【貿易摩擦】カナダでBuy Canadianの動きが加速。BC州首相は米国への渡航を控えるように言及

   
  

2025年にアメリカによるカナダ製品への関税措置をきっかけに、カナダでは「できるだけカナダの商品を選ぼう」という動きが全国的に拡大しました。

そして2026年8月、カナダとアメリカの貿易交渉が決裂し、アメリカはカナダに対して、新たに50%の報復関税を課したことで、再び Buy Canadian への関心が高まっています。

今回は、再燃している Buy Canadian の動きについて紹介します。


カナダで「Buy Canadian」が再び拡大。関心が急激に高まる

米加関係が再び緊迫し、カナダではアメリカの関税への反発が強まっています。そんな中、カナダ国内で注目を集めているのが「Buy Canadian」です。Buy Canadianとは、その名の通り、輸入された商品ではなく、カナダ産の商品やカナダ企業の商品を積極的に選ぼうという動きです。

SNSやオンライン上ではカナダの商品や企業に関する情報を共有する人が増えているほか、カナダ製品を探すためのウェブサイトなどにもアクセスが集中しています。

たとえば、カナダ経済への貢献度をもとに数千の商品を紹介しているウェブサイト「The Canada List」では、8月22日以降、1日のアクセス数が推計で約10,000%増加したとのことです。ニュースレターにも多くの人が新たに登録しているということです。

また、カナダ商品を扱うトロントを拠点とするオンラインマーケットプレイス「Common Goods」でも、米加貿易交渉が決裂した後、サイトへのアクセスが1日で約3倍になったということで、カナダ製品への関心が急激に高まっていることを表しているといえそうです。

オンタリオ州のダグ・フォード州首相は「これはごく当たり前のことです。私たちは今、(貿易)戦争のさなかにいます。自分たちの国を守り、自分たちの州を守る。アメリカまで行って商品を買うべきではありません。と語り、カナダ国民に Buy Canadian を推奨しています。

カナダ人の40%がスーパーで商品の原産地をチェック

Buy Canadianは、単なるSNS上のムーブメントというわけではありません。

8月に米国との貿易摩擦が激化する前、Angus Reid Instituteが2026年7月23日~25日にカナダの成人1,790人を対象に行ったオンライン調査によると、食料品を購入するカナダ人の40%が、店頭で商品の原産地を積極的に確認していると回答しました。

さらに原産地を確認する人の多くが、アメリカ製の商品を見つけると棚に戻し、カナダ製またはアメリカ以外の国の商品を選んでいるということです。

調査では、

73%:アメリカ産の卵を避ける
70%:アメリカ産乳製品を避ける
59%:アメリカ産のワイン・ビール・蒸留酒を避ける
52%:アメリカ製の自動車を避ける

※「Would probably not buy」と「Would definitely not buy」と回答した人の合計割合

参照: angusreid.org

と回答しており、たとえ今後アメリカとの間で新たな貿易合意が成立したとしても、アメリカ製品を避けようとする消費者が一定数いることが予想されます。

 

アメリカ渡航も約1,000万回減少。BC州首相がアメリカ渡航を控えるように言及

Buy Canadianの動きは商品の購入だけではありません。Bank of Canadaによると、カナダ人によるアメリカへの渡航は、2025年に前年比で約1,000万回減少しました。これは前年比で約25%の減少となるということです。

内訳を見ると、

陸路:約840万回減(-30%)
空路:約120万回減(-12%)

参照: Assessing the Buy Canadian movement one year later

となっていて、新型コロナウイルスによって国境を越える移動が大幅に制限されていた時期を除けば、非常に大きな減少幅となりました。

貿易摩擦が激化となり、BC州のデービッド・イービー首相は以前記者会見で州民に対し、米国製品ではなくカナダ製品を購入するよう呼びかけ、選択肢があるなら米国への渡航も控えるように述べました。

Buy Canadianという言葉は「カナダの商品を買う」という意味で使われることが多いですが、カナダ国内で旅行する、カナダ企業のサービスを利用するといった形にも広がっています。

最後に:「Product of Canada」と「Made in Canada」は意味が違う

スーパーなどで買い物をする際、いつも購入している商品のパッケージを少し確認してみると、「Product of Canada」「Made in Canada」など、これまで気付かなかった表示が見つかるかもしれません。

カナダの商品を選びたい場合に知っておきたいのが、「Product of Canada」と「Made in Canada」の違いです。

Product of Canada(カナダ産):
98%以上のコストがカナダ国内で発生した製品。商品の最後の実質的な加工がカナダで行われたものも条件に含みます。

Made in Canada(カナダ製):
コストの51%以上がカナダで発生した製品。「Product of Canada」と同様に、商品の最後の実質的な加工がカナダで行われたことも条件に含みます。

カナダとアメリカは長年、世界でも特に緊密な経済関係を築いてきました。そのため、すべての商品をカナダ製に切り替えることは現実的ではないかもしれません。また、カナダ企業の商品でも原材料や部品を海外から輸入しているケースは珍しくありません。

それでも今回の米加貿易摩擦激化をきっかけに、「自分が使う1ドルをどこに使うのか」を意識するカナダ人が再び増えていることは確かなようです。

2025年から続く Buy Canadian は、一時的なブームからカナダ人の消費習慣の一部へと変わりつつあるのかもしれません。そして米加関係が再び大きな転換点を迎えている今、その動きはさらに広がっていきそうです。

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