【カナダ移民政策】2026~2028年移民レベル計画。一時滞在者の受入数を大幅削減

   
  

カナダの移民局はカナダの2026~2028年移民レベル計画を発表しました。今回は、その内容の一部を紹介します。

移民制度を持続可能なレベルに戻すための計画

カナダ政府はCanada’s 2026–2028 Levels Planで、以下のように記しています。

2018年、カナダの人口の3.3%が一時滞在者でした。2024年までに一時滞在者の数は2倍以上の7.5%に増加し、住宅供給、医療制度、そして学校に負担をかける前例のない増加率となりました。カナダの新政府は、この制度がもはや持続可能ではないことを認識しており、この国に住む人々、そして訪れるすべての人々のために、持続可能なものにすることを決意しています。

私たちは移民制度の主導権を取り戻し、カナダを持続可能なレベルに戻す軌道に乗せます。これにより、カナダを故郷と呼ぶ人々へのカナダの約束を果たすことができます。同時に、カナダは暴力、迫害、そして避難から逃れてきた人々を歓迎するという長年の伝統を継続していきます。

政府の重点的な取り組みの成果は既に現れています。難民申請は3分の1減少し、今年の新たな一時滞在外国人労働者の入国は約50%減少しました。 2024年と比較して、新規留学生数も約60%減少しました。これは始まりに過ぎませんが、まだ取り組むべき課題が残っていることを認識しています。

一時滞在者(就労ビザや学生ビザなど):受け入れをさらに制限

新計画では、一時滞在者の新規受け入れ目標を2025年の67万3,650人から2026年には38万5,000人、2027年と2028年には37万人に引き下げます。

この2026年の目標値は、昨年発表されていたときの計画に比べると、約25.5%減少しています。(当時は、51万6,000人以上の一時滞在許可者を受け入れるとされていました)


photo from canada.ca

特に学生ビザの発給は、前年の計画時の約30万6,000人から2026年には15万5,000人にまで減らすということで、49%という大幅な削減。

最近では、インド人による学生ビザの申請の約74%が却下されたというニュースもありましたが、留学生の多いカレッジや大学の経営への影響は今後もかなり大きそうです。

年度 全体の受け入れ予定数(範囲) 労働者(Workers) 留学生(Students)
2026年 385,000
(375,000〜395,000)
230,000 155,000
2027年 370,000
(360,000〜380,000)
220,000 150,000
2028年 370,000
(360,000〜380,000)
220,000 150,000


 

永住者:今後3年間は毎年38万人に永住権を付与することを目標。最大3万3,000人の就労ビザ保有者の永住権取得を加速するための一時的な措置も予定

昨年発表された2025~2027年の移民レベル計画では、新規移民受け入れ予定数は以下のように記されていました。

  • 2025年:39万5,000人
  • 2026年:38万人
  • 2027年:36万5,000人

そして、以下が今回の新計画の内容になります。

項目 2026年 2027年 2028年
全体の受け入れ予定数(範囲) 380,000
(350,000〜420,000)
380,000
(350,000〜420,000)
380,000
(350,000〜420,000)
経済移民(Economic Immigration) 239,800
Low: 224,000
High: 264,000
244,700
Low: 229,000
High: 268,000
244,700
Low: 229,000
High: 268,000
家族呼び寄せ(Family Reunification) 84,000
Low: 78,500
High: 92,000
81,000
Low: 75,000
High: 90,000
81,000
Low: 75,000
High: 90,000
難民・人道・その他(Refugees, Protected Persons, Humanitarian and Compassionate, and Other) 56,200
Low: 48,000
High: 64,000
54,300
Low: 46,000
High: 62,000
54,300
Low: 46,000
High: 62,000
ケベック州外のフランス語話者受け入れ(全体) 9%(30,267) 9.5%(31,825) 10.5%(35,175)

政府は今後3年間、毎年38万人の移民に永住権を付与することを目指しており、昨年発表された内容とそこまで大きな変化はありませんでした。

カナダの主要分野における高度なスキルを持つ労働者を優先していく方針で、最大3万3,000人の就労ビザ保有者の永住権取得を加速するための一時的な措置も予定されています。

これは、既に地域社会に貢献し、カナダ国内で特定の需要の高い分野で就労している熟練の臨時労働者(特に地方在住者)の永住権取得を迅速化するための、2年間(2026年と2027年)の特別措置です。

具体的な対象者はまだ不明ですが、永住権を目指している人にとっては期待したいところですね。


 

2027年末までに一時滞在者の総数をカナダ人口の5%未満まで削減する方針

カナダ政府は、2027年以降も永住者の入国者数を人口の1%未満に抑え、2027年末までに一時滞在者の総数をカナダ人口の5%未満に削減することを目指しています。

フランソワ=フィリップ・シャンパーニュ財務大臣は、「カナダ国民は、我々が(新規移民を)受け入れる能力の限界に達し、時にはそれを超過していたことを理解していると思います」「政府は移民をより持続可能なレベルに引き下げることを目指しています」と会見で述べました。

数年前までは移民をもっと増やす方向性でしたが、現在はその政策を大きく転換して移民を減らそうとしている理由については、以下の過去記事を見てみてください。


(過去記事)「なぜカナダは移民システムを変更するのか」がよく分かるトルドー首相の説明

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