文/ビザJPカナダ代表 白石有紀
ビザJPカナダ在籍のカナダ政府公認移民コンサルタント。カナダ移民コンサルタント協会(ICCRC) 、およびカナダ移民コンサルタント連盟(CAPIC)の正規メンバー。短期ビザ、永住権の申請取得コンサルティングを専門とする。
年齢は、エクスプレスエントリーによる永住権申請において重要な要素です。ここでは、30歳以上の申請者がエクスプレスエントリーのCRSスコアをアップするためにできる戦略をいくつかご紹介します。
CRS(Comprehensive Ranking System)とは、カナダ移民局(IRCC)が、エクスプレスエントリーシステムの申請管理システムに含まれる3つのプログラム(CEC:カナディアンエクスペリアンスクラス、FSW:スキルドワーカーカテゴリー、FST:スキルドトレードカテゴリー)で申請する永住希望者をランキングするために使用する点数基準です。
申請者がエクスプレスエントリーを利用してカナダ永住権を申請する場合、このCRSのポイント配分グリッドによって採点されます。
目次
申請者の年齢によって異なる CRS のポイント
CRSでは、まずカナダ政府が「core human capital factors」と呼ぶ、年齢、学歴、第一言語能力(英語またはフランス語)、第二言語能力(英語またはフランス語)、カナダでの職務経験を評価します。
今回は、このリストの最初の項目である「年齢」に着目しましょう。
カナダのCRSシステムでは、20~29歳のエクスプレスエントリー登録者に最も多くの年齢ポイントが与えられます(20~29歳の申請者は100ポイント)。
30歳以上になると、年齢の項目でもらえるポイントは1年ごとに徐々に減っていきます(30歳の申請者は95ポイント、31歳の申請者は90ポイントなど)。そして、45歳以上の申請者になると、CRSの年齢の項目でもらえるポイントは0点になります。
とはいえ、30歳以上というだけで、エクスプレスエントリーへの希望が立ち消えてしまう、というわけではありません。30歳以降にエクスプレスエントリーに登録する場合でも、CRSのスコアを最大化する方法がたくさんあります。
年齢以外でCRSスコアを最大化する方法
戦略①:
各州ノミネーションプログラム(PNP)による州指名の獲得
CRSスコアを上げる方法として、エクスプレスエントリーと連動している各州ノミネーションプログラム(PNP)のノミネーションを獲得することが挙げられます。
これは、CRSスコアを最大化し、永住権申請への招待(ITA)を受けるための最良の方法と言えます。なぜなら、エクスプレスエントリーを通して申請する前にPNPノミネーションを受け取ることで、申請者は追加ポイントを獲得することができるためです。
PNPは、カナダのすべての州と準州(ケベック州とヌナブト準州を除く)に存在し、それぞれの地域が、カナダ国内の特定の地域に定住することを希望する永住権候補者を獲得するための手段となっています。
特にカナダは歴史的にオンタリオ州、ブリティッシュコロンビア州、ケベック州に偏って移民を受け入れてきたという背景があります。そのため、PNPは移民受け入れがもたらすメリットをカナダ全土に広げることも目的として設計されており、現在では11のPNPで、80以上の国全体のPNPストリームがカナダ永住希望者のために用意されています。
エクスプレスエントリーの希望者がPNPに申請して州のノミニー証明書を受け取った場合、エクスプレスエントリーのプロファイルにその証明書をアップロードすることで、CRSに600点が加算されます。これにより、永住権申請への招待(ITA)を受けることができるのです。
戦略②:
ジョブオファーを獲得する
申請者がCRSスコアを上げるするもう一つの方法は、有効なジョブオファーの獲得です。
給与、職務、雇用条件などすべての職務要件を詳細に説明したものをジョブオファーとして書面にし、エクスプレスエントリーで申請することです。有効なジョブオファーは、主にLabour Market Impact Assessment (LMIA)で証明されます。
実際、LMIAなどの有効なジョブオファーを持つ登録者は、ポジションによって50点または200点の追加CRSポイントを得ることができるので、この戦略はCRSスコアを上げる最良の方法の一つです。
戦略③:
職務経験を評価する
職務経験はいくつかの異なる方法で応募者のCRSスコアを向上させることができます。
まず、単純に実務経験を積むことがスコアアップの手助けになります。また、現在の職務経験をより具体的に明確にすることも、スコアアップには重要です。
戦略④:
語学力の向上
言語能力もCRSスコアの「core human capital factors」のカテゴリーに入る重要な要素です。
前述したように、言語という大きなカテゴリーは、第一言語能力と第二言語能力に分けられ、応募者の英語とフランス語の能力が試されます。このCRSスコアの構成要素は、かなりの点数を加算することができるため、エクスプレス・エントリー申請には不可欠な要素となっています。
言語は、ライティング、リーディング、スピーキング、リスニングの能力に分けられ、128から136ポイントを獲得できます(配偶者/パートナーのステータスによって異なりますが、詳細を後述します)。
また、言語カテゴリーは、複数のセクションで点数になるため、CRSスコアをあげるために重要です。具体的には、CRSの個々の要素としての言語は、 human capital factors、spousal factors、skills transferability、additional factorの4つの大きなカテゴリーの中でも、点数になります。
そして、言語は学歴などの他の要素と組み合わせて、申請者のCRSスコアをさらにアップさせることも可能です。
1年以上のカレッジプログラム卒業+英語の1項目以上でCLB7および1項目でCLB9を持つ申請者は、追加で13点のCRSを獲得することができます。
例2:
2つ以上のカレッジや大学を卒業(1つは3年以上)+英語ですべての項目がCLB9以上の申請者は、50点の追加CRSポイントを獲得することができます。
戦略⑤:
学歴の強化
「core human capital factors」のもう一つの要素である学歴は、200から250のCRSスコアポイントにカウントされます。
したがって、別の学位などの追加資格を取得したり、既存の学位の査定(ECA)を受けたりすることは、申請者のエクスプレス・エントリーCRSスコアをアップするために有効です。
戦略⑥:
配偶者・パートナーを主たる申請者とすることを検討する(該当者のみ)
エクスプレスエントリー申請者は、配偶者やコモンローパートナーのほうが、良いCRSスコアを持っている場合があります。
このような場合、主申請者と扶養している配偶者またはパートナーを入れ替えることを検討することが望ましいかもしれません。
年齢が高くても永住権申請をあきらめる必要はありません!
今回ご紹介したのは、30歳以上になってどのようにエクスプレスエントリーのスコアを上げるか、という方法です。そのほか、そもそもエクスプレスエントリーを使わなくていい、つまり、年齢が点数にならないカテゴリーで永住権を申請するという方法もあります。
弊社に「年齢が高いので永住権申請は無理でしょうか?」というお問い合わせがよくありますが、無理ではありません。どんな方法があるかは、個々の状況やご経歴により違いますので、是非一度弊社までお問い合わせください。
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