日本人が観光目的などで米国に入国する場合、電子渡航認証システムであるESTA(エスタ)の申請が必要ですよね。そんなESTAの申請内容が変わる可能性があります。
過去5年間のソーシャルメディア利用履歴の提出が義務になるかも?

米国国土安全保障省(DHS)と米国税関・国境警備局(CBP)が先日発表した連邦官報によると、2025年1月の大統領令(テロリストやその他の国家安全保障上の脅威から米国を守ることが目的)への対応として、ESTAの申請内容を変更することを検討していることが明らかになりました。
その変更内容の中には、過去5年間のソーシャルメディア利用履歴の提出を義務化することが記されています。
提案が承認された場合、ESTA申請時にソーシャルメディアの開示がESTA申請の必須データ項目に追加されます。アカウント名のみの入力になるのか等、詳細は不明です。
ESTA申請フォームにその他の入力項目追加も検討
また、以下のESTA申請に「高価値データ項目」(High Value Data Elements)のリストを追加することも検討されています。
- 過去5年間に使用した電話番号
- 過去10年間に使用したメールアドレス
- 家族(両親、配偶者、兄弟姉妹、子ども)の名前、生年月日、出生地、居住地
- 家族が使用した電話番号(5年以内)
- 生体情報(顔・指紋・DNA・虹彩)
- 過去5年間に使用した業務用電話番号
- 過去10年間に使用した業務用メールアドレス
入力する情報が増えることで、従来より申請に時間がかかりそうです。
ESTA申請がモバイルアプリのみになる?

photo from esta.cbp.dhs.gov
さらに、ESTAウェブサイト申請の廃止をし、モバイルアプリのみでESTAを申請する方式へ移行する提案も出ています。
その理由としては、ウェブサイトでは低品質画像のアップロードが多く、顔照合プロセスを回避する手段として悪用されていること、偽装サイトによる被害が多発していることが挙げられています。
モバイルアプリの方が顔認証などにおいて安全性が高く、長期的には国家安全保障の観点からモバイルアプリへの移行が妥当とCBPは判断しています。
カナダ人はESTAの対象外
米国国土安全保障省・米国税関・国境警備局(CBP)は、今回の提案について、米国の市民および関係機関からの意見を募っていて、2026年2月9日までコメントを送ることができるようになっています。
2025年9月30日からESTAの申請料金が大幅に値上げされたことも記憶に新しいですが、今回の提案が実現となった場合、多くの個人情報を開示する必要があること、そしてESTAの申請の手間が増えることで、アメリカへの渡航を避ける人が今まで以上に増えることが懸念されています。
また、ESTAは英国、ニュージーランド、オーストラリア、そして日本などを含む約40カ国の人を対象としたものとなりますが、カナダ国民はESTAプログラムの対象外のため、基本的には今回の提案内容に対して影響が無いとみられています。
ただ、カナダ居住者の場合でも、カナダのパスポートを所持しておらず、ビザ免除プログラム参加国の市民であるカナダ居住者には、これらの条件が適用されるので、お気をつけください。

