【250の病気治療に関係?】バンクーバーのマリファナ事情とマリファナ、嘘ホント。

   
  

突然ですが日本からバンクーバーに来たという皆さん、バンクーバーで一番驚いたことって何ですか?

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ぼくはマリファナでした。
街の中を歩いていると、時々匂う”あの”香り。ちょうど1年前に田舎からやってきたぼくは、「おっかないところに来てしまった・・・。」なんて思ったものです。でも、実はバンクーバーにいる多くの人が吸った経験があると聞くくらい、マリファナはポピュラーなのでした。

日本でマリファナの無許可所持は最高刑が懲役5年、営利目的の栽培は最高刑が懲役10年の犯罪です。しかしなぜ、バンクーバーではこんなにマリファナが出回っているのか疑問に感じたことはありませんか?

ということで、今回はマリファナについて少し真面目に考えてみました。
 

①そもそもマリファナとは何なのか?

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日本でマリファナは別名を「大麻」「葉っぱ」「ウィード」などと言い、これはアサの花冠や葉を乾燥、または樹脂化、液体化させたものを指します。ちなみに英語では、「Weed」「Marijuana」が一般的な呼び名で、その他に「Pot」「Ganja」とも呼び名もあります。

作用は個人差が大きいようですが、実際に試したことのある人に感想を聞いたところ、体が楽になったり、浮き上がる感じがあり、さらに空腹や喉の渇きを感じたそうです。ちなみにインド大麻は特に作用が強いといわれています。

これだけを聞くと、「マリファナってすごく体に害があるんじゃないか?」と思ってしまいますね。
 

②ホントに体に悪いのか?

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実のところマリファナは他の麻薬と違い、急性中毒や過剰摂取による死亡例の報告がありません。さらに2008年にはイギリスの研究団体「ベックリー財団」が、

「大麻は精神及び身体を含む健康問題で良くない場合があるが、相対的な害では、アルコールやタバコより極めて害が少ない。」

と発表しています。その他の研究でも、マリファナはタバコよりも毒性が少なく、アルコールやタバコ、さらにはコカ・コーラよりも安全なのではないかという研究結果もあります。
 

③医療としてのマリファナって?

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みなさん、マリファナが医療の分野で用いられているのをご存知でしたか?

バンクーバーでは現在、嗜好目的でのマリファナの所持は違法になっているのですが、医療目的の場合、所持や使用は合法となっています。以下の動画では、マリファナに含まれる成分がいかに医療の面で有効かを説明しています。(※英語です)

ちなみにカナダ以外でも多くの国が医療目的のマリファナは合法としています。例えばアメリカでは、2014年7月時点では、23の州で医療マリファナが合法化されており、マリファナを医療的な面で使用しようと考える国が次第に増えてきています。

なぜかというと、マリファナは、うつ病不眠症ぜん息HIVなど、なんと

約250の病気の治療に関係がある

といわれているからで、ガンの治療にも効果があるのではないかと研究が進められています。

また、マリファナは吸引するだけではなく、調理して摂取することもできます。例えばぜん息を患っている小さな子どもには、マリファナの煙を吸引するには刺激が強すぎるということで、マリファナを加えたクッキーやマフィンなどを与えることもあるのです。
 

④急成長している医療マリファナ産業

最近になって、カナダ連邦政府は医療マリファナに関するルールを改定しました。その後、投資家たちが医療マリファナ業界に数千万ドルという資金を投入し、現在最も急成長している市場の一つとして注目を集めています。

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photo from http://www.canadiandesignresource.ca/nature/bc-bud/

まず、ブリティッシュコロンビア州でつくられたマリファナは「BC bud」という名前で半ばブランド化されています。マリファナと一口に言っても、質によって価格も違うので、こうしてブランドづくりが図られているようです。
 

また、カナダ初の医療用マリファナの自動販売機オーナーであるChuck Varabioff氏は、2014年の5月に販売機を設置以来、既に100万ドル以上の利益を上げたと語っています。彼が経営するブリディッシュ・コロンビア・ペイン・ソサイエティ(British Columbia Pain Society)は、すでに400店舗を超えています。

最近ではバンクーバーで医療マリファナを取り扱う専門の診療所(英語でdispensaryといいます。)もどんどん増えてきており、その数は

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なのではないかといわれていますし、嗜好用マリファナが合法の米国のコロラド州では、マリファナの課税収入が約3千万ドル(約34億円)になったという報告もあります。マリファナに関する法律には現在グレーの部分が多いので、多くの企業がその部分を狙って、恩恵を受けているといえるのです。

 

⑤マリファナを所持していたら逮捕?

