《 ネメシス・コーヒー 》フレンドリーな本格派

   
  

「石川まりこのとっておきバンクーバー」
文・写真/石川まりこ

2021年2月27日更新

ギャスタウン Gastown の南、ビクトリースクエア Victory Square の南西の角に、ちょっと目を引くカフェ、ネメシス・コーヒーがオープンしたのは2017年。「ロゴを決めるのにハートを回してたら、逆さがシンプルで良くて」と、共同経営者のひとり、コール・トレパニエ Cole Trepanier が笑顔で説明してくれました。

地元ブリティッシュコロンビア州の木を使ったナチュラルな印象の内装に、北欧スタイルのテーブルやイスが並びます。日当たりのいい窓席は冬暖かくて居心地が良く、一度座ったら長居してしまいそう。イートインスペースは約40席。暑がりの人には、外のテラスが真夏でも涼しくて快適です。

店名のネメシスは、子供の頃よく遊んだゲームボーイのネメシス(日本名:グラディウス)からつけたと経営発起人のジェス・レノ Jess Reno は笑います。共同経営者の7人は全員同じゲーム世代。1987年にスターバックスがカナダに進出して以降、コーヒー文化が大きく花開いた1990年代のバンクーバーで育ちました。

コーヒー豆にはとことんこだわり、ベルリンのファイブ・エレファント Five Elephant やオスロのテイラー&ヨルゲン Talor & Jørgen、トロントのパイロット・コーヒー・ロースターズ Pilot Coffee Roasters などから、世界で最も上質な焙煎豆を仕入れています。

カウンターには、最新のエスプレッソマシンやコーヒーグラインダー、ハリオのコーヒードリッパーV60 など、コーヒー通には知られた高級機がずらりと並びます。

ジェスの一押し、ナッツバタートースト Nut Butter Toast は、天然酵母パンもブラックベリージャムも、ヘーゼルナッツ+アーモンド+クルミで作ったナッツバターも100%自家製。

ガラスケースに並ぶペーストリーもすべてキッチンで焼いています。地元でとれた旬の食材をできる限り使い、自分たちで作れなければメニューに入れないアイテムもあります。

濃厚なアイスクリームに苦味の強いエスプレッソをかけるデザート、アフォガートをメニューに加えたくてバニラアイスを作り始めたら、満足な味になかなか至らず、結局あきらめてしまったとか。

上質であることにこだわり抜いたカフェなのに、スタッフに気取ったところは全然なく、初めてのお客様も歓迎してくれます。それはコーヒー文化を通じて、コミュニティーが広がることを大切にしたいとの思いがあるから。続けて通って常連になってみたいカフェが、またひとつ増えました。

ネメシス・コーヒー
Nemesis Coffee Gastown
ギャスタウン店
住所:302 West Hastings Street, Vancouver, BC V6B 2N4

石川まりこトラベルライター・ツアープランナー・ツアーガイド

石川 まりこ

11歳でひとり旅を始めて、中学・高校時代は日本全国を鉄道でめぐる。19歳で初めてアメリカに行き世界の広さを実感。23歳で中国を3ヶ月旅して、多様な文化を体感。その後、海外旅行添乗員として約50か国をご案内。現在はツアープランナー、ツアーガイド、トラベルライターとして、カナダ専門旅行会社 ARA Professional Travel & Support Inc. に勤務。ツイッターフリッカーでカナダの現地情報を発信中。

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