ESTAとI-94の料金が9月に大幅値上げへ。カナダ在住者が知っておくべきこと

   
  

2025年9月30日から、アメリカ入国に必要なESTAとI-94の料金が大幅に引き上げられることが先日発表されたのを皆さんご存知でしょうか?

バンクーバーからシアトル、トロントからナイアガラやニューヨークなど、カナダから気軽にアメリカ旅行を予定している方にとっても大きな影響があります。

本記事では、料金変更の内容を紹介します。

はじめに:ESTAとI-94について

まずはじめに、「ESTA?I-94?何だっけ?」という方に向けて、簡単ながら説明します。

ESTA(電子渡航認証システム)

日本人は、90日以内で観光または商用でアメリカに滞在する場合はビザは不要です。ただ、その代わり、飛行機または船でアメリカへ旅行へ行く場合や、アメリカ経由でカナダに入国する場合は事前に、ESTAという電子渡航認証システムで渡航許可をもらう必要があります。

有効期間は許可を得てから2年間となります。ESTAの有効期間中にパスポートの有効期間が切れた場合は、新たにESTAを取得する必要があります。

I-94(入出国記録)

アメリカに入国する際に発行される「入国記録(Arrival/Departure Record)」のことを指します。アメリカへの旅行者など、アメリカ市民または合法的な永住者ではない人のアメリカへの到着と出発を追跡することを目的としていて、多くの日本人にとって陸路でアメリカへ行く場合に必須となります。過去には紙のカードでしたが、現在ではほとんどのケースでオンライン管理されています。(I-94のオンライン申請は入国の7日前から可能)

バンクーバーやトロントから車やバスで国境を越える場合、多くの日本人が利用します。

滞在可能日数は入国審査官の判断により、予定滞在期間や過去の渡航歴などを考慮して決められます。ESTAでアメリカに入国する場合、原則として90日以内の滞在が許可されるため、「90日間=I-94の有効期限」となるケースが多いです。

(I-94については、こちらの記事で詳しくまとめています⇒)

 

2025年9月30日からのESTAとI-94の新料金は?

今回の値上げの背景には、トランプ米大統領が署名し成立した「One Big Beautiful Bill(HR-1)」があります。これは2025年度(FY2025)の米国予算関連法案の一部であり、移民・国境管理費用の財源確保を目的としたものです。

この法案により、ESTAやI-94、EVUS(※中国籍向け制度)に新たな料金を課すことが義務づけられました。


photo from i94.cbp.dhs.gov

米国政府は、One Big Beautiful Bill(HR-1)について、「アメリカの移民制度の健全性を回復するために必要な政策とリソースを提供する」と語っています。

2025年9月30日からのESTAとI-94の新料金は、以下の通りです。

サービス 現在の料金 2025年9月30日以降
ESTA US$21 US$40
I-94 US$6 US$30 (陸路入国手数料$6とHR-1申請手数料$24の合計でUS$30)

ESTAの料金は US$21 ⇒ US$40 になるので約2倍I-94 に至っては US$6 ⇒ US$30 なので、単純に考えて5倍の値上げとなります。

これにより、I-94やESTAが必要な人が陸路でのカナダからアメリカへの旅行をする際や、航空便でのアメリカへの渡航の場合にもコスト増が確実となります。

例えば、日本人夫婦ではじめてアメリカ旅行に行く場合、9月29日までにESTAを取得すれば US$42 で済むところが、9月30日以降だと US$82 になります。

7月のデータによると、カナダから米国への訪問者数は7ヶ月連続で減少。米国から自動車でカナダへ入国する人は前年比36.9%減少しています。カナダからアメリカへ旅行する人が減っている昨今、今回の値上げで、さらにアメリカ旅行者が減る可能性がありそうです。

 

値上げ前にできる対策は?

ESTAは米国への渡航前であればいつでも申請が可能です。渡航認証の有効期間は承認された日から2年間 or 渡航者の旅券失効日までのいずれか、先に到来した日までとなります。

近々ESTAの有効期限が切れるという方はもちろん、有効期限がまだ残っていても「安い料金のうちに申請しておきたい」という方は、9月30日より前に申請しておくといいかもしれません。

もう一方で、I-94は入国の7日前からの申請が求められるため、今年の11月にアメリカ旅行する場合などは値上げ回避を諦めるしかなさそうです。9月末や10月初旬にアメリカへ行く予定のある人は、タイミングが合えば、9月30日より前に申請ができそうです。

近々アメリカへ入国する予定のある方は、忘れないうちに早めの対応をおすすめします。

Federal Register (The Daily Journal of the United States Government)
CBP Immigration Fees Required by HR-1 for Fiscal Year 2025

ESTA
申請はこちら⇒

I-94
申請はこちら⇒

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