BC州民にとって嬉しい2019年度新予算!知っておきたい16項目をピックアップ

   
  

BC州在住者にとって嬉しい様々なプランが織り込まれた、「2019年度のBC州新予算」が今年2月に発表されました。
その予算額は、20億ドル!
皆さん、もう内容は確認されましたか?

BC在住者がより良い生活を送れるように、安定した将来が保証されるようにと「MAKING LIFE BETTER」を掲げている今回の予算。

安定した仕事、手ごろな住宅価格、病院、学校、チャイルドケア、シニアケア、その他公共サービスの向上・・私たちの普段の生活に関わる様々なところにBC州の予算が向けられることになります。

今日は、2019年度予算案の中から注目したい16項目をピックアップしてみました。

1.新・子育て支援制度「BCOB」

今回の予算案の目玉ともいえるのが、この「BC Child Opportunity Benefit (BCOB)」。子育て支援に4億ドル(約330億円)を充てることが発表されました。

ミドルクラス以下の家庭の子どもが0歳から18歳になるまでの18年間、最大で合計28,800ドルの子育て支援金が支給されることになります。

現在のEarly Childhood Tax Benefit (ECTB)という名を改め、BC Child Opportunity Benefit (BCOB)という新制度が2020年10月に誕生します。

詳細は、LifeVancouverの記事「BC州の新・子育て支援制度!子どもが18歳になるまで、年間最大1,600ドルを支給」をご覧ください。

2.MSPの無料化

2018年度に、MSP(メディカルサービスプラン)の料金が半額になりましたよね。このMSPが2020年1月1日に無料になります!(MSPプレミアムが廃止)
財源は、企業に新たに課せられるEmployer Health Tax (EHT)です。
これにより、家族二人で年間最大約1,800ドルの出費が浮くことになります。

3.中級層の納税額の削減

政府は、中級層(ミドルクラス)の納税額を大幅に下げることを発表しています。

・世帯年収が60,000ドルの4人家族の場合、純BC州所得税は2016年と比べると60%も引き下げられます。金額にすると、納税額が約2,500ドル減ります。
・世帯年収が80,000ドルの4人家族の場合、純BC州所得税は2016年に比べると43%も引き下げられます。金額にすると、納税額が約2,400ドル減ります。
・世帯年収が100,000ドルの4人家族の場合、純BC州所得税は2016年に比べると22%も引き下げられます。金額にすると、納税額が約1,600ドル減ります。

4.学生ローン利子蓄積の廃止

BC州では、大学を卒業する際に多くの学生が「学生ローン」を抱えています。そして返済までに利子が発生し続けるので、少しでも早く返済しなければならないという現状がありました。

その問題を解決しようと、2019年2月19日に全ての学生ローンにかかる利子蓄積を廃止しました。
これにより、例えば連邦と州のローンを合計して28,000ドル抱えていた人は、10年間返済プランの場合約2,300ドルが浮くことになりました。

5.住宅価格高騰に対する施策

カナダに住んでいる人の多くが実感している、異常なほどの住宅価格の高騰。外国人購入者や投機家、人が住んでいない物件の所有者への増税など、様々な対策が取られています。過去半年で、既にバンクーバー広域の住宅価格は8.3%減少、コンドの価格は6.6%減少、タウンホームの価格は6.2%減少し始めています。

さらにBC州は、この先10年間の長期プランとして、114,000棟の家を住宅用もしくは賃貸用に建設することを発表しています。1年目となる今年は、既に17,000棟の家が建設済みもしくは建設中となっています。
学生を対象にした物件も、キャンパス付近に増える予定です。

また、大家が家賃を上げることができる額の制限をさらに厳しくするなど、賃貸に関するルールを見直したり、シニアで賃貸をしている人への補助金の額を増やすことなどが発表されています。

6.ホームレス削減対策

ホームレスへの対策には、7600万ドルを充てる予定です。ホームレスの人々のためのモジュールハウス建設、そのための土地購入、そして彼らが社会復帰できるための手助けにかかる費用などが含まれます。この計画で、大幅なホームレス削減を目指すとしています。

7.チャイルドケア料金の値下げ

チャイルドケアの料金が高く、「収入がチャイルドケアに消えるけれども働く」もしくは、「チャイルドケアのお金を節約するために仕事をやめて子育てをする」の二択しかない・・そんな、子育てと仕事の両立が難しい環境を改善しようと、2018年度の予算では3年間で1億ドルを投資してBC州のチャイルドケア事情の改善が図られることになりました。

BC州内にある政府認定の52,000以上のチャイルドケアで、毎月350ドル、年間にして4,200ドルのチャイルドケア利用料金がすでに値下げされました。

また、昨年にはチャイルドケア補助金制度が「Affordable Child Care Benefit(ACC)」という名の補助金制度に変わり、内容もさらに充実。子ども一人につき最大15,000ドルも費用を抑えることが可能になりました。この制度は、世帯年収が111,000ドルまでの家族に適用されるので、BC州の80,000以上の家族が対象となっています。

