やる気満々!でも腰が重い…あなたの心の「光と影」とは? (前編)

   
  

文/サニー・チャン

「こんなにやる気はあるのに、なんで行動できないんだろう….」ということは誰でも経験したことがあると思います。

これを車に当てはめて説明すると、アクセルとブレーキが同時に踏んでいる状態!アクセルとブレーキは同時に踏めば、車は思うように動いてくれないどころか、色々なところがどんどん故障してきますよね。

心理学的にこういう状態を「フリーズ(凍結)」といい、ストレスになっている出来事があっても、そこから動かずに現状維持を保つことで、自分を守ろうとしています。

動物界を見ていればわかるのですが、生命の危機を感じると、逃げるか死んだふり(フリーズ)をして身を守ろうとしていますよね。

人間も動物なので、同じような行動を取り、ストレスから逃げられないとすれば、フリーズして自分を守ろうとします。

ですが、動物に狙われる危機もなく、家の中で安全に生活ができるようになった現代の私たちにとっては、この守り方は全く効果的ではありません。

これをもう少しわかりやすく説明してみますね。

まず、心の中にコップがあることを想像してみてください。

ストレスを感じると、心の中のコップに少しずつ冷たいお水が溜まり始めます。

心は自分が対応できないストレスを、冷凍し固めて感じないようにします。ですが、そのフリーズ状態が長く続くと、今度は体がそれを溶かそうと、心や体の不調として外側に出てきます。

その解凍期間中は、温度調節に試行錯誤してしまうので、恋愛、仕事、勉強、人間関係などでうまくいかなることがよくあります。

また、一見行動しているかのように思えても、なかなか結果が出ないような状態が続いている場合もフリーズしている可能性があります。例えば、住む場所や仕事を変えても、同じようなことがいつも起こるというのも、フリーズしている場合によく起こることです。

「やる気」だけで足りない理由はここ!

私たちはたとえ動物であっても、とても知能の高い動物。

では、なぜ「〇〇したい」という「やる気」だけで自分を動かせないのでしょうか?

それは、私たちが動物というよりは、それを超え自然の一部であるが故かもしれません。

自然を見れば分かるのですが、光と影というように、相反するものが存在していますよね。

人間もそうで、私たちの中にも「光」と「影」が共存しています。

これらはポジティブとネガティブというものではなく、例えば、見えている部分の「やる気のある自分」をあなたの意識の部分である「光」、隠れている部分の「行動できない自分」を無意識の部分である「影」だとして捉えてみてください。

影のゴールというのは、「〇〇したい!」という頭の中で考えていることではなく、「どうすればサバイバルできるのか」を体を使って考え表現しようとしています。

光も影はそれぞれのゴールに向かって行動を起こそうとしています。そして、意識と無意識のモチベーションが相反すると、どちらかの「モチベーション」の高い方が勝ってしまいます。

サバイバル意識の高い人ほど、ストレス(危機感)を感じた場合は、フリーズ状態を起こす可能性があるのですが、フリーズしているという認識はなく、「やりたいことが見つかっていない」あるいは「まだ力を出し切れていない」という感じの焦りとして頭で認識しているかもしれません。

反対に、もし光の方が10%影のモチベーションよりも勝っていたら、その分だけ前に進むことができます。光の力を使って前に進めるかどうかは、あなたの気持ちの持ち方と本気度にかかってきます。

大人やる気スイッチ vs. コドモサバイバル・スイッチ

私たちは5歳くらいまで、人の助けなしでは生きていけない幼い自分が、どうすればサバイバルできるのかを一生懸命考えています。そして、その幼いときの考え方や見方が、世の中を見るメガネになり、そのメガネフレームからのみ外の世界を見るようになります。

ですが、それらはあくまでも5歳に見つけたメガネ。大人のあなたには小さすぎます。もし、あなたが子供のときにかけていたメガネフレームのまま外の世界を見ていると、とても狭い視野でしか物事を考えられなくなります。

メガネのレンズやフレームを大人用にアップデートする機会がないままでいると、無意識での子供のときのサバイバルスイッチが入りやすくなてしまい、大人の社会でストレスに対応できなくなり、フリーズを起こしてしまいます。そうすると、アダルトチルドレンとなり、ストレスを感じないように、たった一枚向こうの壁の世界を見ないようにして子供の世界にとどまってしまいます。

人によって、この「コドモサバイバル・スイッチ」の入り方は違います。もし、自分のそんなスイッチがあったことに気づければ、「コドモサバイバル・スイッチ」、「大人やる気スイッチ」どちらを自分で押すかを選択できる余裕が少し生まれて、フリーズした氷を少しずつ溶かせるかもしれませんね。

次回のコラムでは、あなたのやる気にブレーキをかけている5つの「コドモサバイバル・スイッチ」の正体についてお話しさせていただきますね。

Until then, go play!

サニー・チャンカナダ公認サイコセラピスト/カナダ・ブリティッシュコロンビア州公認臨床心理カウンセラー

サニー・チャン

大阪府出身。カナダ公認サイコセラピスト、BC州公認臨床心理カウンセラー。 米国ワシントン州シアトル大学で心理学の学士号を取得。シアトルシティー大学院で経営学修士(MBA)取‬得。バンクーバーのアドラー大学院で心理カウンセリング修士課程(MCP)修了。過去10年間アメリカの企業や UBC で人事兼トレーニングマネージャーとして各部署のコミュニケーションを含め、色々‬な人間関係や仕事上での問題解決方法をコーチング。 現在は、心理カウンセリングを通し、人生をリセットするためにどんな「気づき」が今必要なのかを分かりやすく伝えている。 カウンセリングの予約はWebサイトから受付中。

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