バンクーバーのこの「ヒト」に注目!第20回、バンクーバージャイアンツ用具マネージャー・佐々木伸吾さん

   
  

LVで以前取り上げたWHL(ウェスタン・ホッケー・リーグ)、Vancouver Giants(バンクーバー・ジャイアンツ)。

取材で何度か試合を訪れた時にジャイアンツのGM・Glen Hanlon(グレン・ハンロン)さんに「Shingoに会った?会って話してみるといいよ」と言って頂き、ジャイアンツのEquipment Managerをなさっている日本人、佐々木伸吾さんにお話を伺ってきました。

佐々木さんジャイアンツロゴ前

photo by D.Laird Allan

全てはワーキングホリデーから始まった

佐々木伸吾さん(以下:S)、インタビュアーKiyomi(以下:K)

K:まず、Equipment Managerのお仕事について聞かせてください
※Equipment=用具・防具

S:一番大きな仕事は(選手が身に付ける)防具の管理、オーダー、修理、改造ですね。
選手によって、ここにパットを付けてくれ、またはこのパットを取ってくれ、違うパットに変えてくれなどの要求にも応えています。
あとはスケートの研磨。練習の準備、洗濯。試合の時には敵チームのお世話もします。

K:えっ!敵チームのお世話もするんですか!?

S:はい。敵チームの洗濯や水の準備などホームチームが全てやる事になっています。
逆に自分たちのチームがビジターの場合はホームチームが全てやってくれるのでフェアなシステムだと思います。

K:用具についてですが、例えば野球だとバットのグリップの太さが一人一人違ったりしますけど、ホッケーでも同じですか?

S:はい。グリップ、スティックの長さ、カーブの曲がり具合など、同じスティックは二つとないと思います。選手によっては持ち手がベトベトしてる方がいいとか色々好みがありますね。
佐々木さんゲーム中photo by D.Laird Allan

K:ジャイアンツのようなジュニアチームだと年齢や体の大きさで毎年違ったりするんですか?

S:そうです。今年と来年では全く違います。カナックスのようなNHL選手になると全く変えなくて逆に困ると聞きました。用具マネージャーからすると、新しいのをあげた方が楽なんですけど、頑なに修理して同じものを長く使いたがる選手が多いようです。

K:ジャイアンツで働く事になったキッカケは?

S:23歳の時にワーキングホリデーでバンクーバーに来た事が全ての始まりでした。
元々、日本でホッケーショップで働いていて、そこでスケートの研磨、用具の修理などを学んだんです。カナダにワーホリで来たのも、こっち(カナダ)には各チームに用具マネージャーという仕事があるのを知って面白そうだなって、なってみたいなって思ったのが理由でした。

その時に、運良くUBC(ブリティッシュ・コロンビア大学)のアイスホッケー部でボランティアとして働けるようになって、シーズン中働いて一度日本に帰りました。
カナダにはもう戻ってくる事はないだろうなと思って消防士を目指して勉強してたんです。

そして運命を変える友達との再会

S:消防士を目指していた時に、カナダで知り合った友達が遊びに来て、その友達にカナダに戻ってくる気はないのかと聞かれたんです。
僕は正直その時はカナダに戻る事を全く考えてなかったんですけど色々考えて「じゃあ、戻ってみるか!」と思い就労ビザを申請したんです。
ところが、申請が通らなかったんです、、、、。

それを聞きつけた、当時日系食品店に居た友達が、その食品店で出せるかトライしてくれて、結果出してもらえたんです。

どうせカナダに戻るならEquipment Manager(用具マネージャー)をやりたいと思ったので、ゆくゆくは永住権を申請するけど、永住権が取れたら、そのお店の仕事は辞めて用具マネージャーの仕事をやりたいと伝え、店では夜働いて昼間はUBCのホッケーチームでボランティアをしていました。

そしてまた夢が動きだす

S:2003年にNHLのLock Outがあったのですが

※Lock Out(ロックアウト)とは、オーナー側がスタジアムや練習場などの施設や敷地への立ち入りを禁じ選手側との交渉手段とする行為で、選手側が行う「ストライキ」の逆手法の事。

その期間中にVancouver Canucks(バンクーバー・カナックス)の選手たちがUBCに練習で来ていたんです。当時、僕一人で全員の用具係を務めました。

のちに、ジャイアンツの用具マネージャーが他のチームに行くので空きが出来たと聞いて申請したんです。
その際に、カナックスの方がジャイアンツに「彼はよくやってくれたから採用したほうがいいよ」と言ってサポートしてくれたのもあって合格して、今に至るっていう感じです。

K:ご自身の努力は勿論ですが、人との縁やタイミングにも恵まれてたのでしょうか?

