パーティシーズンの食べ過ぎ時の味方!? 話題のヘルシー飲料コンブチャ(紅茶キノコ)

   
  

「坂本由美の暮らしに役立つホリスティック栄養学」第2回
文・写真/坂本由美

西海岸バンクーバーは、カナダの中でも特にヘルシー志向な街だと言われています。ヨガ人口も多く、公園、街中でも多くの人がジョギングしているのが日常の光景です。

食に関しても例外ではありません。ヘルスフードの店、サプリメント専門店、ベジタリアンやビーガンのレストラン、ジュース・バーなど、ぶらぶらと歩いているだけでもヘルシーを見つける事が出来ます。

そして普通のスーパーでも。ジャーン!売られています。コンブチャ。

このセクションは全てコンブチャ。(奥も鏡ではありません!笑)もの凄い数、種類のコンブチャですねー。
売れるから陳列されているのだと思うのですが、どうしてこんなに人気があるのでしょうか?

日本でもダイエット、美容に良いと評判になっており、最近はコンブチャ・バーも何軒かオープンしている程の人気です。

今回はもう少し詳しく、この人気のコンブチャについて触れてみたいと思います。

コンブチャって?

コンブチャの始まりは紀元前の中国で、その当時の皇帝が”不死の茶”として愛飲されていたと言われています。 その後モンゴル、ロシアに渡り、初めて記録として残されていたのは19世紀になってからだそうです。日本でも1960年代にブームになっています。ちなみにわたしが主催している発酵クラスの生徒さんの中にも、そのブームの時に初めてコンブチャを飲んだと仰る方がおられました。 

コンブチャという名前を聞くと、日本の昆布茶だと思う人も少なくありませんが、コンブチャの由来は白樺の木に生息するキノコと関係しているのという説があり、昆布とは関係のない飲物です。

コンブチャドリンクのもと、スコビー

ドリンクを作るには、まずスコビーと呼ばれる株が必要になります。 
それは色々な菌(微生物)と酵母菌(イースト菌)が多糖類で固まり形成された物質です。
スコビーのエサになる砂糖とお茶に含まれているカフェイン、そして空気を必要とし、その条件下で10日~2週間発酵させる事により、その副産物であるコンブチャドリンクが出来上がります。 
砂糖を使う事に抵抗を感じる人も少なくありませんが、砂糖はわたし達の為ではなく、スコビーのエサになりますので、飲み頃に発酵している時点では、糖分は殆ど残っていません。ただし、お茶のカフェイン成分は残ります。

下の写真は我家の大きく育ったスコビーです。ちょっとグロテスクに見えますが、実は女性に人気のナタデココも、このコンブチャと同じような過程で作られ、似た成分で出来ているんですよ。また、このスコビーの色は使うお茶の種類によって薄くなったり、濃くなったりします。 

自家製のしっかり発酵したコンブチャは、酢酸を多く含む為、店頭で売られている甘みやフレーバーを足して加工したものに比べて、かなり酸っぱいドリンクになります。コンブチャの酸によって、歯のエナメルが弱ってしまう可能性もあるので、特に単独で飲んだ後にはうがいをするのが良いかも知れません。

コンブチャの成分や効能

次はちょっと気になるコンブチャの成分や効能についてです。 

コンブチャには脳の働きを助け、酸化を防ぐ、ビタミンB群が豊富に含まれています。グルコン酸という、肝臓や腎臓の排毒を促してくれる物質も豊富で、デトックス効果があると言われているのはその働きが大きく影響していると言えます。
そして酵素、乳酸菌、酢酸菌などの菌の力によって、食べ物の消化を助け、腸内環境を整えるサポートをしてくれます。 酢酸菌はお酢に含まれている酸味を作りだす菌のひとつですが、強い殺菌効果、脂肪の蓄積を阻止する力もあり、肝臓の機能を高めてくれる物質でもあります。 
そんな色々な働きで、下のような効果もあると言われています。

