【保存版】ワーホリでも確定申告は必須!カナダのタックスリターン丸分かりガイド

   
  

カナダに長年住んでいる人はもちろん、ワーホリで短期間カナダで働いている人も忘れてはならないのが、タックスリターン(確定申告)です。

タックスリターンをすると払い過ぎた税金が返ってくることがあったり、逆に追加納税を怠ると罰金や利息が発生することもあるので、期限内にきちんと申告&支払いする必要があります。

今日は、カナダの会計事務所でも働くLifeVancouverライターのMakiが、公認会計士監修のもと、カナダの給与所得者(Employees)の個人の確定申告(パーソナル・インカムタックスリターン)について分かりやすく解説します!

1. そもそも、タックスリターンとは?

一年に一度、前年(1月~12月)の正確な所得税を確定させることです。

毎月の給与収入からタックス(税金)は天引きされていますが、その額が必ずしも正しいとは限りません。
複数の仕事を掛け持ちしていたり、政府から助成金や補助金を得ていたり、学費や医療費を多く払ったりした場合など、様々な要因で最終的な納税額は変わります。

納税額を確定させたうえで、昨年に税金を払い過ぎてた人には政府から返金があり、逆に納税が足りていなかった人は追加納税をすることになります。

2. タックスリターンの時期は?

給与所得者(Employees)は、前年のタックスリターンを毎年4月30日までにする必要があります。

追加納税がある人は、4月30日までに申告(file)と追加納税の支払い(pay Tax)をしなければ、罰金・利息が発生してしまいます。
申告だけでなく追加納税の期限も4月30日なので注意してください。

通常、前年の所得などが一覧になった「T4」と呼ばれる書類が、2月末か3月上旬に勤務先から渡されます。それを受け取ったらすぐに、タックスリターンを行うと良いでしょう。日本のような「開始日」はありません。

3. ワーホリの人も対象!タックスリターンをするべき対象者は?

結論から言うと、観光ビザ以外でカナダに滞在している人は、タックスリターンをするべきです。

まず、追加納税をする必要がある人(Anyone who owes tax)は、タックスリターンを必ずしなければいけません。政府から助成金・補助金などを受け取っている人も、タックスリターンは必須となります。

払い過ぎた税金を戻してほしい人(Anyone who wants to claim a refund)も、お金が戻ってくるので是非しましょう。

日本で会社勤めをしていると、所得税額の確定と納税まですべて会社に任せていた人が多いと思います。カナダでは日本と事情が違うので注意です!

年齢は関係なく、例えば5歳の子役でも収入を得ていればタックスリターンをしなければいけません。

細かい条件は、CRA(Canada Revenue Agency)のページで確認できます。

4. 家族の場合は、家族揃ってタックスリターンをするべき?

家族でカナダで生活をしている人は、ぜひ家族まとめてタックスリターンをしましょう。

日本同様、カナダでも税負担を公平にするために、様々な種類の控除やタックス・クレジットを差し引いて納税額が計算されます。家族の間では控除やタックス・クレジットを移動・分割できることがあり、多くの場合節税に繋がります。

5. 確定申告や追加納税が遅れた場合には、罰金や利息が発生するので注意!

追加納税が必要な人は、必ず4月30日までに支払いをしましょう。

申告が遅れた場合に罰金(Penalties)が生じるだけでなく、支払うべき追加納税額に利息(interest)が5月1日から発生します。ちなみに、追加納税が不要な人には、申告が遅れた場合の罰金は発生しません。

<申告遅延の罰金>
遅れた最初の月→追加で納税すべき額の5%
2か月目以降→追加で納税すべき額の1%

例)1,000ドルの追加納税を6ヶ月遅延した場合の罰金
1,000 x 5% + 1,000 x 1 % x 5= $100

<追加納税遅延の利息>
利息は通常3ヶ月ごとに変わり、1年間で最大6%となっています。最新の利率については、CRAのページで確認ができます。

CRA:Interest rates for the first calendar quarter
https://www.canada.ca/en/revenue-agency/news/newsroom/tax-tips/tax-tips-2018/interest-rates-for-the-first-calendar-quarter.html

6. タックスリターンは、どこですればいいの?料金は?

1) 会計事務所

一番よく使われるのが、会計事務所(Accounting Firm)でしょう。複雑なタックスリターンの場合は、カナダの公認会計士(CPA)がいる事務所で行うと安心です。

ライフバンクーバーでは、ワーホリの方限定で藤井公認会計事務所でのタックスリターンを代理で受けつけています!