S:そうですね、今思うと色々繋がってここにいるのかなと思いますね。もしNHLのロックアウトがなかったら、そういう機会もなかったかも知れないしジャイアンツに空きが出た事も知らなかったかも知れないし。

カナダについて思うこと

K:ワーキングホリデーで初めて来た時の印象はどうでした?

S:アイスホッケー大国だな〜と思いました。あと正直、、、退屈だなって(笑)
ワーホリが終わった時には二度と戻ってくるか!と思いました。
特に今から10年前なんて、本当に何にもなかったんで退屈でした。

K:英語は話せたんですか?

S:全く!
1から10までとYes,Noぐらいしか喋れなかったです。

K:どうやって克服しました?

S:まず勉強の仕方が分からなかったので、とにかく分かるまで何度も聞いてました。
英語は今だに苦労してます。ジャイアンツではセラピストのNick(ニック)とよく話します。彼にすごく助けられています。

K:カナダに来て好きになった食べ物とかあります?

S:無いですね(笑)
こっちに来て余計日本食が好きになりました。

K:日本の恋しいものは?

S:「友達」「家族」かな。あとテレビも恋しいです(笑)

※ちなみの佐々木さんのお気に入りは「アメトーク」「水曜どうでしょう」「おにぎりあたためますか」だそうです

K:こっちの人って、日本人からするとノンビリし過ぎっていうか、たまにイラっとする事とかありません?(笑)

S:それ、わかります(笑)
例えばスケート靴をオーダーした時、右が二足入ってたりとか、、、、。
もうネタですよね(笑)
仕事とホッケー以外は日本の方がいいなって思います。

現在と今後のこと

Q:仕事で落ち込むことってありますか?

S:毎日です。
この仕事は常に要求に応えることばかりなので毎日壁だらけです。
セラピストのニックといつも愚痴を言い合っています(笑)

K:仕事をする上で大切にしている事は?

S:気にしない事、ミスを恐れない事ですね。
僕は自信とプライドを持ってやっているつもりなので、だからこそ壁があっても乗り越えていけるのだと思います。それをカナダで学んだと思います。日本だと、怒られるの怖いし、できるだけ触らないようにしようって思ったりしたけど、こっちではそういう訳にはいきません。
怒られても、常に挑戦して、いつでも辞める覚悟でやってます。
ジャイアンツゲームショットphoto by D.Laird Allan

K:今後の目標は?

S:やっぱりNHLに行きたいですね。
この仕事は引退がないからチャンスはあると思っています。

K:海外で働きたい!海外で何かしてみたい!という方々に一言

S:失敗を恐れない事ですね。
こっちで何が起こるかなんて誰にも分からないし、とにかく来て、やってみた方がいいと思います。
佐々木さんとロゴとドアと私photo by D.Laird Allan

<編集後記>
終始笑顔でお話ししてくれた佐々木さん。その笑顔の中にとても強い意志を感じました。私は夢を現実にしていく人って必ず「縁」と「運」を持っていると思うのですが、そういうのってボーッと突っ立っていて得られるものではなくて丁寧に真摯に人と向き合うからこそ「縁」が生まれ、誰にも負けない強い信念があるからこそ「運」を呼び込むのだと思います。佐々木さんは、「ダメなら日本帰ればいいし!」とおっしゃっていましたが、私はその言葉の裏に「ダメだと言われるような仕事はしない」という強いプライドを感じました。日本のチームにはおそらく居ないであろう用具マネージャーという仕事に異国の地で挑戦している佐々木さん、同じ日本人としてとても嬉しかったし、お会いできた「縁」に感謝したいと思います。

佐々木伸吾さんが用具マネージャーを務めるVancouve Giantsの試合の情報はコチラ

Van Giants ロゴ FBから

Special Thanks
Vancouver Giants:http://vancouvergiants.com
Steve Erickson(Sportswave):https://sportswave.ca
D.Laird Allan(Photographer):http://www.dlairdallan.ca

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