ビザ申請内容に、嘘を書いてしまって裁判にまでなってしまった方のお話。

   
  

文/ビザJPカナダ代表 白石有紀
ビザJPカナダ在籍のカナダ政府公認移民コンサルタント。カナダ移民コンサルタント協会(ICCRC) 、およびカナダ移民コンサルタント連盟(CAPIC)の正規メンバー。短期ビザ、永住権の申請取得コンサルティングを専門とする。

カナダ移民局への申告内容に故意にせよ、故意でなかったにせよ誤った情報があった場合、それを訂正するのは容易ではなく、またそのことが原因で大きなトラブルに発展してしまうことがあります。

今回は実際にあったそのようなケースとして、ある日本国籍の女性Tさんのお話をします。

 

ビザ申請書に記載した誤った情報で大変なことになったTさん

移民局「この職歴、前回のビザ申請で書いてたやつと違うよね?」

Tさんの2人の子どもはカナダに留学していて、Tさんは子どもたちの学生ビザ期間中にその保護者として滞在が可能となるビジタービザを申請取得し、カナダで子供たちと過ごしていました。

カナダ滞在中であった2021年にTさんは、カナダのある貿易会社から日本で同様の職種の実務経験があったことを買われてPurchasing Managerとしての仕事のオファーを受けました。そして、その会社がスポンサーとなってTさんは就労ビザを申請しました。

ところがその後Tさんは、職歴の不一致と申請内容の真偽について確認を要請するレターを移民局から受け取ることになりました。

つまり、Tさんがビジタービザ申請書に記載した職歴の内容と、その後の就労ビザ申請の際に記載した内容に違いがあると移民局が指摘をし、Tさんはその説明をしなくてはならなくなりました。

 

不注意からのミス!それでも移民局は簡単に許してくれないかもしれない

Tさんは、これはビジター申請書を提出する際に気が付いていなかった記入ミスによるものであり、その後の就労ビザの申請時には正確な情報を提供するようより慎重に申請書類を作成していたので、職歴はより正確かつ正直なものを記入したと説明するレターを作成しました。

また、Tさんは、日本での職歴の詳細を確認できるように日本の勤務先からのレターと雇用証明、収入や税金支払い状況のわかる書類も添付しました。

このレターと書類を移民局へ送り、ビジタービザ申請書と就労ビザ申請書の記載内容の矛盾点について弁明をしましたが、移民局は彼女の就労ビザ申請を却下しました。

担当審査官は、移民法第40条1項(a)を引用し、Tさんが重要な事実を偽っていたと述べ、不正な書類や情報を移民局へ提出したことに非があるとしました。

 

ビザ申請却下、裁判にまで発展

その後、Tさんは連邦裁判所に訴えを起こしました。Tさんはビジター申請の申請書に間違いがあったことを否定しませんでしたが、その矛盾点を釈明するための説明書類は信用に値するものであると主張しました。

Tさんの訴えに対し裁判所は、移民局の担当審査官がTさんの2つの申請書内容が異なってしまった経緯について、その理由と説明が正しいかどうかの証拠収集に適切に取り組まず、日本のTさんの職歴を確認するために提出された証拠も考慮しなかったと判断しました。

担当審査官はTさんが提出した新しい証拠を充分に審査せずに決定を下したということで、最終的に、Tさんが移民局に虚偽の内容の申告をしたという決定は覆されました。

 

虚偽申告の申請者への影響

こういったケースは、カナダでビザや永住権を申請する外国人にとって、参考にしなければならない重要な情報です。一度提出されてしまった虚偽記載は、後になってから取り下げたり、克服するのが難しいということがよくわかります。

移民局は虚偽申請が発覚した場合の弁明に対して厳しい態度をとっており、結果として申請を拒否したり、ステータスを取り消したりするという可能性があります。また、虚偽の陳述をした場合、申請者がカナダに入国できないと判断されることもあります。

さらに、申請における虚偽の記載は、その申請が拒否されるだけでなく、さらに深刻な結果をもたらす可能性があります。移民法では、虚偽申告とみなされた場合、以下のような可能性があると定められています。

虚偽申告でのペナルティ

  • 最低5年間のカナダ入国禁止
  • 詐欺行為歴が公的レコードとして残る
  • 永住権、またはカナダ市民権の剥奪
  • 犯罪として起訴
  • 国外退去

これらの罰則の深刻さを考えると、Tさんのケースからも、移民局関連の申請書は常に、正確で最新、すべてに細心の注意を払われたものであることが、どれほど重要であるとわかります。

 

それでも申請書類は難しいから間違えてしまう可能性大!

移民局のフォームや申請書類は複雑な場合があります。たとえ申請者は細心の注意を払って書類を準備しても、自分でも気がついていないうちに記載内容が虚偽の陳述になってしまっていることがあります。

申請者は、「Best of your knowledge(自分の知る限りでは正確で完全な情報)」を提出する必要がありますが、仮にそのつもりでも不正確または不完全である場合があるものなのです。

今回ご紹介したTさんは、幸い裁判で勝訴しましたが、裁判には長い年月と多大な弁護士費用、そしてたくさんの心労が伴ったことでしょう。このような事態にならないように、ビザや永住権申請の際には、必ず過去の申請内容と照らし合わせ、不一致がないように気を付けましょう。

 

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