フレンドリーな本格派「ネメシス・コーヒー」

   
  

「石川まりこのとっておきバンクーバー」第3回
文・写真/石川まりこ

ギャスタウンの南、ビクトリースクエアの横にあるサイモンフレーザー大学ダウンタウン・キャンパスの1階に、ちょっと目を引くカフェ、ネメシス・コーヒーがオープンしたのは2017年のバレンタインデー。シンボルマークのハートが逆さなのは皮肉ではなく、「ロゴを決めるのにぐるぐる回してたら、逆のほうがシンプルで目を引くと思ったので」と、共同経営者のコール・トレパニエ Cole Trepanier が笑顔で説明してくれました。

ブリティッシュコロンビア州の木を使ったナチュラルな印象の内装に、シンプルで機能的な北欧スタイルのテーブルやイスが並びます。日当たりのいい南東の窓席は暖かくて居心地が良く、一度座ったらつい長居してしまいそう。42坪の店舗にイートインスペースは約40席。暑がりの人には、外のテラスが真夏でも涼しくて快適です。

ネメシスとは、人間が神に無礼を働くと神罰を下すというギリシア神話の女神の名。でも、経営発起人のジェス・レノ Jess Reno は、子供の頃よく遊んだゲームボーイのネメシス(日本名:グラディウス)からつけたと笑います。共同経営者の7人は全員同じゲーム世代。1987年にスターバックスがカナダに進出して以降、コーヒー文化が大きく花開いた1990年代のバンクーバーで育ちました。

コーヒー豆にはとことんこだわり、ベルリンのファイブ・エレファント Five Elephant やオスロのテイラー&ヨルゲン Talor & Jørgen、トロントのパイロット・コーヒー・ロースターズ Pilot Coffee Roasters などから、世界で最も上質な焙煎豆を仕入れています。カウンターには、最新のエスプレッソマシンやコーヒーグラインダー、ハリオのコーヒードリッパーV60 など、コーヒー通には知られた高級機がずらりと並びます。

ジェスの一押し、ナッツバタートースト Nut Butter Toast(CA$6.50)は、天然酵母パンもブラックベリージャムも、ヘーゼルナッツとアーモンドとクルミで作ったナッツバターも100%自家製。

ガラスケースに並ぶペーストリーもすべてキッチンで焼いています。地元でとれた旬の食材をできる限り使い、自分たちで作れなければメニューに入れないアイテムも。濃厚なアイスクリームに苦味の強いエスプレッソをかけるデザート、アフォガートをメニューに加えるためバニラアイスを手作りし始めたら、満足な味になかなか至らず、結局あきらめてしまったとか。

上質であることにこだわり抜いたカフェなのに、バリスタもキッチンスタッフもにこやかでフレンドリー。気取ったところは全然なく、常連も初めてのお客様も区別なく歓迎してくれます。それはコーヒー文化を通じて、コミュニティーが広がることを大切にしたいとの思いがあるから。続けて通って、ちょっと常連になってみたいカフェが、またひとつ増えました。

石川まりこトラベルライター・ツアープランナー・ツアーガイド

石川 まりこ

11歳でひとり旅を始めて、中学・高校時代は日本全国を鉄道でめぐる。19歳で初めてアメリカに行き世界の広さを実感。23歳で中国を3ヶ月旅して、多様な文化を体感。その後、海外旅行添乗員として約50か国をご案内。現在はツアープランナー、ツアーガイド、トラベルライターとして、カナダ専門旅行会社 ARA Professional Travel & Support Inc. に勤務。ツイッターフリッカーでカナダの現地情報を発信中。

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