バンクーバーのこの「ヒト」に注目!第19回、メイクアップアーティストMikaさん・Mayukoさん

   
  

大盛況のうちに幕を閉じたバンクーバーファッションウィーク2016 SS。
LifeVancouverでも日本から参加しているデザイナーたちを紹介しました。

今回はVFWの裏側でも活躍していたメイクアップアーティストさん達にお話を伺いました!

あまり聞くことのないバンクーバーのビューティー業界の話をたくさんお聞きしましたよ。

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フリーランスのメイクアップアーティストとして活躍されてもいるMikaさん(写真右)はビクトリアでメイクアップアーティストやファッションスタイリストをされていましたが、現在はバンクーバーでフリーランスとして活躍されています。

そしてブランチ・マクドナルドの在校生、Mayukoさん(写真左)
Mayukoさんは学校からのボランティアとしてVFWにメイクとして参加されました。VFW以外にもショーやブライダル、アパレルのコレクションの撮影メイクなどもされています。

最初にバンクーバーに来た経緯を教えてください

Mika:私は最初ビクトリアのThe Bayのスキンケアカウンターで働いていました。その後MAC Cosmeticsのカウンターで働くようになってからメイクについて勉強し始めました。でもビクトリアは小さい街なのでメイク・ファッション業界のマーケットが無いのが現状です。
私のようにメイクやファッション・モデルなどに興味がある人はみんなどこかに出て行きます。少しでも活躍できる場所があるようにと思ってバンクーバーに移ってきました。

Mayuko: 私はもともとNYでメイクの勉強がしたかったんですが、現地で見学までしたんですけどあまりピンとくる学校がなくて。
その後に旅行で立ち寄ったバンクーバーでブランチ・マクドナルドの名前を聞いていたので見学したらすごく良くて。NYの学校では施設もあんまり・・・だったんですが、さらに留学生に厳しくてビザを取るにも弁護士を雇えと学校から言われました。
ブランチでは留学生へのサポートが充実していて安心してメイクの勉強に取り組めると思ったんです。
それで見学に行った日に即日申込をしてバンクーバーに学生として滞在しています。

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MayukoさんがVFWで担当したメイクのうちの1つ。デザイナーAmberNifongのショーから。

お2人は今回VFWですでにお知り合いなんですよね?参加されていかがでしたか?

Mika:私はすでに4シーズン、VFWにメイクアップアーティストとして参加していて、今回初めてサードキーという上からの指示を当日のメイクチームにつなげるポジションにつきました。もとは友達がVFWコーディネイターで、参加したいと伝えたらメイクのボランティアで参加するべきよ!と言われスタートしました。それから頑張ってやっと前回から色々任せてもらえるようになりました。

Mayuko: ブランチ・マクドナルドからは毎回多くの学生がボランティアとして参加しています。
学校で練習するときはほとんど撮影ですし、講師の方は時間を十分にくれるので余裕があります。
でもファッションショーでは常に時間に追われていて、よりプロフェッショナルに近い環境でメイクができる貴重な経験でした。

Photography: Kuna Lu | www.kunaphotography.com   Facebook: www.facebook.com/kunaphotographygroup

Photography: Kuna Lu | www.kunaphotography.com Facebook: www.facebook.com/kunaphotographygroup

こちらはMikaさんが担当したルック。デザイナーはConnally Macdougall

お二人はなぜメイクアップアーティストを目指したんですか?

Mika: 私はMAC Cosmeticsのカウンターで働き始めてそこでメイクアップアーティストとして必要な知識を勉強しました。それからメイクの仕事が楽しいと思うようになりました。
まだ始めて数年なので色々冒険しています。MAC以外のコスメカウンターで働いたり、ジュエリーの販売員として働いたり、また香水も大好きなのでパフューマーになるために学校へ行くことも考えていました。
でも一番真剣にメイクアップアーティストの道を考え始めたのはVFWでボランティアを始めてからですね。

Mayuko: 私は高校性のときからずっとメイクアップアップアーティストに興味があったんです。
モード系の雑誌が大好きで憧れていたんですが親がその道に進むのを許してくれなくて・・・大学を卒業するまでは自由はありませんと言われて。それで先に大学へ行って栄養士の資格を取ったっんです。
それから一年働いてお金を貯めて、最初は全く英語が喋れなかったので語学留学から始めて。
長い道のりでしたが今やっと好きな事が出来ています。
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Couturist Winter/Holiday 2015 Campaign photos
photographer: Jamie Mann Models: Snow (Ply Management) & Manuela (Key Models)

Mayukoさんの作品の1つ。

バンクーバーでファッションの分野でのメイクアップのお仕事はどのくらい需要があるんでしょうか?

