キッツの愛称で親しまれオシャレなエリアとしても知られているkitsilano(キツラノ)に、新しいコンセプトのレストラン「Deafined」がオープンしたのをご存知ですか？
photo from http://www.straight.com/food/447131/vancouvers-first-deaf-restaurant-deafined-bridges-sound-barrier

どんなコンセプト?

従業員が Deaf=聴覚障害者
こちらのDeafined の従業員は数人を除き、音が全く聞こえない、又はほとんど聞こえない方々です。同じコンセプトのSIGNSというお店が昨年トロントにオープンしましたが、バンクーバーでは初になります。

このレストランを開いたきっかけは?

Canadian Association of the Deafによると、カナダに推計350,000人いると言われている聴覚障害者のうち、フルタイムの仕事に就いているのは約20%。オーナーのMoe Alameddineさんはこの状況から、「なんとか障害を持った人達にも機会を与えてあげたかった」と語っています。

photo from metro news

さらに彼はモントリオール、トロント、バンクーバーと3店舗あるDark Table というレストランのオーナーでもあります。

このDark Tableは従業員がVisually impaired(目の不自由な方々)で、お客さんにも真っ暗な中で食事をとってもらい、感覚を研ぎ澄まして香りと食感を味わってもらうというコンセプトのレストランとなっており、Dark Tableで従業員達が熱心に働く姿を見ていて、「Deafined の成功にも確信があった。」とも語っています。

オーダーはどうしたらいいの?

全てのメニューには数字かアルファベットが付けられていて、お客さんはSL=Sign language (手話)でオーダーします。お店にはcheat sheet (あんちょこ、カンニングペーパー)が置かれていてSL(手話)が出来なくても全く問題なし。

photo from http://www.vancitybuzz.com/2015/05/deafined-restaurant-kitsilano-introduces-diners-sign-language/

先日、テレビでこのレストランが取り上げられていたのですが、お客さんが見よう見まねのSLとジェスチャーを交えて楽しそうに注文しているのが印象的でした。

photo from http://www.vancouversun.com/health/Deaf+dining+restaurant+serves+concept+Vancouver/11025597/story.html

Alameddineさんは、「このレストランのゴールは、Deaf(聴覚障害者)とHearing(健常者)の壁を無くす事」と語っており、健常者である彼自身も

It’s a challenge. It’s not easy, but it’s a lot of fun. Every day I learn something new.
ー (僕にとっても) 挑戦だし、容易い事じゃない。でもね、とっても楽しいんだ。毎日新しい事を学んでいるよ。ー

とのこと。「興味を持つ」という事が壁を無くしていく第一歩なのかも知れませんね。

photo from http://www.vancitybuzz.com/2015/05/

私はこのレストランがなぜ新しいのか考えてみたのですが、従業員の努力だけでなく、このレストランを訪れるお客さんの忍耐と助け合い、そして新しい事を学ぼうとする気持ちがあってこそ成り立つ、言わば『一緒に学んでいく』という点ではないかなと思います。

今後、このような取り組みが身を結んで、様々な障害を持った方々も社会に出て行ける世の中になるといいですね。

最後に、一番大切な言葉を練習しましょう。
気持ちを込めて Thank you!!!