その他にも、22,000の新しい認可チャイルドケアを設立予定であることが発表されています。

8.医療現場への投資

バンクーバーでもSt. Paul病院が移転することが既に発表されていますが、病院の拡大や移転、新設などにも予算が充てられています。

また、多くの都市で「ファミリードクターが足りない」「専門医の診察を受けるまでの待ち時間が長い」などの問題を抱えるBC州では、より良いサービスと待ち時間短縮のため、多くのファミリードクター・看護師・薬剤師を新規採用することが発表されています。

シニアケアにも予算が充てられ、シニアケアギバーのフルタイム勤務者を増やし、サービスや勤務環境の向上を図ることにも注力する予定です。

9.「Pharmacare制度」の拡大

所得などに応じて薬代などがカバーされる「Pharmacare制度」。 2019年には4200万ドルを充て、ぜんそく、目の感染病、糖尿病などの薬もカバーの対象とする予定です。

BC:About PharmaCare
https://www2.gov.bc.ca/gov/content/health/health-drug-coverage/pharmacare-for-bc-residents/about-pharmacare

10. 教育施設への投資

約1億ドルの予算で、新しい学校の設立、校舎の耐震補強工事などが行われる予定です。コミュニティーが拡大しているラングレー、サレー、セントラル・オカナガンでは、新たな学校を増やすために土地の購入も計画されています。
これにより、新たな教員採用も予定されています。

11. 山火事対策と森林の修復作業費

近年、深刻な山火事が発生しているBC州。先住民と地元住民のパートナーシップを強固にし、山火事のような災害発生時に最善の策を打てるようにと、2018年度に設けられた7,200万ドルの予算に加え、さらに1億1,100万ドルが2019年に追加され、3年間の火災管理の強化に充てられることになっています。
さらに1300万ドルが、病気や山火事でダメージを受けた森林の修復作業等に充てられる予定です。

12. 先住民コミュニティへ支援の継続

BC州は先住民のコミュニティ―と協力し、先住民の教育やチャイルドケアの充実、様々なプログラムの運用を継続して行う予定です。2019年度予算では、最新のエネルギー効率化とクリーンエネルギー導入のプロジェクトに注力をしている先住民コミュニティを支援するため、300万ドルがBC先住民クリーンエネルギー法案に充てられます。

さらに、BC州政府は今後25年間で、BC州の先住民に30億ドルの州ゲーミング収益をシェアすることを決めています。

*ゲーミング補助金とは
BC | Gaming Grant
https://www2.gov.bc.ca/gov/content/sports-culture/gambling-fundraising/gaming-grants

13. 雇用基準の改善

3年間で1400万ドルの予算で、雇用基準の保護を改善し、弱い立場にある短期間外国人労働者(Temporary foreign worker)が一方的に不利な立場に立たされるのを防ぐための登録システムなどを作成することなどが計画されています。

14. 企業の税金負担の軽減

企業の成功と雇用創出を手助けするために、8億ドルを充ててビジネスに関わるタックスの削減を図ります。

15. 無料の法律クリニック「Legal Clinic」の設立

弁護士を雇う金銭的な余裕がなくても被害者がしっかりとサポートを受けられるように、BC州の8つのコミュニティに「Legal Clinic」が設立される予定です。ここでは、無料で法律関連のアドバイスを受けることができるようになります。

16. 気候変動対策「Clean BCプログラム」

2030年までに2007年比で40パーセントの温室効果ガス排出量削減を目標にしているBC州。目標達成のため、そして新たな仕事を生み出すことによって人やビジネス、コミュニティーに経済的機会を与えるために「Clean BCプロジェクト」が発動しています。当プログラムには、今後3年間で9億200万ドルを充てることが発表されました。

BC:CleanBC plan to reduce climate pollution, build a low-carbon economy
https://news.gov.bc.ca/releases/2018PREM0088-002338

具体的な施策をいくつか紹介します。

電気自動車などのゼロエミッションが、さらに入手可能な価格設定になります。ゼロエミッション車用のチャージステーションの数を増やすほか、自宅や職場へのチャージステーション設置にも補助金が交付される予定です。

●クリーンエネルギーのための改装をした場合の補助金制度
・オイル、プロパン、ナチュラルガスのヒーティングシステムを電気モーターのヒートポンプに取り換えると、2000ドル
・より効果的な断熱の窓やドアへの差し替えで、最大1000ドル
・最も効率的なナチュラルガス炉の導入で、最大700ドル

●企業やコミュニティーもサポート
燃料費や大気汚染削減のため、会社のトラックやバスなどを環境に配慮した燃費が良いものに買い替える際の補助金制度の導入も予定されています。


いかがでしたか?
今回紹介したのは予算案の一部ですが、嬉しい項目がいくつもあったと思います。

経済成長が進むBC州。
今後3年間の年度計画では、毎年継続的な黒字を見込んでいます。
その恩恵をBC州民一人ひとりに還元したいと話していた、キャロル・ジェームズ財務相。

積極的な税制措置や助成金・補助金制度等、今後も州政府の施策に注目です!

BC州予算の詳細は、こちらで!
BC | MAKING LIFE BETTER BUDGET 2019
https://www.bcbudget.gov.bc.ca/2019/pdf/2019_Highlights.pdf
BC | MAKING LIFE BETTER
https://www.bcbudget.gov.bc.ca/2019/default.htm

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