Mayuko: バンクーバーでファッションの需要はほぼ無いと思います。
ブライダルと映画の撮影が断然多いです。ファッション系だとコスメカウンターで働くのが基本ですね。本当はVogueみたいなモード系の雑誌の仕事がしたいんですけど・・・。

Mika: 私は元々ビクトリアで仕事をしていたんですけど、ビクトリアでは本当に需要がなくて。
バンクーバーに来たらまだ良い方ですが、ファッション分野で大きな仕事となるとやっぱりなかなか見つかりませんね。だからこそVFWに参加することはとっても価値のあることだと思います。
ただファッションにおけるクリエイティブな仕事をサポートする面は整っていないと思います。Mayukoが言ったようにブライダルと映画の撮影の方がお給料は良いし、安定していると思います。

Mikaさんはファッションスタイリストをされていたことがあるんですよね?メイク以外にもたくさんの経験があるとお伺いしましたが、具体的にはどんなことをされているんですか?

Mika: 実は今3つの違う仕事をしています。その中でもメイクアップは私が一番好きな仕事です。
フリーランスのメイクアップアーティストして活動もしていますし、AnthropologyというアパレルブランドとLUSHのウェアハウスでも働いています。
洋服のスタイリングもします。メイクアップの作品撮りをする時も、スタイリングしたり、監督したりとメイクだけではなく写真以外の全てをチェックします。


バンクーバーファッションウィークが公開している動画でMikaさんがメイクとして登場。

バンクーバーでファッション・ビューティ関係の仕事を掴む秘訣はありますか?

Mika:コネクションを作ることです。
その点ではVFWはローカルのセレブリティーやメイクやファッションのプロフェッショナルな人たちに近づくとても良い機会なんです。少し勇気がいることかもしれませんが、やっぱり自分から売り込むしかないんです。
でも恥ずかしがらないで大丈夫。そういう人たちは注目を集めるのが大好きなので気にしません。むしろ喜んで話を聞いてくれる人もいるのできちんと思いを伝えること。
そして1〜2回彼らのために無償で働くこと。良い結果が残せれば彼らの仲間内で話題になり次回はギャラありで、という話ももらえたりします。

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こちらもMikaさんの作品

Q: カナダでメイクアップアーティストになるにはどういう方法がありますか?日本でメイクとして独り立ちをしようと思ったら、専門学校へ行き、コスメブランドのカウンターで働く、アーティストならアシスタントを経て独立という形が一般的ですが、どう思いますか?

Mika: 面白いですね。私はすべての工程をスキップしてきたので(笑)私の経験から話すと随分違うともいます。
まずコスメティックカウンターでは常に人手を探しています。専門的な勉強をしていなくても、独学で研究したり様々なメイクができればさらに強みになります。
メイクが好きだという情熱を持って仕事に就けば、ブランド側が様々なトレーニングをしてくれます。私はほとんどの知識をそのトレーニングで得ました。
知識もスキルもあれば、働いてるブランドからスポンサーをしているショーなどへ行ってメイクをしないかと誘われる場合もあります。
デモワークというんですが、それ自体も良い機会ですしそこからまた繋がりができる可能性もあります。
バンクーバーで家賃を払えるフルタイムの仕事と、アーティストの仕事両方ができるのはメイクアップカウンターから始めるのは良いアイデアだと思います。そうすると長期間のアシスタントをしなくても良いですしね。
ただカウンターで働く以上は商品を売らなければならないのでそこで合う・合わないがあるのは人それぞれなのでしょうがないですね。私は販売員としてのキャリアもあるので向いていました。

#vfwbeauty #vfwselfie #vfwmakeup #ohmyvfw #vfwss16

Mika Ishizakiさん(@mi_ishi)が投稿した写真 –


MikaさんのインスタグラムにはVFWの舞台裏がチラリ

メイクをするときに気をつけていることはなんですか?

