔に伝えるとスムーズ。
言語対応:英語・フランス語。日本語通訳が必要な場合は「Japanese interpreter, please」と伝えれば通訳を介して対応可能。
関連サイト:特になし(全国共通番号)
緊急通報「911」は必ず覚えておきましょう。(日本でいう 110 または 119)州や地域によって若干の違いがあるかもしれませんが、電話をかけた後は、ほぼ共通の手順のはずです。
コールがつながると、まず「Police, Fire or Ambulance?(警察、消防、救急のどちらですか?)」とオペレーターが尋ね、必要なサービスを特定します。もし分からなければ、その旨を伝えると簡単な質問で最適な機関へ振り分けてもらえます。 必要に応じて、複数の機関(例:救急対応中に警察の同行が必要なケースなど)にも同時に連絡が行きます。
通話中はこちらから絶対に切らず、提供された指示に従いつつ追加情報を報告してください。
2. 医療・健康相談「8-1-1」
Not sure if what you're experiencing is an emergency? That's okay.
Dial 8-1-1 at any time, day or night, to speak with a registered nurse at HealthLink BC. More: https://t.co/nEbpMktj2u
Take care and have a safe weekend, everyone. pic.twitter.com/8Exr3NFVhD
— Vancouver Coastal Health (@VCHhealthcare) May 2, 2020
番号:8-1-1
かけ方のコツ:ダイヤル後、症状を伝える前に「Do you provide interpreter services?」と聞くと、言語に不安がある人も安心。
言語対応:英語・フランス語が基本。BC州では130以上の言語への翻訳サービスあり(時間によっては希望の言語対応が不可の場合もあるかもしれません)
HealthLink BCには、知識豊富な医療専門家が多数在籍しており、皆さんの質問に答えてくれます。811に電話すると、医療機関への受診が必要かどうかのアドバイスなど、一般的な健康情報とアドバイスを無料で受けることができます。(ナビゲーションサービスは24時間年中無休)
Do I need a tetanus shot?(破傷風の予防接種は必要ですか?)
When will my child need their next vaccine?(子どもの次の予防接種はいつ必要ですか?)
What temperature is considered a fever?(発熱とは何度ですか?)
より詳しい健康アドバイスが必要な場合は、ナビゲーターが登録看護師、管理栄養士、資格を持った運動専門家、または薬剤師を案内してくれます。
3. 中毒・毒物事故「1-844-POISON-X」
🚨 Reminder! The number to call for poison information is now the national 𝟭-𝟴𝟰𝟰-𝗣𝗢𝗜𝗦𝗢𝗡-𝗫 helpline! 🚨
If you need poison-related help, dial 1-844-POISON-X (1-844-764-7669) anywhere in Canada. Same expert advice, now a national number! ☎️https://t.co/au813cEkto pic.twitter.com/8GtRe5C4Lf
— Injury Prevention Centre (@StopInjury) April 8, 2025
番号:1-844-POISON-X(1-844-764-7669)
かけ方のコツ:「I’ve been exposed to ●●● and need advice」と伝えると、看護師/薬剤師につないでもらいやすい。
言語対応:英語・フランス語。各州のセンターに転送される仕組み。
関連サイト:
カナダ政府ニュース:Canada launches new toll-free 1-844 POISON-X number for poison centres
カナダ連邦政府によると、カナダでは毎年、薬、洗剤、大麻製品、その他多くの家庭用品による意図しない中毒で1,500人以上が命を落とし、8,000人近くが入院しているといわれています。
多くのカナダ国民は地元の中毒情報センター(Poison Centre)の電話番号を知らず、サービスが提供されていることさえ知りません。そのため、2023年にカナダ保健省はカナダの中毒情報センターと協力し、フリーダイヤル 1-844 POISON-X(1-844-764-7669)を開設しました。
「1-844-POISON-X」は“バニティ番号”(文字を数字に置き換えたわかりやすい電話番号)なので、以下のようになります。
O → 6
I → 4
S → 7
O → 6
N → 6
X → 9
これにより、カナダ国民は中毒に関する重要な医療アドバイスをより簡単に受けられるようになります。この番号を携帯電話に保存し、中毒発生時の行動計画に組み入れておくことをお勧めします。
ちなみに、2020年にカナダの中毒情報センターで処理された症例で最も多く使用された物質は、鎮痛剤(鎮痛剤)と漂白剤などの家庭用洗剤でした。