●エネルギーの向上
●便秘の改善、
●血液をアルカリにしてくれる
●血圧、血糖値、コレストロールの改善
●免疫力アップ

“コンブチャ=痩せる”と、飛びつく人も少なくないのですが、どちらかと言えば内臓の働きが向上した事により、便秘が和らいだ、肌がきれいになった、などの効果が期待できると考えた方が良いかもしれません。

初めて飲む方は1日1/4カップ程を目安に、徐々に様子を見ながら飲む回数を増やすのがベストです。
胃腸の弱い方は、食事と一緒か食後に飲むと消化、吸収の働きを促してくれます。コンブチャドリンクはたくさんの量を一度に飲んでも効果は倍増しません。なので、市販のドリンクも何度かに分けて飲まれる事をお勧めします。 

その他にもスコビーのエサになるお茶も一緒に発酵されるので、抗酸化作用のあるポリフェノールなどが体内に吸収し易くなります。コンブチャに含まれるコハク酸の働きは、癌細胞の広がりを抑える効果があるという研究報告も出ています。

色々な素晴らしい効果を期待出来そうなコンブチャですが、飲む人の体調や体質などによっても違いますので、万人向けではない事も頭に入れておきましょう。 

市販のコンブチャはどう違う?

お店やネットで買えるコンブチャは、どれも同じではありません。
市販のコンブチャには、熱処理したタイプと生のタイプがあります。

悪い菌の発生を防ぐために熱処理されたタイプは、熱処理と同時に酵素や沢山の良い菌(乳酸菌=プロバイオティックスなど)も死んでしまいます。(処理温度にもよる)それでも色々と身体に良い物質は残っていますし、殆どの市販のコンブチャは他の飲料、からだに良いエキス等とブレンドしたものが多いようです。

一方、生タイプのコンブチャは熱処理、殺菌をしていない為、全ての菌が生きたままボトルに入っています。
その為に多少のアルコールも発生しています。このタイプのボトルには底の方に沈殿物が溜まっていて、それがスコビーの原型になります。 
先ほどの写真のスコビーは、もともと沈殿物から作りました。お茶と砂糖を与える事により、市販の生のコンブチャドリンクからスコビーを作る事も可能になります。

コンブチャドリンクの含有量も商品によって違います。ジュース、砂糖や添加物を含んている物もありますので、ラベルの名前だけで飛びつかずに、原材料を確認してから買う事をお勧めします。

自分でスコビーを育てる場合は、出来上がったコンブチャドリンクに好みのハーブや生ジュースなどを混ぜて、オリジナルの美味しい健康ドリンクを作る事ができますし、何よりも経済的です。
ただ、菌を扱う事になりますので、衛生上の管理やカビなどのリスクも伴います。忙しい方や世話をする手間を省きたい方は、やはり市販のコンブチャを買うのがベストかも知れません。

他の健康食品と同様に、コンブチャも短期間で効果を期待するのは難しいかも知れませんが、症状によっては即効性もある様です。
これからのパーティシーズンで、ついつい食べ過ぎたり、飲み過ぎてしまった時に試してみるのもアリですね!

坂本由美ホリスティック栄養士

SakamotoYumi

京都市出身。 カナダ、バンクーバー在住のホリスティック栄養士。 食生活だけではなく、ライフスタイル全体を捉えたアプローチをモットーにした講座やワークショップ、健康コンソリテーション、地元コミュニティのヘルシーランチメニューづくり、コラム執筆などで活動中。  腸の健康にフォーカスした「発酵食と腸の健康シリーズ」講座では、調理デモストレーションを交えて、昔ながらの知恵である発酵食の利点や第二の脳と言われる臓器の腸について、栄養学をもとにした知識を伝えている。その他にもホリスティック栄養学講座、西洋と東洋の料理のスキルを生かした無添加調味料や保存食の作り方講座も実施。 講座スケジュールやその他詳細はアメブロ「sustainablefeast」とFacebookグループページ「Fermentation & Sustainable Cooking Club」にて。 【カナディアン・スクール・オブ・ナチュラルニュートリション卒業/ホリスティック栄養士資格(R.H.N. )/植物由来食材専門シェフ資格/ローフードシェフ資格/マクロビオティックライフアドバイザー】

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