バンクーバーやトロントなどのカナダ在住者の中には、「カナダからアメリカへ旅行したい」と考える方も多いのではないでしょうか?そんなときに欠かせないのが、アメリカ入国時に必要となる「ESTA」(エスタ)です。
本記事では、カナダからアメリカへ入国する際に必要となる「ESTA」の概要から、オンラインでの申請方法の流れ、料金、注意点まで、詳しく解説します。
目次
また、2025年9月30日から ESTA と I-94 の申請料金が値上げになります。ご注意ください。詳細はこちらの記事で。
ESTA: US$21 ⇒ US$40
I-94: US$6 ⇒ US$30
ESTA(Electronic System for Travel Authorization:電子渡航認証システム)とは?
ESTA(エスタ)とは Electronic System for Travel Authorization(電子渡航認証システム)の略で、アメリカに渡航する際に必要となる事前のオンライン認証制度です。ESTAはオンライン申請のみで、大使館へわざわざ申請に行く必要はありません。
申請費用は US$ 21 ですが、2025年9月30日から値上げが予定されており、約2倍となる US $40 (US $1 = $1.3946 CAD とすると、 $55.78 CAD) になります。
ESTAの有効期限は2年間ですが、パスポートが先に切れる場合はその日までとなるので、お気をつけください。一度承認されると、有効期限内であれば、複数回の渡航で利用可能です。ESTAは有効期間の延長や更新はできず、有効期間が切れたら新規で申請し直す必要があります。
ということで、ESTA は「短期滞在用の簡易ビザのようなもの」とイメージすると分かりやすいかもしれません。
ESTAは72時間前までに申請を済ませることが推奨されており、未承認の場合だと飛行機や船に搭乗できず、陸路でも入国拒否される可能性が高いです。空港や国境で長時間足止めを食うのを避けるために、出発1週間前など、うっかり忘れないうちに早めに申請するのがよいかもしれません。(申請後すぐに承認されることもあれば、申請の翌日や翌々日に承認されることもあります)
ESTA申請ページはこちら⇒
ESTAが必要になる人(日本人の場合)・不要な人は?
日本はアメリカのビザ免除プログラム(Visa Waiver Program / VWP) 対象国に含まれているため、観光や短期商用(90日以内)の渡航であれば、ビザの代わりにESTAを取得して入国する必要があります。
陸路・海路、空路問わず、日本人の方は ESTA取得を忘れないでください。日本国籍の人が観光・短期出張で陸路でアメリカに渡航する場合や、カナダから飛行機や船でアメリカに入国する場合(目的地が別でアメリカを経由する場合も含む)はもちろん、日本から直接アメリカへ旅行する場合も ESTA が必要です。
以下、ESTAが必要になる人・不要な人を箇条書きで紹介します。
- 観光・短期商用目的(90日以内)でアメリカに行く人(陸・海・空)
- 乗り継ぎでアメリカの空港を利用する人
ESTAが不要なケース
- 既にアメリカの有効なビザを持っている人(学生ビザ、就労ビザなど)
- 永住権(グリーンカード)を持っている人
- 米国籍・カナダ国籍を持つ人
以前は陸路ではI-94W($6)のみで入国できましたが、現在はESTA承認+国境での入国審査が必要になりました。ESTAがない場合は、陸路でも入国が拒否される可能性があるので、お気をつけください。
また、上記の通り、カナダ人はESTAが必要ありません。これは、両国間の特別な合意に基づく措置で、歴史的に国境を越えた往来が頻繁であることが背景にあります。カナダの永住権保持者(PRカード所持者)で日本人という方は「カナダ国籍」ではないため、ESTAが必要になります。
【日本語で申請可能!模倣サイトに注意】ESTA申請の流れを紹介
ESTAの申請は I-94 と違って英語以外の言語(日本語含む)でも申請できるので、英語が苦手という方も安心してください。(平均所要時間20分ほど)
申請代行手数料を要求する、ESTA申請ウェブサイトのデザインに似せた模倣ウェブサイトにご注意ください。正式はURLはこちら⇒ https://esta.cbp.dhs.gov/
また、申請の前にパスポートの有効期限が十分にあるか確認しておきましょう。今回は2025年9月下旬にデスクトップで実際にESTAを申請してみたので、その流れを解説します。(※グループではなく、個人での申請を想定して紹介)
ESTA申請ページはこちら⇒
※ESTAのアプリでも申請可能
photo from esta.cbp.dhs.gov/
アプリ上でも日本語で申請可能だったり、ESTAが承認された日付などを確認できたりするので、アメリカを度々訪れるという方はインストールしておいても損は無いと思います。
1. ESTA申請ページを開き、言語設定を日本語にする
まずは、U.S. Customs and Border Protectionの ESTA申請ページを開きます。
