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コモンロー(事実婚)でカナダ永住権申請も可能!「結婚」との違いやその特徴は?

   
  

日本人にはあまり馴染みのないコモンロー(COMMON-LAW/事実婚)ですが、カナダでは年々コモンローを選択するカップルが増えています。

コモンローは”Marriage like relationship(結婚同様の関係)”と定義されていて、結婚しているカップルとほぼ同等の権利が与えられているのです。

では、「コモンロー」と「結婚」は何が違うのでしょうか?

今日は、コモンロー成立の条件、結婚との違い、コモンローでの永住権取得、カナダでコモンローの関係を持つ際に知っておきたいことなどをまとめてみました。

※2020年12月18日追記:

以前記事では、BC州政府のウェブサイトの情報を元に「2年以上結婚生活同様の生活をしている、もしくは二人の間に子どもがいるとコモンローの関係になり、相手が配偶者(Spouse)となります。」と記載していましたが、政府公認の移民コンサルタントの方に確認したところ2年ではなく「1年以上」とのことでした。

1.コモンローって何?コモンロー成立の条件とは?

コモンロー成立の条件はカナダの州によって異なりますが、一定期間一緒に住みながら結婚同様の関係を築いていたり、二人の間に子どもがいるなどの条件を満たしているカップルには、性別関係なく「コモンロー」が成立します。

カナダBC州の家族法によると、1年以上結婚生活同様の生活をしている、もしくは二人の間に子どもがいると「コモンロー」の関係になり、相手が「配偶者(Spouse)」となります。

ただし、規律や法律などによってコモンローの定義が少しずつ違うのがややこしい点です。
例えばカナダでコモンローとして移民申請をする際やBC州でコモンローとしてインカムタックスリターンをする際には、カップルとして1年以上同棲していれば「コモンロー」として扱われます。

多くのコモンローのカップルは、相手を「Partner(パートナー)」と呼びます。

 

●BC州では、コモンローと結婚はほぼ同じ扱い

特にBC州では、2013年度に新しい家族法「BC Family Law Act」が誕生し、それ以来、コモンローと結婚がほぼ同等とみなされるようになりました。
BC州のコモンローカップルは、チャイルドサポートや子供の親権、タックスの控除などに関しても、結婚しているカップルとほぼ同等の権利が与えられます。

●コモンローの関係が万が一破綻した場合に備えて・・


反対に、コモンローのカップルが別れる際には、「離婚」同様の問題に直面する可能性があるので注意です。
住んでいた家などの財産分与、子どもがいる場合は親権や養育費問題など・・将来万が一コモンローの関係が破綻した時のために、予め同棲生活に関する法的な同意書を作成しておくカップルもいます。

2.結婚ではなくコモンローを選択する理由とは?


では、「なぜ結婚せず、コモンローの関係を選ぶの?」と思ったことはありませんか?
カナダで生活をしていると、コモンローの関係をオープンにしているカップルによく出会います。
彼らに理由を聞いてみると・・

・同棲生活をし始めたらいつの間にかコモンローの関係になっていたけれど、結婚の決意はまだできていない
・何度か離婚をしているので、もう結婚はしたくない
・結婚をすると、結婚式を挙げなきゃいけないというプレッシャーがある
・自分たちの愛は確かだから、法的に証明してもらう必要はない
・二人の宗教観の問題で、結婚はしない方が良いという決断をした
・好きな人とずっと一緒に生活をしたいけれど、結婚には興味がない

・・など、その理由は様々です。

幸いにもカナダでは同性婚が認められているので、「同性婚ができないからコモンローを選んだ」というカップルはいません。

3.カナダで増え続ける「コモンロー」のカップル

photo from Statistics Canada

↑州別に見る結婚とコモンローの割合

2016年のStatistics Canadaの調査結果によると、カナダ全土で1981年には6.3%のみだったコモンローのカップルが、2016年には21.3%にまで増えています。特にケベック州では39.9%のカップルがコモンローとなっています。
ここBC州では、2016年時点で16.7%のカップルがコモンローです。

photo from Statistics Canada

↑同性カップルの結婚(青)とコモンロー(水色)の比率

上記グラフのように同性カップルの場合は、大半のカップルが結婚ではなくコモンローを選んでいるという調査結果もあります。

4.大きく違う!「結婚」と「コモンロー」の手続き


結婚=法的に婚姻関係を結ぶのとコモンローの関係を結ぶのでは、手続きが大きく違います。

まずBC州での結婚の手続きは、日本のように紙切れ一枚を提出すれば良いというわけではありません。こちらの記事でも紹介したように、3ヶ月前にMarriage License (結婚許可証)を手に入れ、結婚式も必ず挙げなければなりません。
最終的にはMarriage Certificate(結婚証明書)を受け取り、法的に夫婦(もしくは夫夫/妻妻)であることが認められるのです。

一方、BC州でのコモンローの手続きは、特にありません。1年以上同棲をしながら結婚生活同様の生活をしていると二人が主張すれば、「私たちはコモンローの関係です」と言えるのです。

ちなみに日本人がカナダ人と「結婚」をした場合は日本の戸籍を変更しますが、「コモンロー」の場合は戸籍を変更することはできません。

5.コモンローでも結婚でも、ファミリークラスでのカナダ永住権申請が可能!

カナダの移民申請でも、この「コモンロー」は結婚同等に扱われます。
たとえば日本人のあなたがカナダ国籍もしくは永住権を持っている人とコモンローの関係である場合には、結婚した時と同じ、ファミリークラスでのカナダ永住権申請をすることができます。

ただし、コモンローでファミリークラスのカナダ永住権を申請する場合は、コモンローが成立していることを証明しなければいけません。
二人の交際履歴&写真、共通の友達からの証明レター、連名の賃貸契約書や共用口座のコピーなど、二人の関係を証明する様々な書類を弁護士等に提出し、認証書を発行してもらう必要があります。

「結婚証明書」が使える婚姻関係に比べ、法的書類がないコモンローの証明には時間がかかります。
よって、コモンローでの永住権申請が結婚での永住権申請より簡単だとは、一概には言えないでしょう。

これだけコモンローという関係が定着しているのは、様々な形の関係・文化・思考を尊重している移民大国カナダならではですよね。

コモンローについての理解をしっかりと深めたいものです。

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