4. メンタルヘルス・自殺予防「9-8-8」
番号:9-8-8
かけ方のコツ:オペレーターにつながったら、まず「I’m feeling suicidal(自殺念慮があります)」や「I need emotional support(心のサポートがほしいです)」など、自分の状態を簡潔に伝える。
言語対応:英語・フランス語。別の言語で話したい場合は、通訳を介して電話で対応できる場合もある
関連サイト:988.ca
深刻な心の危機や自殺念慮の相談を24時間365日受け付ける全国共通のホットラインです。カナダ在住の方なら誰でも利用することができます。
例えば、カナダワーホリや留学生の方で、ある夜、強い孤独感や不安に襲われて気分がひどく落ち込んでしまう瞬間もあるかと思います。そんなときに深呼吸をひとつしてから「9-8-8」にダイヤルすると、ただ話を聞いてくれる人がそばにいてくれる安心感を得られます。
また、身近にヘルプが必要そうな人がいるときも、9-8-8に電話またはテキストメッセージを送ると、24時間365日対応対応してくれます。
5. 子ども・若者向けメンタルヘルス「Kids Help Phone」1-800-668-6868
番号:1-800-668-6868/テキスト相談:テキストで “CONNECT” と打ち込み、686868へメッセージを送信
かけ方のコツ:チャットやテキストでもOKなので、電話が嫌という人も安心。「I need someone to talk to(誰かに話を聞いてほしいです)」と一言送るだけで開始可能。
言語対応:英語・フランス語。訓練を受けた通訳の助けを借り、100以上の言語で電話カウンセリングを提供
関連サイト: kidshelpphone.ca
キッズヘルプフォンは、24時間365日対応のオンラインメンタルヘルスサービスです。すべての若者が自分の気持ちを声に出して伝えられるよう、無料、多言語、秘密厳守のサポートを提供しています。どんな問題でも、大小問わず、何でも構いません。
例えば、進学や人間関係で不安になった夜など、『686868』に“CONNECT”とテキストを送るだけで、すぐに応答があり、相談することができます。
また、大人でもキッズヘルプフォンの電話カウンセリングサービスにご連絡いただければ、必要なサポートを受けられるように手伝ってくれます。
6. 生活サポート「2-1-1」
番号:2-1-1
かけ方のコツ:ダイヤル後、「I need community support/housing assistance」など相談内容を冒頭で明示するとスムーズ。
言語対応:100以上の言語で24時間対応
関連サイト:211.ca
211.ca(BC州)
211.ca(オンタリオ州)
住宅支援、食料支援、移民サポート、子育て・家族サービス、公共サービス案内など、地域の各種生活支援窓口につながる電話番号が『2-1-1』です。無料かつ秘密厳守のサービスは、24時間365日、150以上の言語で、電話、チャット、テキストメッセージ、ウェブで利用可能。情報を求める際に、氏名や個人情報を提供する必要はありません。
例えば、カナダ到着初日に住まい探しの手続きや公共料金の相談をしたくて『2-1-1』にダイヤルすることができます。必要であれば、担当者が日本語通訳を手配してくれるので、安心して情報を得られるかもしれません。
カナダの多くの州・準州で利用できます。
7. 詐欺・不正通報「Canadian Anti-Fraud Centre」1-888-495-8501
If it feels off, it probably is! If you didn't make the call, you may not know who you are taking to 🤳
❌Never give out your personal information over the phone
❌Don't be afraid to hang up
❌Report fraud to the police or @canantifraud pic.twitter.com/QhSvD1shCn— West Shore RCMP (@WestshoreRCMP) June 6, 2025
番号:1-888-495-8501(月~金 10am – 4:45pm ※東部時間)
かけ方のコツ:「I’d like to report a scam involving [email/website/caller ID]」など、被害の種類と経緯を簡潔に伝えるとスムーズ。必要に応じて地域の警察署や他機関へエスカレーションされる。
言語対応:英語・フランス語
2024年はカナダで詐欺の被害が36,199件、そして同年の詐欺被害は総額6億4800万ドルと、多くの人が詐欺に遭っている状況です。
Canadian Anti-Fraud Centreは電話・メール・オンライン詐欺をはじめ、不正請求や身分詐称など、あらゆる詐欺被害の相談・通報を一元的に受け付けるナショナルセンターで、カナダ国民を脅迫する過去および現在発生している詐欺に関する情報を提供しています。詐欺の被害に遭ったと思う場合は、こちらに報告しましょう。
ただ、詐欺の緊急性が高く、身の安全や資金がすぐに危険にさらされている場合は、まず「911」へ通報し、その後でCanadian Anti-Fraud Centreにも連絡するのが望ましいです。
8. 道路・レッカー「CAA Roadside Assistance」1-800-222-4357