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2) H&R Brock, Money Martなど

街中でよく見かけるこれらの会社。会計事務所ではありませんが、タックスリターンをすることができます。

初めてこのような会社を使う人は、料金設定に関して注意が必要です。
例えば「Pay With Refund」などと謳い、「タックスリターンを無料でします。でも、CRAから返ってくるお金の15%をいただきます。」などというものです。一見無料に見えて、返還額によっては結構な額の手数料を取られる可能性があるからです。

「返還額の○%を手数料で支払ってください」という料金設定のお店を利用する場合は、事前に手数料の額をチェックしておきましょう。

3) 自分で(ソフトウェアや用紙で)

最近では、タックスリターンを自分でできるソフトウェアも出ています。様々なルールについて理解をしている人は、もちろん自分で行っても問題ないでしょう。
ただし、タックスリターンに関するルールは毎年変更があり、最新の情報や控除等に関するルール理解していなければ申告漏れやミスが発生することもあります。間違えて過少申告した場合の罰金や利息などのリスクを考えると、プロにお願いするのが一番と言えます。

10年ほど前までは、紙での確定申告をしている人もいましたが、今ではオンラインの申告が主流です。用紙を取り扱っている機関もほとんどなくなっているので、全てがオンラインに移行するのも時間の問題だと思います。オンラインでの申告をお勧めします。

4) 政府管轄の無料機関で


photo from canada.ca

シンプルなインカム・タックスリターンに関しては、ボランティアが無料で確定申告を行ってくれるFree Tax Clinic」を設けている機関もあります。あくまで、タックスリターンを行ってくれるのはボランティアなので、大きな間違いなどが発生した場合は自己責任となることを心得ておきましょう。
近くにあるタックス・クリニックは、CRAのホームページにあるFind a tax clinic in your areaから検索できます。

7. T4は必須!タックスリターンに必要な書類まとめ

●T4 (源泉徴収票)
日本の「源泉徴収票」に該当するのが、カナダの「T4」です。複数の会社で働いている場合は、それぞれの会社からのT4が必要になります。例えば昨年に一ヶ月だけ働いて辞めた場合でも、その会社からのT4は必要です。
通常は2月末~3月頭にかけて雇用者から直接もしくは郵送で受け取ると思いますが、3月中旬になっても届かない場合は、一度雇用者に確認をしましょう。

●Notice of Assessment (タックスリターンの通知)
前年とは違う会計事務所でタックスリターンをする場合には、前年(例えば2018年のタックスリターンをする際は2017年)のタックスリターンをした際に受け取った「Notice of Assessment」も提出するとスムーズにタックスリターンが行えます。

●控除やクレジットに関連するレシートや明細など
どんなレシートや明細が必要になるのか・・?を次の項目で説明します。

8. 節税に繋がる!主な控除やタックス・クレジットとは?

節税をするには、所得税控除(Tax Deductions)タックスクレジット(Tax Credits)を忘れずに使うことが大事です。これらは、先にも述べたように家族間で移行や分割をすることで、最大限に節税をすることができます。

関連するレシートや明細などはきちんと保管し、タックスリターンをする際に提出しましょう。

所得税控除やタックスクレジットの項目は100近くありますが、主なものを集めてみました。

●医療費(Medical Expenses)

医療費を多く支払った年は、減税の対象となるかもしれません。
MSPや個人で入っている保険でカバーされない処方箋代、歯科や眼科で発生した費用、不妊治療代、手術代、医療に関連する器具を購入した際のレシートなどは、一年分まとめてとっておきましょう。個人で入っている医療保険の費用も含めることができます。ジムの年会費やサプリメントの費用は、通常含まれません。

日本に一時帰国した際や他国への旅行中に医療費が発生した場合は、その費用も原則として対象となることを知っておきましょう。

知らない人も多いですが、家族全員の医療費を合算することができます。念のために家族全員の医療費関連レシートを一年分保管しておき、タックスリターンの際にタックスクレジットとして使えるかを会計士に相談しましょう。

細かな条件がありますが、通常は手取り収入(Net income)の3%以上ある場合に、タックスクレジットとして使えます。

●退職金貯蓄プランRRSP(Registered Retirement Savings Plans)

最も代表的な控除の一つです。銀行でRRSPの口座を開設することができ、指定した額をこのRRSPの口座に貯蓄することができます。

RRSPとして貯めているお金は、次に引き出すまで税金免除となります。所得が多い=納める税金の額が高いので、所得が多い年には一部をRRSPに入れて貯金し、老後になって所得が少なくなった時に引き出すことで、かなりの節税が見込めます。

また、RRSPに入れたお金はほとんどの人が投資に充てています。(投資をしない選択肢もあり)
将来引き出した時には額が増えている可能性が高いのも魅力の一つです。

●大学・専門学校等の学費(tuition, Education, and Textbook Amounts)

残念ながらESLは対象となりませんが、大学・専門学校等のPost-Secondary Programの学費は、関連するテキスト代を含めて対象となります。学校からT2202Aという書類を受け取りましょう。

●チャイルドケアの出費(Child Care Expenses)

働きながら子育てをしている親には嬉しい控除です。仕事をしている間のチャイルドケアやデイケア、ベビーシッターを雇った時の料金、サマーキャンプなどに参加した時の費用も対象になります。レシートをとっておきましょう。

●転居にかかった出費(Moving Expenses)

仕事の都合、もしくはフルタイムの学生としてpost-secondary programを大学などで取得するため、新しい職場や学校に少なくとも40キロ以上近づく場所に引っ越した場合に適用となります。
引っ越し費用の明細を残しておきましょう。

●ドネーション(Donation)

登録されたチャリティーへの寄付をした場合、レシートをとっておきましょう。5年分まとめて申請できます。

9. タックスリターンの際に特に重要な事項は?

