外国人である私たち日本人がカナダに入国して滞在する際は、観光や勉強、仕事などそれぞれの目的にあった資格が必要ですが、最初は、これがちょっと分かりにくいですよね。
そこで今回は、これまで1,000人以上のビザ取得サポート実績を持つYuPassCanadaの移民コンサルタント上田由美さんに、カナダの滞在資格について詳しく教えていただきました。
上田由美 カナダ政府公認移民コンサルタント
埼玉県出身。亜細亜大学法学部卒業。2003年カナダに移住。ブリティッシュコロンビア大学(UBC)移民法プログラム修了。2003年より、カナダの様々な移民コンサルタント・弁護士事務所にて勤務。2007年より、大手法律事務所・Davis LLP(2015年よりDLA Piper LLPに統合)に勤務。2009年、カナダ政府公認移民コンサルンタント(Regulated Canadian Immigration Consultant=RCIC) の国家試験に合格。2016年に移民コンサルタント事務所、YuPass Canada Immigration Inc.を設立。これまでに個人・企業を含め、世界28か国1,000人以上のビザ取得をサポート。
Q.カナダへのビザ(査証)は必要ですか?
A.カナダに入国するのに日本人はビザは必要ありません。
まず厳密に言うと、日本の国籍のある方はカナダへのビザは必要ありません。ビザは、一般的に国(この場合カナダ)が外国人に入国しても差し支えないと示す証書ですが、一定の条件内でビザ免除が行われている場合が多く、世界でも有数の先進国であり犯罪率の少ない日本はラッキーなことにカナダに入国するにはビザ免除の国のひとつになっています。
日本のパスポートを持っている場合は、旅券と電子渡航認証(eTA)があれば、カナダ入国時にパスポートに押されたスタンプだけでカナダに半年間、旅行者として滞在することができます。
※eTAについてはLifeVancouverの過去記事を参考に!
Q.ビザと滞在許可証(Permit)は違うのですか?
A.滞在許可証(Permit)は目的別に滞在を続けるための書類です。
通称で使われる「ビザ」が学生ビザや就労ビザなど滞在許可証を意味するため、ビザは滞在許可証と混同されがちですが、本来の意味の「ビザ」は前述のように入国申請を行うための要件の一つです。これに対し、滞在許可証とはカナダに6ヶ月以上、もしくは何かしらの目的を持って滞在を続けるための資格を示す書類。何かしらの目的とは例えば留学であったり、仕事であったりします。これらをそれぞれ就学許可証(Study Permit/通称 学生ビザ)また就労許可証(Work Permit/通称 就労ビザ)と呼びます。この滞在許可証は留学の期間や申請するPermitの種類によってその発給期間が変わってきます。
ちなみに、例外としてカナダで半年以下の勉強をする場合には一般的に就学許可証は必要ありません。
ではここから、その各滞在許可証の各種類についてそれぞれ説明しましょう。
Q. 就労許可証(Work Permit /通称 就労ビザ)って何ですか?
image from Moving 2 Canada
カナダでは、有給・無給に関わらず労働をするには就労許可証(Work Permit)が必要です。Work Permitを取得するには通常は雇用主からの仕事のオファーが必要ですが、それ以外にもいくつかのタイプのWork Permitがあります。
雇用主のオファーがいる場合
- 日本からカナダへの企業内転勤
- カナダ現地採用の場合、 Labour Market Impact Assessmentの許可があって取得できるWork Permit
雇用主からのオファーを必要としない場合
- ワーキングホリデー 18歳~30歳まで
- 短大・大学に行く留学生卒業生がもらえるPost Graduate Work Permit
- 留学中に勉強プログラムの一部として実習をするためのCo-Op Work Permit
- Work PermitやStudy Permit保持者の配偶者に出るOpen Work Permit
- 永住権申請後から永住権を受け取るまでの期間に出るOpen Work Permit
そもそも就労許可証を必要としない場合
- 会議やトレーニングなどの短期滞在出張者に出るビジネスビジター(但しビジネスビジターの申請が必要)
- Work Permitを必要としない特定の仕事に就いている場合(例:聖職者、飛行機の乗乗客員、試験官、記者、講演者、芸能人など。但しWrokPermit免除の申請が必要)