番号:1-800-222-HELP
(1-800-222-4357)/ダイヤル:*CAA(*222)
かけ方のコツ:オペレーターにつながったら、自分の会員番号と現在地(道路名+目印)を伝えるとスムーズ。「I’m a CAA member in [city/province], vehicle model [車種], need [battery jump/tire change]」など
※会員でない場合は、サービスを受けられません。
言語対応:英語・フランス語
関連サイト:CAA
CAA Roadside Assistance (お問い合わせページはこちら)
CAA(カナダ自動車協会) は、700 万人を超える会員に緊急ロードサイド サービス、会員特典割引、総合保険、旅行、自動車関連サービスを提供する非営利の連盟です。各州・準州に対応したクラブ(例:BCAAがブリティッシュコロンビア州・ユーコン)を通じ、地方部から都市部までほぼ全国を網羅しています。
CAA Roadside Assistanceではバッテリー上がり、パンク、キー閉じ込み、燃料切れ、レッカー(牽引)など、幅広いロードサービスを24時間365日提供しています。
今後カナダに来るという方で車の運転を検討している場合は、CAAのウェブサイトを一度確認しておくとよいかもしれません。もう一方で、事前に自動車保険の付帯サービスや、民間レッカー会社の連絡先を控えておくこともおすすめです。
9. 暴力・虐待関連
ここでは、暴力・虐待について相談できるホットラインを3種紹介します。

番号:604-209-1808(日本語OK)
2017年に在バンクーバー日本国総領事館が開設したドメスティック・バイオレンス(DV)を受けている日本人被害者への支援を目的とする日本語による電話相談サービス「DV日本語ホットライン / YWCA 日本語アウトリーチプログラム」。BC州およびユーコン準州に暮らす日本国籍の女性が対象です。
相談、関係機関(裁判所、警察、弁護士事務所、法的支援機関、病院、生活保護など)への同行、諸手続きの支援、通訳などを無料で受けることができるサービスです。以前スタッフの方にインタビューした記事もあるので、ぜひ確認してみてください。
番号:1-800-668-6868
差し迫った危険にさらされている場合、またはすぐに助けが必要な場合は、911または近くの警察の緊急電話番号に電話してください。そうでない場合は、先ほども紹介した Kids Help Phone (1-800-668-6868)に電話するか、”CONNECT”と入力して686868にテキストメッセージを送信することで、相談することができます。名前を言う必要はありません。
例(BC州):Seniors Abuse and Information Line (SAIL): 1-866-437-1940 毎日8amから8pmまで(祝日を除く)
例(オンタリオ州):Seniors Safety Line: 1-866-299-1011 年中無休
高齢者虐待はどんな形であれ、間違っています。自身または知り合いが差し迫った危険にさらされている場合は、911に電話してください。
緊急以外の状況、紹介、情報についてはカナダ・BC州では高齢者虐待・情報ホットラインであるSeniors Abuse and Information Line (SAIL)で状況について相談したり、高齢者虐待防止に関する情報を得たりすることができます。
オンタリオ州の場合は、州政府が24時間年中無休、秘密厳守、無料の相談窓口 Seniors Safety Line を紹介しています。
10. 通信関連「4-1-1」と「7-1-1」
最後に、2種類の通信サポート関係の番号を紹介します。
番号:4-1-1
用途:電話番号・住所検索
言語:英語・フランス語
コツ:「I’m looking for the number of [business or person’s name] in [city/province]」と伝えるとOK。
ビジネスなどの電話番号を案内してもらうサービスが『4-1-1』です。急に修理業者の連絡先が必要になったとき等に利用することができますが、携帯電話番号や非公開の番号は、4-1-1では案内してもらえません。
こちらはBellだと1回あたり2.49ドルと記載されています。希望の電話番号が見つかると、サービスが自動的にその番号にダイヤルします。(通話料と長距離通話料は別途かかります)
番号:7-1-1
用途:TTY機器を介した通話中継
言語:英語・フランス語のオペレーター対応(地域により多言語通訳も可能)
コツ:TTY接続済み端末から直接「7-1-1」をダイヤル。
『7-1-1』は聴覚や発話に障がいのある方が、TTY(文字通話装置)やスマホのテキスト機能を通じて、通常の電話回線利用者と通話する際に、オペレーターが文字⇔音声をリアルタイムに仲介するサービスです。
TTYリレーサービスは、カナダのすべての固定電話加入者に提供されています。Canadian Radio-television and Telecommunications Commissionの Message Relay Services ページで確認してみてください。
備えあれば患いなし。重要な電話番号は控えておきましょう
今回紹介したものは、カナダ在住歴が長い方は知っているものばかりかと思いますが、知っておいて損は無いものが多いかと思います。もしもの時のために、ぜひ周りに知らない方がいたら教えてあげてください。