【少しまじめ】野菜ソムリエが見る食料廃棄事情その2~日本とカナダと世界編~

   
  

皆さん、簡単に食べ物を捨てていませんか?

前回の記事はカナダ・バンクーバーの食料廃棄事情にフォーカスしましたが、今回は日本とカナダで毎年どのくらいの食料が廃棄されているかを調査してみました。

前回の記事はこちら
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1.日本とカナダの食料自給率(カロリーベース)

まず平成25年に日本の農林水産省から発表された食料自給率に関するグラフを見てみましょう。

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photo from http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/

このグラフで見ると、日本の食料自給率は先進国の中で最低水準だと分かります。反対にカナダは先進国の中でも最も高い食料自給率です。

ただこれは、日本の農林水産省が他国の分も計算したものであること、そして野菜などカロリーが低い食物の生産が多い日本で行われたカロリーベースの調査であるための結果ということに注意してください。生産額ベースでは食料自給率68%になるといわれています。

日本は輸入大国といってもよいほど食料を他国に頼らざるを得ない環境になっており、食料の約6割(年間約5,600万トン)を海外に依存しているのが現状です。

 

2. 人口比較

ここで、日本とカナダでどのくらい人口の差があるか見てみましょう。

人口
■ カナダ 34,127,000人 
■ 日本  128,057,352人
(国勢調査:2010年)

日本にはカナダの約3.7倍の人口がいます。ちなみにバンクーバーの人口は2010年の調査で約230万人です。

このことを踏まえて食料廃棄について考えていきましょう。

 

3. 量で見る食料廃棄

日本の食料廃棄量は年間約1,700万トンになります。これは、輸入量(年間約5600万トン)の約1/3を廃棄していることになり、日本人1人当たりに換算すると、毎日おにぎり約1~2個分を食べずに捨てている計算といわれています。

このうち、食品ロス(本来食べられるのに廃棄されているもの)は、年間約500~800万トン含まれると推計されています。この日本の食品ロスがいかに大きいかというと、以下のような例になります。

■ 世界全体の食料援助量(2011年度の統計で400万トン)の約2倍。
■ 日本のコメ生産量(2012年のデータで約850万トン)に匹敵。

 
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photo from http://www.ecozzeria.jp/topics/international/global131021.html

では反対に世界に目を向けてみましょう。

FAOの報告書には、世界食料生産量の1/3にあたる約13億トンの食料が毎年廃棄されているそうです。

「カナダは?」というと、残念ながらカナダ全体の食料廃棄量についての資料がありませんでした。(もしご存知の方がいたら、ぜひ教えて下さい。)その代わりに金額ベースで発表されています。

ちなみに、「LOVE FOOD hate waste.ca」によると、メトロバンクーバーでは年間19万トンの食料が廃棄され、そのうち10万トンが食料ロスにあたるそうです。

 

4. 金額で見る食料廃棄

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ということで、VCM Internationalという会社によって行われた2014年の調査で明らかになったカナダの年間食料廃棄金額は310億ドル(2015年5月14日の為替レートで約3兆円)になったそうです。

これに対して、日本は年間約11兆円になるといわれています。

 

5. 先進国と開発途上国

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日本やカナダなどの先進国では、食料のかなりの割合が消費者の段階で無駄にされているそうです。その反面、開発途上国では消費者の段階の廃棄は極めて少量といわれています。

また、FAOによると飢餓が原因で1日に4~5万人(1年間に1,500万人以上)の人が亡くなっており、そのうち7割以上が子どもたちだそうです。

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photo from http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/