- 留学中に短大・大学内外で限られた時間内で働くにはWork Permitは必要ありません。
Q. 永住権(Permanent Resident、通称PR)って何ですか?
Image from Citizenship and Immigration Canada / Citoyenneté et Immigration Canada via Youtube
カナダ永住権を取得すると、 “Permanent Resident” になります。カナダ永住権保有者は、選挙権がないこと及びカナダのパスポートを取得できないことを除き、カナダ市民とほぼ同様の権利を認められます。カナダ永住権保有者の義務としては、5年ごとに少なくとも2年以上カナダに居住している必要があり、また5年ごとにPRカードの更新が必要です。
永住権申請の種類には次の4つがあります。
仕事の専門性や能力でカナダの経済に貢献する人たちが申請します。仕事だけでなく、語学力や年齢、学籍、カナダでの仕事の有無などをポイント制で査定する場合があります。
家族呼び寄せクラス
配偶者、子供、親、祖父母などの家族の永住権の申請ができます。例としてカナダ人との国際結婚で日本国籍の配偶者の永住権を申請する場合があげられます。
ビジネス移民クラス
投資家、起業家などが入ります。
難民クラス
自国または住んでいる国で人種、宗教、政治的意見、国籍または特定の社会的集団の構成員である人びとが追放や迫害されている時に難民クラスでの申請をします。
今回は、この中でも日本人の永住権申請に多い、経済クラスについてお話ししましょう。
経済クラス
2015年1月よりExpress Entry Systemという電子申請システムを通して経済クラスの永住権を申請するようになりました。Express Entry Systemについては移民局からの3分間の動画が分かりやすいのでまずはこちらをご覧ください。
Express Entry: Potential Candidates
動画の説明にもありましたように、カナダ永住権を取得するには、以下のようなプロラムから申請することができます。
専門職、管理職で活躍している方のためのカテゴリーです。主にポイントシステムにおける合計点とカナダ移住後の経済的自立可能性について審査されます。
Federal Skilled Trade Program
例えばシェフ、パン屋、配管工、大工など主に手に職のある技術職に従事している方のためのプログラムです。カナダにある会社からのジョブオファーが必要です。
Canadian Experience Class
カナダで専門職または管理職で1年以上就労することによって申請できます。
州推薦プログラム
各州政府が州の労働市場ニーズに合った人材を独自の基準で選定します。よって州によりその判定基準が違います。州から推薦を受けた後にカナダ政府に永住権を申請する2段階の申請ステップを取ります。カナダにある会社からのジョブオファーが必要です。
家族呼び寄せクラス
配偶者、子供、両親、祖父母の永住権取得のためのスポンサーになることができます。国際結婚またはコモンローパートナーとして配偶者をスポンサーする場合は、配偶者は1年間ほどで永住権取得ができます。カナダ国内申請にすれば、配偶者はWork Permitを同時に申請することで永住権を待つ間に働くことができます。
就労許可証や永住権を取得するには?
A.まずはカナダでの就職先を見つけましょう。
このように経済クラスで申請するほとんどの場合、雇用主からのサポートが必要です。カナダのWork Permit、永住権を取得したいのですが、手伝ってくれませんか、というお問い合わせをよくいただきます。実際はほとんどの場合、カナダでの仕事があって初めて就労許可証や永住権を申請することができます。(例外あり※)まずは仕事が見つかってから移民専門家に連絡を取りましょう。または仕事を見つける前にどんな仕事を見つけたらよいかのアドバイスをもらうこともできますね。
仕事探しのコツ
Monster.ca、Job Bank、Craigslistは仕事を見つけるのによく使われるウェブサイトです。または仕事を斡旋してくれる人材派遣会社(Recruitment Agency)を通して仕事を見つける方法もあります。最近ではLinkedInでネットワークを広げる方法もよく使われています。履歴書を作成するときには、職種と職務内容にフォーカスしたカナダでよく使われている履歴書のスタイルに合わせましょう。インターネットでカナダの履歴書のスタイルを検索してみましょう。
すでにカナダにいる方は、人と会ってネットワーキングをして自分からどんどん進んで仕事につながる人脈を広げましょう。カナダではネットワーキングを通して仕事を見つける割合がもっとも高いと言われています。単身でカナダに渡った上田も最初は仕事を見つけるのに苦労しましたが、過去この人脈を広げるのやり方のみで就職先を見けることができました。
※カナダで仕事を見つける時にはその職種で相場賃金(median wage)が支払われてるかも確認しましょう。Median wage の確認はこちらから。
※但し、カナダで雇用主がなくても永住権の申請ができるのは次のような例があります。
- 家族が呼び寄せて永住権を申請する場合
- Express Entry の点数が高く、雇用主のサポートなしに申請が可能な場合
- 文化的もしくはスポーツで世界的レベルがある
- 自分でカナダでビジネスを始め 起業家として申請する場合
Q.申請費用はどのくらい?
申請には、申請時にカナダ政府に支払う申請料が必要です。それぞれの費用は下記のようになります。
申請カテゴリー | $CAN |
---|---|
就学許可証 | 150 |
就労許可証 ※就労許可証を取得する時には申請プログラムによって付随する次の費用がかかる場合があります。 Working Holiday participation fee – $153 Employer compliance fee- $230 Labour Market Impact Assessment processing fee – $1,000 Open Work Permit holder fee – $100 |
155 |
永住権 | 1,325 |
電子渡航認証(eTA) | 7 |
Q.YuPass Canadaって?
YuPass Canadaはこうした各種滞在許可証の申請を、一番経験の長い日本人の公認移民コンサルタントの一人である上田由美さんがその人の希望にあった方法でサポートしてくれます。ぜひ各種滞在認可証の申請を検討中の方は、一度お問い合わせしてみてくださいね。
YuPass Canadaについて詳しくは↓から。