日本語で申請したい方は、画面右上にある「Change Language」で「日本語」を選択してください。これで全て日本語で申請できるようになります。
その後、「新規に申請を作成する」をクリックして、「個人による申請」を選択。すると、セキュリティに関する通告のポップアップが表示されます。問題無ければ、「確認して続行」ボタンを押してください。
セキュリティに関する通告
あなたはDepartment of Homeland Security(国土安全保障省)のコンピュータシステムにアクセスしようとしています。このコンピュータシステムおよびそこに含まれるデータは、米国政府の所有物であり、米国政府当局に対し情報とその使用を提供するものです。このコンピュータシステムを使用する際、個人情報保護は期待されません。パスワードの使用または他のセキュリティ対策による個人情報保護は期待されません。このシステムを利用する際、あなたはこの通告に明記された事項に同意したことになります。あなたはこのコンピュータシステム上に存在する、機密国家安全保障情報を処理してはなりません。このシステムへのアクセスは、許可されたユーザーにだけに限定されます。このシステムまたはそこに含まれるデータへの不当なアクセス、使用あるいは改ざん、またはこのシステムへの接続は、section 1030 of title 18 of the U.S. Codeおよび他の刑法違反に相当します。 無許可あるいはアクセス権限を超過し連邦政府のコンピュータシステムにアクセスする者、あるいはその情報を獲得、警告、損傷、破壊、または公開しようとする者、または使用許可を有する者のコンピュータシステム内にある情報の使用を阻止する者は、刑罰、罰金または収監の対象となります。このコンピュータシステムおよび一連の設備は、行政監視、法の執行、犯罪調査目的、不正行為または悪用疑惑調査の観点から監視対象となっており、適切な安全保障および手続きを厳密に運用できる体制が整備されています。DHSは、これ以上の通告なしに、あらゆる活動のモニタリングを行うことがあります。
2. 免責事項
次の画面では「免責事項」を確認して、問題無ければ「はい、私は上記の説明を読み、内容を理解し、これらの条件に合意します。」をチェックしてください。
また、「The Travel Promotion Act of 2009」の項目もあるので、こちらも説明を確認して、「はい、私は上記の説明を読み、内容を理解し、これらの条件に合意します。」をチェック。
その後、「次へ」をクリックしてください。
3. 申請者情報
続いて、申請者情報を入力します。ここで、ESTAを申請する渡航者のパスポートのbiographicページ(顔写真と個人情報が記載されているページ)全体をアップロードしてください。アップロードされたパスポートのデータは、渡航者のIDと一致する必要があります。
「旅券をアップロード」ボタンを選択すると、パスポートのbiographicページのファイルを選択してアップロードしたり、デバイスのカメラを使ってパスポートの生体認証ページをスキャンすることができるようになります。
さらに、申請者の自撮り写真のアップロードが求められます。頭と肩だけ写したもので、無地の背景が推奨されています。パスポートと同じ写真をアップロードすると応募がキャンセルされるので、注意。
パスポートと自撮り写真をアップロードすると、姓名やパスポート番号、性別などパスポートに記載されている内容は自動的に入力されます。出生した市区町村名の部分は、LifeVancouverスタッフは岡山市出身なので、「OKAYAMA」と記載しました。
そして、「別の市民権・国籍」の項目も順に入力してください。LifeVancouverスタッフは日本人でカナダの市民権を持っていないので、最初の質問は「いいえ」を選びました。「はい」を選んだ場合は、市民権・国籍の情報を入力します。
全て入力したら、「次へ」をクリックしてください。入力した情報を確認するポップアップ画面が出てくるので、確認して問題なければ「確認して続行」ボタンを押します。
すると、入力した Eメールアドレスに4桁コードが送られるポップアップが出てくるので、コードを送信⇒メールを確認⇒コードを入力してください。(コードは25分後に無効になります)
4. 個人情報
次は個人情報の入力です。全ての回答は英語で入力する必要があります。必須の回答欄だけでも良いので、順に埋めていきましょう。
「どこか他の国から、これまでに渡航用のパスポートまたは国家身分証明書を発給されたことはありますか?」という質問には、二重国籍を持っている方や過去に持っていた方、渡航用として居住国や他国から国家身分証明書を発行された人などが該当するかと思います。
ソーシャルメディア情報の入力はオプションとなります。この情報は、旅行者の申請情報の裏付けまたは確証に使われることがあります。詐欺や不正行為の疑いを確認するために使われることもあります。LifeVancouverスタッフはとりあえず、X(Twitter)のユーザIDだけ入力しておきました。
