2011年に起きた東日本大震災。
その津波によって流された船がBC州の北海岸(Klemtuの近く)で見つかり、その船の持ち主である漁師の佐々木さんが2015年8月24日(月)にバンクーバーに降り立ちました。
1.漁船「双松丸」がKlemtuで見つかる(2013年春)
photo from http://globalnews.ca/news/2183062/japanese-man-to-reunite-with-boat-lost-in-tsunami/
佐々木さんの船「双松丸」は、2013年の春にダイバーによってBC州の北海岸(Klemtuの近く)で発見されました。
※Klemtu(クレムトゥ)は、BC州に属するスウィンドル島の小さな村のことで、野生の動物や雄大な景色を眺めることができる自然豊かな場所です。
漁船が発見された後は、「Spirit Bear Lodge」のマネージャーTim McGradyさんがその船を野生のクマを観るための観光船として使用していました。
この時点では、船が佐々木さんのものであるとは誰も分かりませんでした。
2.佐々木さんの船だと特定される(2014年春)
観光船として生まれ変わった双松丸ですが、もちろんTimさんは誰が所有していたものなのかが気になっていました。
そんなある日、Timさんの経営するロッジに泊まった日系カナディアン女性のKarasawaさんが双松丸に興味を示し、本来の所有者を探し始めます。
photo from http://ameblo.jp/pacer2004/image-11910072288-13035004254.html
そして双松丸が佐々木さんの船であることを突き止めたのでした。
3.佐々木さんがバンクーバーに到着(2015年夏)
photo from http://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/
8月24日、佐々木さんが船と再会するためにバンクーバーに降り立ちました。上の写真はバンクーバー国際空港で対面された佐々木さんとKarasawaさん。
佐々木さんは空港でのインタビューに対して、「その船は家族のみたいなもので、また会えることを楽しみにしています。」と語ったそうです。
(佐々木さんは2011年の津波と地震で奥さんと息子さんを亡くされています。)
photo from http://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/
ということで、数日のバンクーバー観光をした後、佐々木さんは双松丸に会うためにKlemtuに向かったのでした。
船が流されてから約4年。ついに再会の時を迎えたのでした。
4.最後に
太平洋を越える長旅をした漁船は、Klemtuの人たちによっていくらか修理されたものの、発見されたときの状態は良好で、まるで佐々木さんにまた会うために生き延びたようにも思えます。
双松丸との再会を果たした佐々木さんはいったいどんな顔をされたのでしょうね。
photo from http://www.aquablog.ca/2015/06/every-item-has-a-story/
ちなみに佐々木さんはバンクーバー観光の際に、バンクーバー水族館マリンサイエンスセンターを訪れています。そこには東日本大震災によってBC州まで流されたものが展示されています。
photo from http://www.aquablog.ca/2015/06/every-item-has-a-story/
震災がれきは太平洋の潮流に乗り、2012年からBC州沿岸への漂着が始まりました。そして過去1年間で撤去されたがれきは約8トンにものぼるといわれています。そして今でもがれきがBC州の沿岸に漂着しています。
photo from http://www.aquablog.ca/2015/06/every-item-has-a-story/
傍から見たらガラクタかもしれませんが、ひとつひとつに何かしらのストーリーがあるのですよね。そんなことを想像しながら見てみると、より興味深い展示になりそうです。
まだ見たことがない人は、ぜひ行ってみてくださいね。