【知っておきたい】BC州次期首相ロ​​ーン・ドークセン氏とBC保守党の主要政策9つ

   
  


(関連記事: 【約100年ぶりの政権奪還へ】カナダBC州議会選挙で保守党が圧勝)

2026年10月24日に実施されたカナダ・ブリティッシュコロンビア州(BC州)の州議会選挙で、BC保守党(Conservative Party of British Columbia)が勝利し、政権交代が実現する見通しとなりました。

新たな州首相への就任が見込まれているのは、BC保守党の党首、ロ​​ーン・ドークセン(Lorne Doerkson)氏です。

今回は、次期州首相となる見通しのドークセン氏について、そしてBC保守党が選挙で掲げた主要政策について紹介します。


次期BC州首相 / 保守党の暫定党首、ロ​​ーン・ドークセン氏(Lorne Doerkson)ってどんな人?

ロ​​ーン・ドークセン(Lorne Doerkson)氏は、BC州内陸部のCariboo-Chilcotin地域を地盤とする政治家です。1968年9月24日にBC州ニューウエストミンスターで生まれ、13歳のときに同州サーモンアームに移住。政治家になる前には、地元新聞社Black Pressで約20年間働き、その後、金融コンサルティングにも携わってきました。

地域活動にも積極的に参加しており、Williams Lake Stampedeや地元商工会議所など、さまざまな団体で活動してきた経歴があります。

また、2020年に初めてBC州議会議員に当選。2024年5月、ドークソン氏はBC保守党への入党を発表し、2024年の州選挙において、BC新民主党(BC NDP)の候補者マイケル・モーゼス氏を破り、得票率70.13%で再選を果たしました。

BC保守党では、2026年9月20日にケリー=リン・フィンドレー(Kerry-Lynne Findlay)氏が党首を辞任し、ドークセン氏が後任の党首が選出されるまでの「暫定党首」として党を率いることになりました。

そして、就任から約1か月後の州議会選挙で、保守党を勝利に導き、保守党は63議席を獲得。一方の新民主党(NDP)は28議席にとどまって敗北しました。党を再び団結させたと高く評価されたドークセン氏は、次期ブリティッシュコロンビア州首相に指名されています。(第38代首相就任予定)

※BC保守党の現在の党則では、暫定党首は正式な党首を選ぶ選挙に立候補できません。ドークセン氏を正式な党首にするためには、党則の変更が必要で、その変更には党員の3分の2以上の賛成が求められます。
そのため、BC保守党の執行部は、ドークセン氏が州首相になる場合、正式な党首として認められるよう手続きを進める意向を示しています。

参考: CityNews

 

BC保守党が掲げる主要政策9つ

BC保守党は今回の選挙で、生活費の負担軽減、医療サービスの改善、公共の安全などを重点政策として掲げました。

ここでは、BC保守党のウェブサイトに記されている主要な政策をお伝えします。(参考: Conservative Party of BC Our Plan)
 

1. 州所得税を年間1,000ドル軽減する方針

BC保守党が掲げる代表的な公約の一つが、州所得税(provincial income taxes)の減税です。BC州で働くほぼすべての方を対象に、州所得税を年間1,000ドル引き下げることを目標に掲げています。夫婦など2人の納税者が対象となる場合、世帯全体で年間約2,000ドルの減税につながると説明しています。

また、基礎控除額(Basic Personal Amount)を現在の13,216ドルから32,000ドルへと引き上げることで、一般的な共働き世帯の場合、毎月167ドルの手取り額が増えることになると保守党のウェブサイトに記されています。

さらに、政権を担う全期間を通じて、既存の税率を引き上げず、新たな税金も導入しない方針を示しています。

 

2. カナダ産アルコール飲料の州売上税(PST)を撤廃

カナダ産のビール、ワイン、蒸留酒に課される州売上税(PST)を撤廃する方針です。

この措置は、米国との貿易摩擦が続く期間中に実施するとしており、消費者の負担軽減とともに、BC州のワイナリーや醸造所など、地元産業の支援を目的としています。

ワイナリー、ビール醸造所、蒸留所は、州内の各地域において2万件以上の雇用があり、BC保守党は貿易摩擦によってこれらの事業が閉鎖に追い込まれるような事態は断じて許さないという姿勢を見せています。

 

3. 医療サービスの改善

BC州では、家庭医(Family Doctor)の不足や救急医療へのアクセスが課題となっています。BC保守党は、2026年度予算で承認された医療費の水準を維持し、医療サービスへの資金確保を優先する方針です。

具体的には、医師や看護師の増員と定着に取り組み、閉鎖の危機にある地方の診療所などを支援するほか、5,000万ドルの緊急基金を投入することを公約に掲げています。

また、州内での医師養成を強化し、海外で医学を学んだカナダ人の帰国を促すとともに、海外で取得した医療資格の認定手続きを迅速化するということです。

 

