バンクーバーのホームレスについて、ちょっと真面目に話してみます。

   
  

皆さん、バンクーバーのホームレスの数をご存知ですか?

そしてバンクーバー市長が、

「2015年までにホームレスの数を0にする」

と宣言しているのをご存知ですか?

バンクーバーは「世界で最も住みたい都市」にも選ばれたほど魅力的で住みやすい都市ですが、ホームレス問題が深刻なのは、バンクーバーに住む誰もが感じているはずです。

 
今日は、バンクーバーのホームレスの実態、市の取り組み、またホームレスにお金を渡してはいけない理由、ホームレスの人達の為に私達ができること等をお伝えしたいと思います!

 

バンクーバーのホームレスの人数(推移)

City of Vancouverの本年度の調査(PDF)によると、
バンクーバー全体のホームレスの人数は2,777人(うちUnsheltered Homeless957人)となっており、特に2002年と比べると、倍以上になっています。

バンクーバー市だけでも1,803人(うちUnsheltered Homeless536人)にのぼります。

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(City of Vancouver “Results of the 2014 Homeless Count in the Metro Vancouver Region(PDF)”より)

※ホームレスの定義(City of Vancouverより)
この調査で言う”ホームレス”とは、30日以上滞在できる場所がない人、一時的にシェルターなどに滞在していて家賃を払っていない人などを指します。”The Sheltered Homeless(緊急もしくは臨時シェルターで寝泊まりしている人、女性や子どもなどで家族の暴力等を理由にtransition houseに寝泊まりしている人など)”と”The Unsheltered Homeless(道路、車の中、公園など、屋外で寝泊まりしている人)”に分類されています。

今回の2014年の調査では、このうち527人が女性(64%が25-54歳、23%がyouth、13%がsenior)であることも発表されました。

親子でホームレスのケースは88件(Sheltered79件 / Unsheltered9件)もあるそうです。

 

なぜ、ホームレスの数が減らないの?

住む場所を確保できない理由について、アンケートに答えたホームレスのうち47%が「収入が低過ぎる」、42%が「家賃が高過ぎる」と答えています・・が、それ以上に重大な理由があります。

ドラッグやアルコール中毒、メンタルヘルス面での問題です。

Globe and Mailの記事(link)によると、バンクーバーに住むホームレスや一部屋だけを所有している人(=single-room occupants)のうち70%が、「深刻な中毒症やメンタルヘルスの問題を抱えている」ということです。

たとえ彼らに一時的に住む場所を提供したとしても、こういった問題を抱えたままでは社会に復帰することは難しいのは当然です。中毒症状やメンタルヘルス面のサポートを強化することが必須となっています。

 

市長が、「2015年までにホームレスをゼロにする」と宣言したものの・・

2008年に、バンクーバー市長Gregor Robertson氏が「バンクーバー市のホームレスを2015年までにゼロにする」と宣言したのをご存知ですか?

しかし残念ながら、バンクーバー市のUnshelteredのホームレスの数を見ると、2011年は154人、2014年には536人と3倍以上に増えています。

今回の2014年のホームレス調査結果を見た彼は、ショックを受けたに違いありません。市や州は、ホームレス用のシェルターなどを用意するために、数百万ドルをつぎ込んできました。

 

ダウンタウンのホテル”QUALITY INN”も、ホームレス用のシェルターに

downtown-vancouver-quality-inn(Photo:VANCITY BUZZ)

近隣住民達が抗議をして最近よくニュースにもなっていますが、2015年までにホームレスに住む場所を確保する為に、市は大急ぎでシェルターを準備しています。

Granville Bridgeの隣にあるホテル「Quality Inn」も、157部屋のホームレス用シェルターになるそうです。共用のキッチンに加え、健康面でのサポートをする場所も設けられるとのこと。

その他にも、この秋には3箇所のシェルター、合計300近くの部屋が用意される予定です。

 

ホームレスにお金を渡してはいけない理由は?

私がバンクーバーに初めて来た時に、カナダの人達や日本人の先輩から「ホームレスにお金だけはあげちゃいけないよ」と何度か言われました。

ちょうど小銭があるし、これで何か食べ物でも買えるかもしれないし・・と思ってしまいそうですが、彼らが買うものは高い確率でドラッグ(もしくはアルコール、タバコ)です。
何をあげるかは個人の自由ですが、この事実を知っておくことは重要ではないでしょうか。

 

少しでも力になりたい・・という方へ

ドラッグを買う為のお金は提供したくない・・でも、「ホームレスの人達のために何かをしたい!」という方。

以下のような方法でホームレスの人達をサポートすることができます。

■フードバンクに現金で募金する
ホームレスの人達に提供する食費として使われます。
Greater Vancouver Food Bank SocietySurrey Food Bank Societyなどにコンタクトをとってみましょう。

■ホームレスシェルターでのボランティア
ノースバンクーバーからラングレーまで、沢山のシェルターがあります。
詳細はGreater Vancouver Shelter Strategyのウェブサイトで。

■女性や子ども達の為にプレゼントを寄付する
特にこれからクリスマスがやってきます。未開封のギフトは、家庭内暴力などの事情でシェルターに住む女性や子ども達にプレゼントされます。
ギフトカード、ブランケット、タオル、おもちゃ、キャンディーなどが喜ばれるようです。
詳細は、Downtown Eastside Women’s Centreにお問い合わせください。

■衣類を寄付する
着なくなった衣類はありませんか?カジュアルなズボン、靴、下着などが特に必要とのこと。
ホームレスの人に食事などを提供するFirst United Churchにて、衣類の寄付を受け付けています。

 

バンクーバーの治安が悪いエリア

最後に、ドラッグ中毒などのホームレスが多く、気をつけたいエリアです。
赤字・赤ラインのチャイナタウン付近、East Hastings StreetとMain Streetが交わるあたりは、一人で歩く事は絶対に避けましょう。
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みんなの大好きなバンクーバー。
ホームレスの問題が少しずつ解決していくと、もっともっと治安が良くなるでしょうね。

今月の市議選にも注目です!

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