バンクーバーの日本食レストランShizenyaは本当に”自然”なのか裏側を見てきた

   
  

皆さん、バンクーバーに3店舗を展開する人気の自然食レストラン「自然や(Shizenya)」ってご存知でしょうか?

北米で初めて有機玄米のみ使ったお寿司のお店として知られていて、その他にもオーガニック野菜や地元で捕れた天然のシーフードを使ったり、環境保護にもとても力を入れているレストランです。

でも、そこまで徹底して”自然”にこだわっているお店だと、「化学調味料(MSG)をバンバン使ってるんじゃないか?」「実はやっていることは他のレストランと一緒なんじゃない?」なんて、少し疑ってみたくなりませんか?(意地の悪いLifevancouverスタッフ)

そこで先日、お店の裏側を取材させてもらいました!取材を通して分かったこととは一体?


 

バンクーバーの人気レストラン「自然や(Shizenya)」の裏側取材。キッチンに入らせてもらって分かったこと

(Shizenya Broadway店の外観。日中に撮影)

2021年12月下旬、West Broadwayにある自然や(Shizenya)に行ってきました。ダウンタウンからは約25分くらいのところで、トイザらスやインディゴなどがあるエリアです。


(Shizenya Broadway店の内装。こちらは夕方に撮影)

店内は木のあたたかい雰囲気に包まれていて、ところどころに緑のインテリアもあり、落ち着いてゆっくりとご飯をいただける空間でした。コロナ禍ということもあり、各テーブルの間には十分なスペースが確保されていましたよ。

ここからは食品衛生検査機関の人になった気分で、キッチンに潜入。お店の裏側を観察して、素材へのこだわりなど分かったことをまとめて伝えます。

 

発見1: 有機玄米は24時間以上水に浸けて発芽させてから炊いていた件

さっそく発見したのは、Shizenyaの代名詞ともいえる有機玄米です。自然やの有機玄米は手を抜かずに、必ず丸1日は水の中に浸けて発芽させてから使っているそうです。

代表の廣瀬さんによると、発芽させることで酵素が活性化して、お米自体により甘みと旨味が加わります。また、栄養も通常の玄米より高くなったり、ぼそぼそ感が減ってふっくら柔らかになるんです。とのことでした。

実際に発芽有機玄米を食べさせてもらうと「手間と時間をかけることで、ここまで変わるのか~!」と、少し感動しました。

あとで詳しく調べてみると、発芽させた玄米は食物繊維量もより増え、玄米自体が白米と比べて肥満になりにくくなるといわれていたり、便秘の解消や高血圧の改善などにも関係していることも分かりました。

自然やで働く従業員はこの有機玄米のまかないをいつも食べるためか、口を揃えて「お通じがよくなった!」と言うそうです。(う・・・うらやましい環境・・・!)

さらにお米はヌカ層や胚芽部分に農薬が溜まりやすいといわれていますが、自然やでは有機玄米のみが利用されているので、残留農薬の心配も要らないのは大きいですよね。

 

発見2: Ocean Wise認証の天然シーフードのみ使用しているので、持続可能な社会づくりに貢献していた話

自然やでは、人気の紅鮭と備長まぐろなど毎朝地元で獲れた新鮮なシーフードが食べられますが、何でも利用しているのではなく、オーシャンワイズ(Ocean Wise)認証の天然ものだけを使用しているそうです。

※オーシャンワイズのマークの意味は?
漁をしても海の生態系を壊さない魚介類や、環境に配慮した方法によって漁獲・養殖されている魚介類にのみ付けられるマーク。カナダでは多くのレストランがオーシャンワイズの考えに賛同し、サステイナブルなシーフードの代名詞となっています。

つまり、自然やのシーフードはオーシャンワイズ認証のものなので、折り紙付きの新鮮な魚介類の使用だけに留まらず、生態系を壊さない環境にも配慮していたんですね。

ちなみに昔から自然やのテイクアウト容器は再生可能なバイオ素材を使用していて、お箸も再利用できるものを使用ということで、さすが・・・!

 

発見3: 野菜はUSDA認証のものや地元のオーガニックを厳選して使用

野菜をふんだんに使ったサラダや惣菜を提供する自然やでは、米国農務省(USDA)認証マークが付いた新鮮な野菜や地元産のオーガニック野菜を毎日仕入れているそうです。(※USDAマークを得るには厳しい基準をクリアする必要があります)

廣瀬さんによると、自然やは高級レストランではなく普段から何度も行きたくなる&みんなが気軽に楽しめる健康な食事を提供するお店を目指しているため、コストや季節的な部分も考慮して可能な限りオーガニック野菜をいつも使うようにしているとのことでした。

実際お店にあった野菜を見せていただいたのですが、新鮮で美味しそうな野菜が並んでいました。


(実際見せていただいたオーガニック野菜。新鮮なものを目利きして仕入れているそう)

また余った野菜でも野菜出汁(だし)を取るなど、食材をできるだけ全て使うように工夫しているのも、自然やという名前に合っていますよね。(手間暇かかってます・・・)

ちなみに、自然やの生ごみは忙しい日でも1日でバケツ一杯分 or それ以下なので、家庭用のゴミ袋1つで済むそうです。

 

発見4: MSGゼロのレストラン。料理の命ともいえる出汁も手間と時間をたっぷりかける

各素材について分かったところで、料理の命ともいえる出汁(ダシ)についてですが、自然やの出汁は昆布と椎茸を一晩水に浸してから火にかけている伝統的な方法でとられていました。この出汁が自然やの料理の土台でもあり、決め手になっているんですね。