4. 治安対策を強化し、警察官などを増員

公共の安全を確保するため、警察官の増員など強化を進める方針です。具体的には、次の施策を掲げています。

  • 警察官養成機関を拡充し、新たに250人の警察官を採用・配置
  • 犯罪が蔓延する地方や地域社会の治安を立て直すため、5年間でRCMP(王立カナダ騎馬警察)の警察官500人と民間職員150人を増員
  • 検察官50人を新たに採用
  • 連邦政府と協力し、裁判官20人の増員を目指す
  • 精神医療や依存症治療へのアクセスを拡大
  • 重度の薬物依存、精神疾患、脳損傷を抱える人々が路上生活から抜け出し、適切なケアを受けられるよう、思いやりのある介入を導入
  • 薬物使用による公共空間の混乱への対応や、病院・シェルターなどでの違法薬物使用の防止に取り組む

 

5. 天然ガス・LNG産業の拡大

BC保守党の「エネルギー・スーパーパワー計画」は、州内の建設・開発を再び活性化させるためのもの。BC保守党は、天然ガス・LNG(液化天然ガス)産業の拡大を掲げています。

具体的には、天然ガスの生産量を2032年までに2倍、2035年までに3倍へと拡大し、高賃金の雇用を創出し、数十億ドル規模の投資を呼び込み、公共サービスのための新たな財源を生み出すことを目標にしています。

 

6. 学校でのSOGI教育指針の撤廃

BC保守党は、学校で性的指向やジェンダーアイデンティティに関する理解を促進する教育支援資料「SOGI 123」を撤廃する方針を示しています。

ドークセン氏は、SOGIが州内で意見の対立を生む問題になっていてSOGIは撤廃されなければならないと主張する一方、子どもたちが安全に学校生活を送れる環境は引き続き確保する必要があると説明しています。

SOGI 123(ソジ・ワンツースリー)とは

カナダBC州の学校で、性的指向やジェンダーアイデンティティに関係なく、すべての児童・生徒が安全で尊重される環境をつくるための教育支援プログラムです。多様性を尊重し、性的指向や性自認を理由とするいじめ、差別、嫌がらせを防ぐための教育支援資料や取り組みを提供しています。

なお、SOGI 123を開発・支援してきた非営利団体「ARC Foundation」は、2026年9月29日に活動を段階的に終了することを発表しています。同団体は、SOGI 123のプログラムや教材などを別の団体に引き継ぐ可能性を検討しているとのことです。そのため、SOGI 123自体の今後の運営体制は不透明な状況です。

【SOGI 123公式サイト】

 

7. 先住民の権利に関する宣言法「DRIPA」の廃止

「Declaration on the Rights of Indigenous Peoples Act(DRIPA)」とは、カナダBC州で2019年11月に成立した、先住民の権利を尊重し、州の法律や政策を国連の先住民族の権利に関する宣言と整合させることを目的とした法律です。

BC保守党は、その法律を廃止する方針です。

ドークセン党首は、現行法が本来意図されていたような、BC州州民のための安定した状況をもたらすには至っていないとし、法的な不確実性を生み、鉱業などの資源開発や投資に影響を及ぼしていると主張しています。

一方で、DRIPAの廃止後も、先住民との協力関係や経済的なパートナーシップは引き続き重視し、資源開発などの事業を共同で進める考えを示しています。

 

8. 山火事対策の強化

BC州は、過去10年間にわたり山火事によって甚大な被害を受けてきました。深刻化する山火事への対策として、消防航空機の導入や予防活動の強化を掲げています。

保守党が政権を担ったら直ちに「山火事から地域社会を守る行動計画(Protect Communities from Wildfire Action Plan)」を実行に移す方針で、火災シーズンを少しでも不安の少ない状態で迎えられるようにするとのことです。

実際に行うことの例

  • 消火用航空機(空中消火機を含む)の新規調達
  • 地域社会周辺における、火災の燃料となり得る危険な森林可燃物の除去
  • 緊急時に、専門的な消防リソースが迅速に活動できるよう環境を整える
  • 早期発見および予防技術への投資を目的とした専用基金の創設

 

 

9. 自動車保険の制度見直し

BC保守党は、自動車保険料を抑えながら、重大な交通事故の被害者に対する補償制度を改善する方針です。

現在の公的自動車保険会社ICBCを選択肢として維持する一方、民間保険会社との競争を通じて、消費者の選択肢を増やす考えです。

また、重大な事故で深刻なけがを負った被害者が、法的代理人を通じて適切な補償を求められる仕組みを整える方針です。

カナダBC州に住む私たちの生活はどう変わる?

今回紹介した政策は、BC保守党が選挙期間中に掲げた公約であり、すべての実施が決定したわけではありません。

ロ​​ーン・ドークセン氏の正式な就任日は現時点で発表されていませんが、11月18日頃に予定されている選挙結果の正式認証後、新政権への移行が進む見通しです。

今後、新政権がどの政策を優先して進めるのか、また予算や制度改正にどのように反映されるのかが注目されます。

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