電話相談サービス DV(家庭内暴力)日本語ホットライン担当の加瀬さんにインタビュー

   
  

皆さん、2017年に在バンクーバー日本国総領事館が開設したドメスティック・バイオレンス(DV)を受けている日本人被害者への支援を目的とする日本語による電話相談サービス「DV日本語ホットライン / YWCA 日本語アウトリーチプログラムを知っていますか?

今回は、DV日本語ホットラインを担当しているYWCA加瀬さんに、ハーグ条約を含めたお話を色々聞いてきました。

DVで現在悩んでいる方はもちろん、国際結婚でカナダに在住している方及びそれを予定している方にとって大切なことなので、ぜひ内容をチェックしてみてください。


 

DV日本語ホットライン担当 YWCA加瀬さんにインタビュー

1. まずDV日本語ホットラインについて教えてください。

DV日本語ホットラインは、在バンクーバー日本国総領事館がYWCAに業務委託しているもので、BC州及びユーコン準州で暮らしている日本国籍を持っている方を対象としています。

相談、関係機関(裁判所、警察、弁護士事務所、法的支援機関、病院、生活保護など)への同行、諸手続きの支援、通訳などを無料で受けることができるサービスです。

毎月ホットラインを通じての相談はありますが、潜在的にDVで悩んでいる方はもっといるはずだと感じています。「身近な人がDVで悩んでいる」という方も手遅れになる前に、早めに連絡、相談ください。

DV日本語ホットライン:604-209-1808
月~金曜日午前9時~午後5時、祝祭日を除く

【在バンクーバー日本国領事館のDVホットラインに関するページ(日本語)】
【YWCA Japanese Outreach Program(英語)】

 

2. DVには身体的虐待以外も含まれるのですか?

まだ多くの日本人が「DVは身体的な虐待で、それ以外はモラハラ、セクハラ、パワハラ」だと考えていらっしゃいますが、それら全部含めてDV(ドメスティックバイオレンス)といいます。

例えば、付き合っている頃から精神的なDVを受けている方も多いです。「おまえはダメだ。何をやってもできない。」と言われ続けると、その人と別れる自信もなくなってくるものです。

そういった精神的な虐待はもちろんのこと、身体的被害を受けていなければホットラインを利用できないということはありませんので、まずは連絡いただければと思っています。

 

3.日本がハーグ条約を発効したことで、カナダ在住の夫婦の関係はどう変わりましたか?

(関連記事)【ハーグ条約について知っておこう】国際結婚が破綻した時に、子どもはどうなる?

日本のハーグ条約発効前までは父親と母親がカナダで別居中であっても、母親が日本へ子ども(16歳未満)を連れて一時帰国できないことが問題となっていました。

しかし2014年に日本がハーグ条約を発効したことで、今はカナダの裁判所からの日本への一時帰国の許可も出やすくなりました。

ただ、裁判所からの許可を得るための手続きは当然のことながら全て英語になります。

その申請は自分一人でやるか or 弁護士を雇うかしないといけないので、日本への一時帰国も大変なことだということを事前に理解しておく必要があります。

 

4.YWCAが管理するDV一時避難先のモンローハウス(Munroe House)について教えてください。

YWCAでは、DV被害に遭っている女性と家族を対象に安全で手頃な価格の住宅を提供しています。(相談者が男性の場合は、電話で話を聞いて必要であれば適切な機関を紹介)

例えば私が働いているモンローハウスはセカンドステージハウスで、基本的に9か月から最大で2年以内の滞在が可能です。パートナーのDVから直接逃げて来る人もいます。

※セカンドステージハウスとは
最近暴力を経験した女性、子ども、若者のための一時避難所。手頃な価格の一時避難のための住宅を提供する。

参考:BC Society of Transition Houses


(モンローハウスにある一室。ハウスの中は広く、家族でも十分に生活ができる部屋が提供される)

1979年にできたモンローハウスは北米で初めてDV被害者が長く滞在できる場所として知られていて、普通のアパートなど住むにはまだサポートが必要な人が暮らしています。そんな人たちが自立できるように私たちがアシストする場所です。

部屋にはキッチンや家具が付いていて、食べ物のドネーションもあるので、最悪の場合はスーツケース一つで来ても最低限生活できるようになっています。ランドリールームも用意されていて、24時間いつでも利用可能です。

ハウジングサポートについてはYWCAのウェブサイトでも解説されているので、ぜひ一度見てみてください。

 

5. 特にどんな人にDV日本語ホットラインの存在を知って欲しいですか?

バンクーバーではワーキングホリデーの日本人女性がカナダ人と結婚するパターンが非常に多いので、もっとワーキングホリデーの方に「外国で結婚をする&子どもを産むっていうことのは、将来こういう問題もあり得る。」というのを知っておいて欲しいと考えています。

例えば、日本だったら離婚後はお母さんが子どもと一緒に実家に戻ることも多いのですが、共同親権のカナダでは別居してからも子育ては同等にやりましょうというのが基本です。

また、カナダ国内で親権や養育監護権、面会交流権などの裁判所命令が出ている場合は「子どもが成人するまで」ということなので、勝手に連れ出したりすると裁判所命令に背くことになります。

守られなかった場合は、警察が介入するというような条項があり、(最近はほとんどの Parenting Time Order にそれがついています。)誘拐罪として訴えられることもあります。

さらに、たとえ日本の警察が返還に協力しなくても、連れ去った親がカナダに戻ってきた場合逮捕されることもあるので、結婚前に別居や離婚した際の知識を身に付けておくことは重要であると考えています。

 

6.最後に読者の方に一言お願いします

国際結婚をして子どもを授かって、そのあと破局したときに初めて国際結婚の問題に気付く方も多いのが現状です。

日本人だけではなく、カナダで国際結婚をした方の中には「生まれた国に戻りたいのに、子どもと一緒には戻れない」という方も実際いらっしゃいます。

私はDV日本語ホットラインが始まる前から、長くこの仕事をしているので、何かお手伝いできることがきっとあると思います。

また、私が今まで担当させていただいた方の中には10年以上何らかのかたちでお付き合いのある方もいます。DVなどで現在悩んでいる方は、迷わずホットラインを利用いただければと思います。

DV日本語ホットライン:604-209-1808
月~金曜日午前9時~午後5時、祝祭日を除く

【在バンクーバー日本国領事館のDVホットラインに関するページ(日本語)】
【YWCA Japanese Outreach Program(英語)】

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