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バンクーバーの街を歩いていて、誰かがマリファナ所持で捕まっているところを実際に見たことがありますか?実は、バンクーバーの警察はマリファナに対してけっこう寛容です。マリファナを所持しているところを発見した場合や、実際吸っているところ目撃した場合は逮捕するそうですが、ほとんどの警官は、法律を破っていることだけを告げて罰金・放免というケースが多いそうです。クリミナルレコードもつかないので、実質、半合法というかたちに現状なっているようです。

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photo from http://www.gangstersout.com/free_vancouver_420.htm

そのため、毎年4月20日に多くのマリファナ愛好者がロブソンスクエアの美術館の前に集まり、マリファナを一斉に吸う「マリファナの日」も、警察が協力している状態。マリファナは他人に危害を加えるわけでもなく、体にも害があるとはあまりいえないということで、バンクーバーの警察は麻薬密売人やギャング、コカイン、ヘロインなどの中毒性がより強いドラッグの取り締まりを優先しているそうです。

 

⑥「ゲートウェイドラッグ」

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とはいえ、マリファナは「ゲートウェイドラッグ」(他の薬物の使用を誘導するための入り口となるという薬物)と呼ばれているのをご存知ですか?

マリファナから始まることで、ドラッグ全般への抵抗感がなくなったり、もっと強い刺激や快感を求めたり、麻薬や覚せい剤を販売する人たちのコミュニティへのつながりが出来る可能性は十分あります。大麻常用者が、大麻以外の違法薬物を使用する可能性は常人の8倍高いというデータも出ているそうです。
 

⑦マリファナの副作用

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また、未成年の段階で大麻を利用すると特に悪影響が大きく、使用開始年齢が低ければ低いほどその影響は深刻なものになると言われています。副作用には以下のようなものがあるようです。

不安を感じる / 自殺を考える / 肺や呼吸器官の障害を起こす / うつになる
(※先ほど「医療用としてのマリファナは、うつに関係があるかもしれない」と言いましたが、逆に常用することで「うつになりやすくなる」という意見もあります。)

例えば、2014年9月10日にランセット・サイキアトリーから発表された研究報告によると、17歳未満で大麻を常用している者は、薬物を一切使用したことがない同年代に比べて高校を卒業したり、大学で学位を取得したりする可能性が約60%低いとされています。

さらにアイオワ薬科大学の研究では、大麻を長期で頻繁に使う人は計算能力や言葉の表現能力の点で問題があると報告されたそうです。また、約7千人の高校生を調査したアメリカの研究では、大麻常用者は学業不振や家族関係、精神症状の異常がある、と発表されました。そして

日常的な大麻使用者の自殺を試みる可能性は常人の7倍だという報告もあります。
 

⑦最後に

ということで賛否両論ありますが、バンクーバーでは嗜好用マリファナの使用解禁を求める声が高まってきています。なぜかというと、依存性の低さだったり、医療品としても身体に有益であることを科学的に示すデータがあるためです。

現在日本では医療目的によるマリファナの所持も禁止されているのですが、もし医療用のものが出回るようになれば多くの人が助かる可能性があるかもしれません。

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photo from http://ameblo.jp/iryou-taima/

例えば、日本の大麻医療化活動をしてる成田賢壱さん(成田さんのブログはこちら)は、クローン病を患っており、その治療に日本で大麻を使用していたところ逮捕されたという事件がありました。医療の面でさえ日本はマリファナに関して否定的すぎるという意見が数多くあるのも事実です。
 

しかし医療マリファナを嗜好目的で利用している人も多いみたいで、今後の規制方法が問われています。

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photo from http://positiveactivism.org/2015/02/16/the-marijuana-war-part-ii/

ということで最後になりますが、バンクーバーに住んでいると日常的にイヤでも意識してしまうマリファナ。

みなさんはマリファナの使用に賛成ですか?それとも反対ですか?

ぜひご自身の意見をお持ちになってくださいね。



参考資料
家田荘子 著「ザ・麻薬」
http://www.afpbb.com/articles/-/3015194?ctm_campaign=topstory
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E9%BA%BB
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8C%BB%E7%99%82%E5%A4%A7%E9%BA%BB
http://matome.naver.jp/odai/2138888249395149201
http://www.hc-sc.gc.ca/dhp-mps/marihuana/index-eng.php
http://www.vancouversun.com/health/Medical+marijuana+Easy+easy/10043583/story.html
http://www.cbc.ca/news/canada/medical-marijuana-easily-dispensed-in-vancouver-1.2938574
http://www.weedist.com/2012/07/marijuana-is-safer-than-soda/
http://www2u.biglobe.ne.jp/~skomori/education/education1/education1-1.html


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