Mayuko: モデルさんに心地よくメイクの時間を過ごしてもらえるように気をつけています。つたない英語でも頑張ってコミュニケーションをとって信頼してもらえるようにしています。
やっぱり顔に直接触れるので、不快に思われたり、このメイク大丈夫かな〜と思われると何度も鏡でチェックされてここ直して!とか言われる事が多いので気をつけますね。だからプライベートのときの自分とメイクをしているときの自分は全然違います。
出会ってから短時間でどこまでモデルさんと信頼関係が作れるかが勝負だと思っています。

Mika: コスメカウンターで働いていたときには2つの事に気をつけていました。1つはお客さんが心地良くいられること。2つ目はどんなに商品を売りたくても線を超えてやりすぎないこと。
私はどんな人の中にも素晴らしい美しさがあると思っています。自分の外見に自信がない人や今まで一度も人生の中で化粧をしたことがない人にも私はタッチアップしてきました。
だからお客さんにメイクをする時は鏡を見て自分の中にある美しさに気づいてもらいたい。もちろんリスペクトの気持ちも忘れてはいけません。
撮影のモデルが相手だと写真の補正が最低限ですむように心掛けます。
それが自分の中でできる一番いいクオリティの仕事でなければならないし、モデルも自分の気に入らない部分は変えたいと思っていることがありますから。もし撮影した後に写真の補正で違うようなメイクに修正されていたらそれは自分の仕事が十分でなかったということです
ショーだとモデルには決定権がないことを教えなければいけない時もあります。エッジーで目を引く面白いメイクの時もありますが、それはデザイナーやアーティストの意向であって、モデルたちはショーのピースの一つでなければいけないんです。時々モデル側から変更して欲しいと言われる時がありますが、責任を持ってこれがベストだと言いきかせなければなりません。


メイク中のMayukoさん

では最後に1つ。これからどんなメイクアップアーティストとして活躍していきたいですか?

Mayuko: 世界で活躍できるメイクアップアーティストになりたいです。でもやっぱり最終的にはNYに行きたいですね。その前にアーティストとしてトロントにも行ってみたいです。
卒業するタイミングでトロントとアメリカのエージェント両方にブックやレジュメを送ろうと思っています。
どちらにもまだコネクションはないですが、以前メイクの学校を探していた時に何人か海外のアーティストさんに連絡して返事なんて来ないと思っていたんですけど何人かの方は丁寧に返信をくださって。
厳しい業界だと思っていたんですけど、ちゃんと見てくれるところもあると思うので頑張ります!

Mika: 自分の中でのキャリアのゴールはいくつかあるんですが、メイクアップアーティストを続けていつかエージェントか出版社を持ちたいです
そしてバンクーバーにこの業界で頑張っている人にお金を払ってあげられるようなシステムを作りたいです。
バンクーバーは綺麗な街で撮影場所には困りません。東京ファッションウィークほど知名度もないかもしれませんが、とても大きなインターナショナルな都市です。
私は個人的にトロントよりもバンクーバーの方が好きだし素晴らしい街だと思っているのでいつかここで実現できたらいいなと思っています。

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Mayuko Tsuji
奈良県出身。バンクーバーのBlanche Macdonaldでメイクを学んで半年。
今までに関わってきた仕事はlittle black dress gala ファッションショー、ブライダルメイク、Nomad collective 新コレクションの撮影、Darpan magazine carpet gala、ANCA world autism festival、バンクーバーファッションウィークなど。
Mayukoさんのインスタグラム、フェースブックで作品を公開してます。
instagram : smilemyk
Facebook Mayuko Tsuji

Mika Ishizaki
日系カナダ人メイクアップアーティスト。母がカナダ人、父が日本人で幼少期に日本からカナダへ移り住む。
BC州ビクトリアのデパートThe Bayからキャリアをスタートし、MACやCLARINSの販売員を経て独立したアーティストの道へ。バンクーバーへ移ってきてからフリーランスとして活動。
今年秋に行われたバンクーバーファッションウィークではサードキーを務め、ローカルメディアMetro,The provinceなどにもVFWメイク解説を務めた。

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