MSG(化学調味料)のダシを使うレストランもよく聞く話ですが、自然やはMSGゼロなので、気にする方でも安心して食べることができそうです。

 

発見5: グルテンアレルギーの人やベジタリアンの人でも選べるメニューが豊富なレストランであること


(写真右上のSHIZENYA BEANS CURRYもグルテンフリー&ベジタリアン向けメニューです。鶏肉or牛肉を追加することも可能)

この記事を見ている方の中には、グルテンアレルギーの方やベジタリアンの方もいるかもしれません。廣瀬さんにお話しを聞く中で、自然やはグルテンフリー対応メニューがほとんどであることが分かりました。

また、ベジタリアンメニューもかなり多いので、通常の日本食レストランとは一線を画す感じです。テンペやオーガニックのキヌアなど、日本食レストランではそこまで使われていない健康志向の素材がたっぷり楽しめるのは、自然やならではだと感じました。
 

自然や代表の廣瀬さんに、なぜここまで自然にこだわるレストランをつくったのか質問してみた

自然やはなぜここまで手間と時間、そして素材のコストをかけているのか、皆さん気になりますよね。

そこで自然やをつくったご本人、代表の廣瀬さんに普段聞けないようなことも聞いてみました。以下4つのQ&Aに分けてお届けします。


なぜ自然にここまでこだわるレストランをつくったのですか?


(写真はデンマン店)

私は、「食べたものが身体をつくる」という考えが第一にあって、「自分で食べたくないものを出したくない / 自分の子どもに安心して食べさせられて、自分も食べたいものを提供したい」と考えていて、そんな想いから生まれたレストランが自然やです。

2011年の独立当初は、ごく一部の健康志向の方にしか自然やは知られていなかったように思います。ただ、オーガニックの認知度がバンクーバーでどんどん高まってきて、自然やもうまくその波に乗ることができました。

2018年にはデンマン店を開けることもできて、バンクーバーで3店舗を構えられるようになったのは、自然やの考え方に共感してくれるファンの方が増えた結果だと思っています。


自然やは北米で有機玄米を使うお店のパイオニアとお聞きました。

知れば知るほど玄米こそオーガニックがよいと元々思っていたのですが、お店を始めた頃はバンクーバーの日本食ベンダーで有機玄米を取り扱っているところは無かったんです。

ホンビー店を開けてから約1年後にアメリカの生産者へ連絡をとることができて、最終的に有機玄米を入手できるようになったんです。私が認識する中で当時は有機玄米を使っているお店は、一部を除いてほぼ無かったかと思うので、有機玄米=自然やのイメージが付いたかと思います。

幸運なことにカナダ人の方でも白米より玄米を求める方もいらっしゃって、さらに有機玄米を使っていることを伝えると、喜んでもらえることが多くなりました。自分がやりたいことをやっていて、色んなお客様が共鳴してくださって、本当にありがたいと思っています。


食へのこだわり(想い)があったら教えてください

自然やの理念の一つに「食を通して世界を笑顔にする」があります。

昔バンクーバーのレストランの寿司バーで働いていたのですが、自分がつくったものを食べてもらって、お客様が笑顔になって帰っていくっていうのが面白いなと思いました。

例えば、お店に入ったときに険悪なムードだった2人が美味しいものを食べて仲直りして帰っていったり、朝上司に叱られてへこんでいるスーツ姿の方が美味しいもの出食べて元気になって会社に戻っていくみたいな。食べ物って人を元気にする力がある、っていつも思います。

飲食業界で働いていると、お客様に笑顔になって帰ってもらって、笑顔を伝播させてもらうことが可能なんです。

だから、皆さんが笑顔になれるような美味しい食事と時間を過ごしていただけるように、従業員たちといっしょに毎日全力を尽くしています。


環境保護にもかなり力を入れていますが、お店のコストが増えたりしないんでしょうか?

コストは増えます(笑)でもオーシャンワイズの理念の通り、限られた資源を保護しながら使わないといけないと考えています。そしてお店を始めた頃より、今の方がそれを実感しているんです。

なぜかというと、乱獲されているためか、サーモンなど魚介類のサイズが年々小さくなってきていたりするのを目の当たりにしているからです。

だから持続可能な食材の確保を支援したいといつも考えています。生態系を守ることは、食を守ること。そこは目を隠してはいけないところだと思います。


(Shizenyaの人気メニュー SOCKEYE SALMON CARPACCIO)

シーフードに関していえば、養殖された魚なら手に入るかもしれません。でも、自分が他の人に食べさせたい魚を思い浮かべると、やっぱりオーシャンワイズの理念に沿ってやっていかないと、自然やでも自分が出したいものがいずれ出せなくなると思っています。

10年後、100年後の子ども達のことも考えながら、これからも自然やを経営していく気持ちでいます。

 

結論:自然やは本当に”自然や”だった

ということで、取材を通してどうにか粗を探してやろうなんて思っていたのですが(爆)、自然やは本当に”自然や”でした。子どもにも安心して食べさせられる料理、いいですよね。まだ一度も行ったことが無い方は、ぜひ訪れてみてください。

最後になりますが、現在自然やはいっしょにお店を盛り上げてくれるような仲間を募集中とのことなので、最後にシェアします。

自然やの経営理念に共感する方は一度確認してみてはいかがでしょうか?(働きながら、まかないで健康になれそう・・・汗)

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