バンクーバー⇔シアトルに新幹線?!BC州も本格参加で高速鉄道計画が前進

   
  

去年の2月にお伝えしたバンクーバー⇔シアトル⇔ポートランド間を結ぶ高速鉄道計画の件、皆様覚えていますでしょうか。

ワシントン州の州知事ジェイ・インスレー(Jay Inslee)氏が、昨年シアトル・ポートランド・バンクーバー間を結ぶ高速鉄道の可能性を探る調査に初めて動きだしたのですが、このプロジェクトにいよいよBC州が参加する模様です。


photo from Vancouver Sun/ DERRICK PENNER

先週バンクーバー市内にて、BC州知事ジョン・ホーガン(John Horgan)氏とワシントン州知事ジェイ・インスレー氏との合同記者会見が行われ、この高速鉄道の計画のさらなる調査のために、BC州が30万カナダドル(日本円で2500万ほど)を援助することが発表されました。

BC州も動き出した今回の調査プロジェクト

The Parliament

これまでワシントン州はバンクーバー⇔シアトル⇔ポートランド間の高速鉄道計画について、開発や運営コストによる経費、駅の場所、技術の選択肢、環境への影響などの実現可能性について調査してきましたが、今後次のステップの調査として、この高速鉄道により利益を得る産業の調査などビジネス面でのケーススタディ研究を行う予定です。

このさらなる調査費用として、すでにワシントン州が120万米ドル(日本円で1億2000万ほど)を計上している調査費用に、BC州が30万カナダドルを追加として援助します。またこれに加え、ポートランドのあるワシントン州のお隣、オレゴン州も調査協力すると今回の会見で発表されました。これで北米西部の3州が本格的に協力して高速鉄道の実現化に向けて動くことになります。

建設費用と最新技術


↑バンクーバーからシアトルまで車で3時間20分、ポートランドまでは5時間20分の距離

ワシントン州がこれまでに実施した調査によると、このバンクーバー⇔シアトル⇔ポートランド間の高速鉄道の建設にかかる費用は、どういった技術を採用するか、どのルートを採るかにより大幅に変わるそうですが、最低でも240億米ドル(日本円で2兆5千億ほど)、最大で420億米ドル(日本円で4兆4千億円ほど)と見積もられています。また2033年の開業時には、年間210万人の乗客数が見込まれています。


photo from VICHYPER via Facebook

またこれまでの調査で検討された高速鉄道技術は、以下の3つの技術です。

通常の高速鉄道

日本の新幹線と同種の技術。現在の技術として時速350Kmの速さを見込まれています。

磁気浮上鉄道

いわゆるリニアモーターカーで、時速430kmから最大になると時速600Kmになります。

ハイパーループ

アメリカの実業家のイーロン・マスクが構想を発表した真空チューブを利用した次世代交通システム。2016年にカリフォルニア州のにテスト路線が建設されました。最高時速は1200kmと言われています。

最北のターミナル、バンクーバーの駅は?


photo from Thibodeau Architecture Design /Latreille – Delage

昨年の調査によると、この高速鉄道が実現すれば、バンクーバーからシアトルまで時速400キロ、約1時間でつなぐことが可能になります。バンクーバー・シアトル間には7つの駅ができ、1日12往復運行することが可能で、高速鉄道の車両は500人分の席数が確保できる規模。
また路線最北となるバンクーバーのターミナル駅の候補としては、ダウンタウンに最も近いパシフィックセントラル駅、バンクーバー国際空港、サレーのキング・ジョージ駅が候補として挙げられています。

経済効果は?

ワシントン州に本社を置くマイクロソフトも参加した経済効果についての調査では、この高速鉄道の実施で生み出される経済効果は、年間の新しい雇用数が157,200〜201,200労働所得が2億4千米ドルから3億1千600万米ドル(日本円で253億8千万〜331億5千万ほど)、事業生産高は6億2千米ドル〜8億2千700万米ドル(日本円で651億5千万〜867億6千万ほど)と見込まれています。

カリフォルニア高速鉄道の先例で懸念も


Image from AP Photo/California High-Speed Rail Authority
↑現在進行中のロサンゼルス⇔サンフランシスコ間を結ぶカリフォルニア高速鉄道のイメージ絵

こうした調査結果により、この高速鉄道計画の展望を明るく捉えるワシントン州は、BC州とオレゴン州の協力を得て、実現に向けさらなる調査に動きます。

しかし、先んじて高速鉄道実施に着手しているロサンゼルス⇔サンフランシスコ間のカリフォルニア高速鉄道計画では、2年前まで130億米ドル(日本円で1兆4千億ほど)と見込んでいた費用が、773億米ドルル(日本円で8兆1千億ほど)に膨んでいる上、当初は2011年内の建設開始が見込まれていたものの、計画が大幅に遅延していることから、このバンクーバー⇔シアトル⇔ポートランド間の高速鉄道計画についても、ワシントン州知事の楽観視を懸念する声もあります。

とはいえ、バンクーバーに住む私達にとって、シアトルやポートランドなどの主要都市を結ぶ高速鉄道が実現することは、経済的にも生活的にも様々なメリットが見込めると思われます。実現に向けての各州の今後の動きに注目していきたいですね。

参考:Vancouver Sun “Horgan puts up $300,000 to keep concept of Vancouver-Seattle-Portland high-speed rail alive”Daily Hive “BC and Washington State announce joint study for Vancouver-Seattle high speed rail”

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