タックスリターンをする上で、例えば以下の情報は非常に重要となります。

・昨年、初めて住居を購入した
・昨年、家を売却した
・昨年、扶養家族に変更があった
・昨年、カナダ国外で収入を得た
・海外に100,000ドルを超える価値のある土地を所有している

タックスリターンをしてくれる人が必ずしも一項目ずつ確認してくれるとは限りません。
当てはまる項目がある場合は、タックスリターンをする際に必ず会計士などに伝えましょう。

10. 納税率と免税額の一覧はこちら

収入が高ければ高いほど納税額が高くなるのは、日本でもカナダでも同じです。

では、いくら稼ぐといくら税金を納めなければならないのでしょうか?

カナダでは、収入に応じて連邦所得税「Federal Personal Income Tax」州所得税「Provincial Personal Income Tax」を納めます。その合計額が、納税額です。

連邦所得税と州所得税の税率は、以下の通りです。

●2018年の連邦所得税率

2018 Federal Personal Income Tax Brackets and Rates

Income Tax Rate
$0 to $46,605 15.00%
$46,606 to $93,208 20.50%
$93,209 to $144,489 26.00%
$144,490 to $205,842 29.00%
over $205,843 33.00%

●2018年のBC州所得税率

2018 BC Provincial Personal Income Tax Brackets and Rates

Income Tax Rate
$0 to $39,676 5.06%
$39,676.01 to $79,353 7.70%
$79,353.01 to $91,107 10.50%
$91,107.01 to $110,630 12.29%
$110,630.01 to $150,000 14.70%
Over $150,000 16.80%

ただし、免税額が毎年設定されているので、収入からこの免税額を差し引いて納税額を計算することになります。

是非知っておきたい代表的な4つの免税項目はこちら。

●2018年の代表的な免税項目

2018 Main Exemption

Federal Provincial
Basic 11,809 10,412
Spouse / Dependent 11,809 8,915
Age (over65) 7,333 4,669
Disability 8,235 7,809

*Basic
→全ての人に適用されます
*Spouse / Dependent
→扶養家族が働いていない場合などに適用されます
*Age (over65)
→文字通り65歳以上の人に適用されます
*Disability
→障害がある人に適用されます
ドクターが記入した申請書をCRAに送り、CRAから認定を受けた人のみが対象となります

11. 収入とシチュエーション別、実際にいくら納税するのか調べてみた!

連邦所得税とBC州所得税、そして免税がどのように計算されるのか、表を見ただけではわかりづらいですよね。
ここでは、実際に計算をしてみたいと思います。

*控除やタックスクレジットはなしと仮定した場合の計算方法
(収入-連邦免税額)x 連邦所得税 +(収入-BC州免税額)x BC州所得税 = 納税額
ケース1)独身で、2018年の収入が30,000ドルの場合
→納税額は3,720ドル

納税額= ($30,000-$11,809) x 15 % + ($30,000 – $10,412) x 5.06 % = $3,720
(収入 – 連邦のBasicの免税額)x 連邦所得税率 + (収入 – BC州のBasicの免税額)x BC州所得税率

ケース2)65歳以上で2018年の収入が$30,000ドル、妻は障害者で働いていない場合
→納税額は0ドル

($30,000-$11,809-$11,809-$7,333-$8,235) x 15 % + ($30,000-$10,412-$8,915-$4,669-$7,809) x 5.06 % = -$1,469
(収入 – 連邦のBasicの免税額 – 連邦のSpouse/Dependentの免税額 – 連邦のAge over65の免税額 – 連邦のDisabilityの免税額)x 連邦所得税率 + (収入 – BC州の免税額 – BC州のSpouse/Dependentの免税額 – BC州のAge over65の免税額 – BC州のDisabilityの免税額)x BC州の納税率


以上、カナダのインカム・タックスリターンに関する基礎知識をまとめてみました。節税に繋がる控除やタックス・クレジットについては、ぜひ把握しておきたいですね!

ワーホリでカナダに滞在している人も、忘れずにタックスリターンを行ってください!

McPhee Tax & Accounting Inc.代表
公認会計士 Colin McPhee, CPA 監修

*本記事の情報は、2019年3月現在のものです。

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