さらに、農林水産省の発表によると、世界の栄養不足人口は8人に1人の割合になるそうです。 
 

6.高まる食料廃棄への関心

ドキュメンタリー映画「もったいない!」 公式HP
photo from http://mottainai-eiga.com/

そんな時代を反映して、前回の記事でご紹介した「Just Eat It」以外にも食料廃棄の真実に迫った映画がつくられています。


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7. 大事なことまとめ

たくさん数字が出てきたので、もう一度簡単におさらいと思います。


人口

■ 日本人口はカナダの約3.7倍。

食料自給率
■ 食料自給率をカロリーベースで見ると、カナダが最高で日本が最低。
■ 日本は食料の約6割(年間約5,600トン)を海外に依存。

食料廃棄量
■ 世界の食料生産量の1/3にあたる約13億トンの食料が毎年廃棄される。
■ 日本の食料廃棄量は年間約1,700万トン。輸入量(年間約5,600万トン)の約1/3を廃棄していることになる。そのうち年間約500~800万トンは食品ロス(まだ食べられるのに捨てられたもの)である。
■ カナダ全体でのデータは不明。メトロバンクーバーでは年間19万トンの食料が廃棄されている。食品ロスはそのうち10万トン。

食料廃棄金額
■ カナダの食料廃棄金額は2014年の調査で年間約3兆円。
■ 日本の食料廃棄金額は年間約11兆円。

先進国と開発途上国
■ カナダ・日本などの先進国では、食料が消費段階で多く無駄にされている。開発途上国では消費段階での廃棄は極めて少量といわれる。
■ 飢餓が原因で1日に4~5万人(1年間に1,500万人以上)の人が亡くなっている。そのうち7割以上が子ども。
■ 世界の栄養不足人口は8人に1人の割合

 

8. 最後に

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photo from http://www.caa.go.jp/adjustments/index_9.html

ということで、皆さんいかがだったでしょうか。ここからはライターのぼく個人の意見を述べさせていただきます。

実は、調査を始める前はカナダより日本の方が圧倒的に食料廃棄量が多いのだと勝手に決め付けていました。それは、ネットでもよく「日本が世界一の食料廃棄国」だといわれていたからです。でも、もしカナダが日本と同じ人口だったとしたら、廃棄金額に大差はないのではないかと思いました。

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また、ぼくは日本とニュージーランドとカナダのスーパーや八百屋で働いていた経験上、日本は「少し野菜が傷んでも捨てるのはもったいなから、もっと安くしよう。」という意識が強くニュージーランドやカナダはポイポイと野菜を捨てる印象がありました。(あくまで個人的な見解です)

ぼくたちは「先進国でのうのうと暮らしている」と言ったら変ですが、開発途上国で生きる人たちに比べて食べ物に恵まれていることは確かです。

でも、お母さんがつくってくれたシチューに入っていた嫌いな野菜はこっそり捨てたり、レストランで食べきれない量を頼んで、残して帰ったり。そんな経験がある人が多いのかもしれません。(ぼくがそうでした)

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この記事を書きながら改めて思ったことは、農場や牧場から始まって消費者に食料が届くまでの全流通過程の中で、今のぼくたちが出来ることって、きっとたくさんあるんじゃないかということ。

例えば、

・栄養がたくさん含まれている野菜や果物の皮を残さず食べる。
・子どもが残すと分かっている食べ物をわざと与えない。
 与え方を工夫する。
・献立を毎週考えて、適正な量の食料だけ購入する。
・レストランで食べ残したものは持って帰る。
・すぐに消費すると分かっているものは、日付の古いものから買う
・野菜や果物など品物の見た目を気にしすぎない

そして何より、食べ物に感謝すること!

日本にお住まいの方も、カナダ・バンクーバーにお住まいの方も、もう一度食べ物のありがたさを考えてみてくださいね。

みんなで素敵なカナダと日本にしていきましょう。
それではまた。


(参考)
http://allabout.co.jp/gm/gc/293643/
http://www.chikyumura.org/environmental/earth_problem/food_crisis.html
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/recycle/syoku_loss/pdf/0902shokurosu.pdf#search=’%E6%97%A5%E6%9C%AC+%E9%A3%9F%E7%B3%A7%E5%BB%83%E6%A3%84′
http://www.lovefoodhatewaste.ca/Pages/default.aspx
http://vcm-international.com/new-report-annual-food-waste-in-canada-is-31-billion/


※内容が間違っている場合は、ご一報いただけると嬉しいです。みなさんの力をお貸しください。


さらば、食料廃棄 捨てない挑戦


世界の食料ムダ捨て事情 (地球の未来を考える)

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