また、NEXUSなどのメンバーシップについて、そして両親の姓名、勤務先情報も入力して次に進んでください。勤務先情報は「はい」を選ぶと、雇用主名や役職名などを入力する欄が出てきます。
5. 渡航情報
ここで、渡航情報の入力が求められます。
「米国への渡航目的は、他国へ乗り継ぐためですか?」の部分は、「はい」を選ぶと「米国内および米国以外の緊急連絡先情報」の入力が求められます。
逆に「いいえ」を選ぶと、米国内の連絡先情報、米国滞在中の住所、米国内および米国以外の緊急連絡先情報の入力が必要になります。
全て入力したら、「次へ」をクリックします。
6. 適格性に関する質問
もうすぐ申請完了です!ここでは適格性についての質問を答えていきます。
過去に犯罪歴などが無く、アメリカ旅行などの理由であれば、基本的には全て「いいえ」になるかと思いますが、それぞれ質問を確認して答えましょう。
質問に答え終わると、「権利の放棄」の項目に移ります。申請内容に関する証明するボックスにチェックを入れてください。代理申請の場合はもうひとつボックスにチェックを入れる必要があります。
「次へ」ボタンをクリックして進んでください。
7. 申請内容の確認
申請内容の確認ページです。以下で入力した項目をそれぞれ確認します。各項目の最後に「確認して続行」ボタンがあるので、それぞれ確認後にクリックしてください。
- 申請者情報
- 個人情報
- 渡航情報
- 適格性に関する質問
上のように「申請内容確認済み」の表示が全てについたら、「次へ」で進みます。
8. 支払い
最後に、支払い手続きを行ってください。支払いが完了するまで手続きは実行されません。「免責事項」にチェックを入れて「今すぐ支払う」を選択してください。
次の画面に移ります。支払いは PayPalアカウント or デビットカード/クレジットカードから選べます。LifeVancouverスタッフはクレジットカードを選択しました。
その後、次のページに移り、クレジットカード情報を入力しました。(VISAやMasterCard、AMEX、JCBなどが使えます)次のページに進むと、お支払い情報の確認になります。「私はカード発行会社との契約に従い、上記金額を私のクレジットカード口座へ課金することを許可します。」のチェックマークを入れて、「続行」を押すと、「支払い手続きを実行中です。」という画面が出てくるので、しばらく待ちましょう。
この画面でブラウザの「戻る」ボタンを押すと、エラーになる可能性があるので、絶対押さないでください。
9. 申請完了!72時間以内に審査結果が下される
申請が完了しました。
承認されるには最大で72時間かかるので、渡航日の直前に申請しないようにしてください。承認されたかどうかは、自身でESTAの申請ページにアクセスして確かめる必要があります。
上の画面は自身に割り振られた申請番号も含まれているので、念のためダウンロード or 印刷しておくと安心です。お疲れ様でした!
ESTAが承認されたかどうかの確認方法
次に、ESTAが承認されたかどうか確認する方法をお伝えします。承認された後、しばらくして「あれ、そういえばESTAの有効期限いつだったっけ?」という際の確認にも使えます。
確認作業は簡単です↓
まずはESTAの申請ウェブサイトで「ESTAのステータス確認」をクリックしてください。「個別による申請のステータス確認」 or 「グループによる申請のステータス確認」の選択肢があります。LifeVancouverスタッフは個人で申請したので、「個別による申請のステータス確認」 をクリックしました。
その後、上の画面になるので、以下の情報を入力してください。
- パスポート番号
- 生年月日
- 申請番号 or (市民権・国籍)・発行日・有効期限
上は実際にLifeVancouverスタッフがESTAを申請した後の画面です。申請から約1時間ほどで承認されていることが確認できました。再度になりますが、有効期限は申請から2年間となります。
まとめ:渡米前には、ESTAだけでなくI-94もお忘れなく
今回は、ESTAの申請方法についてまとめてみました。
何度もお伝えしていますが、渡米の72時間前までには申請を済ませておきましょう。承認されれば、2年の有効期間があるので、期間内に渡米する際には毎回ESTAを申請しなくても大丈夫です。(2年以内にパスポートの期限が切れる場合、パスポートの有効期限日をもってESTAも無効)
また、申請を自分でやりたいという方は、くれぐれも申請代行業者のウェブサイトにはお気をつけください。ESTAの公式サイトと申請代行業者のウェブサイトのデザインは似ているので、「公式サイトと勘違いして実際に不必要な代行料金を払ってしまった」というケースも実際にあります。
最後になりますが、陸路でカナダからアメリカへ行く場合は「I-94」(アイ・ナインティーフォー)という出入国記録情報が必要になります。I-94のオンラインでの申請方法の流れについて解説した記事もあるので、あわせて確認してみてください。
U.S. Customs and Border Protection
ESTA申請ページ